七夕のしじま
1.
凍える時のあわい、黒水晶の
しじまをたゆたふ寂寥の
震へる祷り、なみうつ熱き
河のことほぐ永遠、
比喩のかぎりを越えて。
2.
紙をもやすには至らぬ
われらの願いの熱を、
その身にくべて伸びよ。
静寂のうちにうたかた、
あるいは藻草より出で、
笹よ笹、生ひ茂る御遣ひよ。
3.
散瞳はわたしを越え、
天を呑み、静寂を覆し、
なにものかを言祝ぐのか。
焔を球に鎖し籠むる、
それはいかなる不滅の業か。
七夕の作品。
文語体と口語体の混合文体としました。