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代償の絵  作者: 水芦 傑
25 years later
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―代償と救済―


(のろ)われし二枚(にまい)絵画(かいが)

 この二枚(にまい)風景画(ふうけいが)である。

二枚の絵は人に取り()き、呪われていると(ささや)かれている。この絵が誰によって(えが)かれたのか、なんの為に(えが)かれたのか、そしてどうして人に取り()くのかは一切不明。


 一枚は取り憑いた人間に不幸(ふこう)幸福(しあわせ)を与えるという。

 不幸とは寿命(じゅみょう)にある。

 その絵に取り()かれてから三百六十五日後、つまり一年後には死を(むか)える。どんな状況でも、これを(こば)むことは不可能である。

 幸福とは強大な力。

 その絵に取り憑かれた人間は人を、いや、地球上(ちきゅうじょう)に存在する(すべ)ての生物を()える力を手中(しゅちゅう)(おさ)めることができるという。その力は生物という(いき)()えていた。それは、つまり地球上で最強の思考(しこう)物体(ぶったい)になることを示す。

 その為か、この絵は人々の間でこう名付けられた。

 代償の絵―――――と。

 この絵の不幸から(のが)れる為には同時に幸福を手放(てばな)さなければならない。

この絵は(さだ)められた一年の中で他の人間に(うつ)すことが可能なのだ。それを行えば、寿命(じゅみょう)は所有前に戻る。但し、絵を移す(さい)には一つの制約(せいやく)がなされている。

それは絵の所有者のみが移す権限(けんげん)を持つということ。絵の移動は絵の所有者が了承した時に初めて行われる。逆を言えば、絵の所有権を与えられる(がわ)意思(いし)は関係ない。

 その他に代償の絵には二つの制約が存在する。

 一つはその絵の紋様(もんよう)が必ず所有者の肉体(にくたい)の一部に(きざ)まれること。所有者が所有権を持った最初に自身でその場所を決められるが、その後に他の部位(ぶい)に移すことは出来ない。そして、代償の絵の所有権を得る際に肉体の一部に刻まれる紋様の場所を指定しない場合は、所有権を渡す者が()れた場所にそのまま刻まれる。

 もう一つは所有権を持つことが許されるのは一生で一度のみ。所有者になった者がもう一度絵を自身に取り憑かせようとすれば、その人間は死を迎えることになる。

 絵の所有者が死を迎えた場合、その所有権は一番近くにいる人間に移る。


 そして、もう一枚の呪われた絵画。

 それもまた、肉体の一部に絵の紋様が刻まれる。

 しかし代償の絵とは違い、不幸も幸福も与えられず、それ以上の制約もない。

 ただ一つ、ある力が与えられるのみ。それは代償の絵に宿る力に唯一(ゆいいつ)対抗(たいこう)できる力、いや、(おさ)える力だ。代償の絵の力を皆無(かいむ)にし、その権限を剥奪(はくだつ)するという。

 この絵はこう呼ばれる。

 救済の絵―――――と。


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