オモテ_死体
時刻 二二:四〇
五階
廊下を駆ける塚矢と漣。
その廊下にはいくつかの死体が並ぶが、塚矢はそれを気にも留めずにいた。しかし、漣はそれを無視することはできなかった。
「これは、誰の仕業だ?」
「わからないが、こんなことできるのはクルーエルくらいだと思うよ」
「でも、こいつら仲間じゃないのか?」
「だとも思うが、そもそも雇われの身だからね、クルーエルは」
「そっか」
そんな会話を繰り広げてエレベーターホールまで辿り着く。
「階段で行こう」
「ああ」
駆けていた漣と塚矢は階段へとその足を向ける。
一つ下の階に降りたところで、先頭を走っていた塚矢が足を止める。漣もまた、塚矢との衝突を避けるためぎりぎりで、その足を止めた。
「どうした?」
怪訝な顔で漣が塚矢の後ろから覗き込む。
「いや、こいつは…」
目の前に転がっていたのは、藤堂の死体だ。一切死体に興味を持たなかった塚矢がそれにだけは意識に引っかかった。
「藤堂、とかいうやつだったか?」
「そうだねきっと」
考え込む塚矢。それを漣はやはり怪訝そうな顔で覗き込んだ。
「それがどうしたんだ?これもクルーエルの仕業じゃないのか?」
「そうかもしれないけど…そうじゃないかもしれない」
「ごめん、漣。ちょっと用事を思い出した。あとは任せてもいいかな?」
「用事って…」
「大したことじゃないけど、ちょっと気になることがあるんだ。終わったらすぐに追いかけるよ。それじゃあ」
漣の返答を待たずに塚矢は廊下へと走り去っていった。
「なんなんだあいつ…」
漣は最後まで怪訝な表情は変わらず、しかしその足を階下に向け、進んでいった。




