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1章 誕生  5話 カフェテリア2



よし!できた。一応完成だ。

まず、全員に共通して言えるのは、基礎能力は全員同じだった。子供の花と杏が少し低いくらいで、心4技3体2の人類の平均だ。平均値で四捨五入範囲の3.5~4.4くらいの差があるのかもしれないが、俺から見ると、どんぐりの背比べというやつだ。

この10人の中で組織上キーとなるのは鬼頭。

戦術上のキーは、友里と花と杏だ。将来性がある。

残りは、何というかほぼ一般ピーポーだな。

基本コンセプトは1点極振り。前線に加わってもらうようになってから、サブスキルをひとつかふたつ取ることにする。


さて一人ずつじっくり見ていくか。まずは組織上のキーマン、ファッキン鬼頭。

------------------------------------

名   前:鬼頭圭介きとうけいすけ

種   族:人間

レ ベ ル:2

性   別:男性

職   業:エンジニア

基礎能力 :心4、技3、体2

アビリティ:プロジェクトリーダー ランク2|(R、パッシブ)

ス キ ル:月魔法1

      残ポイント1pt

パーティ :情報班1、情報班2

------------------------------------

もちろん日ごろからダークサイドに落ちている鬼頭には闇属性の月魔法を伸ばしてもらう。

これは戦闘系スキルとの相性もいいので暗殺型、偵察型としても生きてくる。将来的には前線に出てらう必要が出てくるだろう。

刮目すべきは、Rアビリティの【プロジェクトリーダー】だ。これは俺のSR【マネージメント】の劣化版で、基本スペックは全く同じ。唯一違うのは、ランク5の部長までしか昇進できないこと!!スペックとしては申し分ない。部下の経験値を入手できるわけだから、成長速度が他の子達よりも若干早くなる。将来的には大きな差に可能性もある。しかし、俺が言いたいのは、そんなとこじゃない。俺がランク10で国王級まで昇りつめられる可能性があるのに対し、鬼頭は部長止まりってことだ。何か、もう、気持ちいいいぃぃ!早くこの事実を鬼頭に突きつけてやりたい。イジリ倒したい!

なんで、こんなに上機嫌かというと、鬼頭の説明文に尊敬する人:寺沢文也と書いてあったからだ。何だかんだで可愛い奴だ。だからイジる!愛をもって煙が出るまでイジるのだ。

情報班は全て鬼頭を係長に採用して、仕切ってもらおう。馬車馬のように働いてもらうぞ。安全圏でユルーク仕事させる訳にはいかない。こっちは命張ってんだからな。まぁ俺はオフィスでネット泳いでるより現場を自分の目で見て走り回る方が性に合っているしな。


次は友里。

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名   前:寺沢友里てらさわゆり

種   族:人間

レ ベ ル:2

性   別:女性

職   業:主婦

基礎能力 :心4、技3、体2

アビリティ:修羅|(R、パッシブ)

ス キ ル:火魔法1

      残ポイント1pt

パーティ :ファミリー

------------------------------------

【修羅】というRアビリティが正直どれほどのものか分からない。怒りのレベルに応じて全ての基礎能力が瞬間的に上昇する、というもの。もしかして将来はスーパーサ〇ヤ人になるのか友里!?と期待に胸膨らませるアビである。後で出てくるがコモンアビリティで+2補正のものがたくさん転がってるので、+2以上は確実っぽいな。そういえば、今日のランチの時に花が赤目のオッサンにジュースをかけられてキレた時の友里の反射速度は半端なかったな。レア度に見合う効果はありそうだ。いずれにしてもこのアビを活かす火力特化型の火魔法をチョイスした。これからは更に友里を怒らせるようなことはしたらアカン。絶対アカン。


次は花。

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名   前:寺沢花てらさわはな

種   族:人間

レ ベ ル:2

性   別:女性

職   業:後継者

基礎能力 :心3、技2、体1

アビリティ:シャーマン ランク1(UC、パッシブ)

ス キ ル:木魔法1

      残ポイント1pt

パーティ :ファミリー

------------------------------------

少し平凡なのだが、職業が気になっている。説明文も『覚醒条件不明』となっていた。何だか期待が高まる一方で、勇者の後継者って意味なら、俺の死亡フラグのようで嫌なんですけど。

UCアビリティの【シャーマン】は自然や動物に好かれる、という花らしい能力だ。動物や植物と簡単な意思疎通ができる。また1体だけパーティ登録ができる。登録された動物は【ファミリア】として、花から基礎能力上昇の恩恵を受け、代わりに花はその【ファミリア】の特性を宿すことができるらしい。例えば俺のカイマンを【ファミリア】にしたら、背中から氷の刃を発射するようになるのか!?あんまり見たくないな。かわいい魔法生物を作ってあげたくなった。


次は驚愕の杏。

------------------------------------

名   前:寺沢杏てらさわあん

種   族:人間

レ ベ ル:2

性   別:女性

職   業:泣き虫

基礎能力 :心3、技2、体1

アビリティ:雷神タケミカヅチ(SSR、パッシブ)

ス キ ル:格闘1、剣術1、棒術1、射撃1

      残ポイント2pt

パーティ :ファミリー

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SSRを引いた!【雷神タケミカヅチ】。名前からして凄そう。俺のSSRの【リセット】っていうショボい名前とはキャラクターシートの輝きが違う。その実力は、全戦闘系スキルの取得割引1ptおよび上限ランク解放+2。。。。うわっ。育てたら後半ヤバい奴だ。世の中のすべての個体はどんなに経験を積んでもランク10止まりなのに、杏は12まで伸びる。ランクアップによる強さは指数関数的な伸びをするので10と12ではそれはもう凄まじい差になりそうだ。とりあえず節操ないが、戦闘系ランク1は全てタダなので取っておいた。しばらく前線に立つ必要はないので、残ポイントは武器の入手状況に合わせて振っていこうと思う。武器については、実はちょっと考えていることがある。

にしても職業泣き虫って、職業の定義は何なんだ?ったく。


次から一般ピーポーです。まずは

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名   前:高坂えり(こうさかえり)

種   族:人間

レ ベ ル:2

性   別:女性

職   業:オジさんキラー

基礎能力 :心4、技3、体2

アビリティ:健康志向(C、パッシブ)

ス キ ル:化学1

      残ポイント1pt

パーティ :情報班1

------------------------------------

Cアビリティの【健康志向】は、化学に対し心+2の上位補正がかかるようだ。この世界のルールでは薬学と医学が化学のカテゴリーに入れられている。

それよりも高坂えりが鬼頭に好意を抱いているとは知らんかったな。これはイジらず、誰にも言わず一人でムフフと楽しもうと思う。


次はマドンナBのミドリちゃんEカップ。

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名   前:田中ミドリ(たなかみどり)

種   族:人間

レ ベ ル:2

性   別:女性

職   業:オジさんキラー

基礎能力 :心4、技3、体2

アビリティ:巫女さんのバイト(C、パッシブ)

ス キ ル:日魔法1

      残ポイント1pt

パーティ :情報班1

------------------------------------

Cアビリティの【巫女さんのバイト】は、日魔法に対し心+2の上位補正がかかるようだ。この世界のルールでは僧侶や神官といったジョブ系魔法が日魔法なようだ。

実はメンバーの中でミドリちゃんが俺の一番の好みだ。今までほとんどまともなお付き合いをしてこなったらしいが、可愛すぎて男が告白する勇気が出なかったパターンだな。本人は可愛いことを全く理解していなくて自分がモテないと思っている天然っ子だ。タマラン。

ミドリちゃんは知らないオッサンに初めてを奪われて相当凹んでいて誰かに頼りたい気持ちと、吊り橋効果の併用で俺に憧れを抱いているみたいだ。益々好きになったわ。


次はマドンナCの里美ちゃんAカップ。

------------------------------------

名   前:石原里美いしはらさとみ

種   族:人間

レ ベ ル:2

性   別:女性

職   業:オジさんキラー

基礎能力 :心4、技3、体2

アビリティ:胸騒ぎ(C、パッシブ)

ス キ ル:水魔法1

      残ポイント1pt

パーティ :情報班1

------------------------------------

Cアビリティの【胸騒ぎ】は、未来予知系アビリティの最下位アビ。自分自身や自分に近しい者に危険や不幸が迫っている際に胸騒ぎがするというレベルの危険予知能力。にしてもAカップの石原さんに胸騒ぎという名のアビリティを与える創造主は、やや鬼頭寄りの性格だな。ちなみに、俺に胸を見られたことを相当根に持っているようだ。胸が小さいことをムチャクチャ気にしている。世の中はちっぱい派の方が多いという事実が何故わからないのだろう。


次は友里の同級生ゆかちん。

------------------------------------

名   前:植田由香うえだゆか

種   族:人間

レ ベ ル:2

性   別:女性

職   業:レースクイーン

基礎能力 :心4、技3、体2

アビリティ:レースクイーン(C、パッシブ)

ス キ ル:芸術1

      残ポイント1pt

パーティ :情報班2

------------------------------------

職業と同じ名前のCアビリティの【レースクイーン】は、芸術に関して技+2の上位補正がかかる。芸術には、低ランクスキルに言語や話術といったものがある。通訳や交渉事で、色々と活躍してもらうことがあるかもしれないな。芸術の範囲は広い。今後が楽しみな子だ。

ゆかちんは、めちゃくちゃスタイルがいいのだが、豊胸手術をしていたらしい。元々はくびれたウェストに見事なヒップラインに完璧なドフラットOPだったところを推定Dカップにまでビルドアップしたらしい。何だか少し残念だ。


次はHカップくそゲーマーの本多。

------------------------------------

名   前:本多カナ(ほんだかな)

種   族:人間

レ ベ ル:2

性   別:女性

職   業:ゲーマー

基礎能力 :心4、技3、体2

アビリティ:理系女子(C、パッシブ)

ス キ ル:物理1

      残ポイント1pt

パーティ :情報班2

------------------------------------

【理系女子】。。本多って理系だったのか?知らなかったな。物理学+2補正らしい。工学部系ってことか。それよりも、本多の場合は、恐るべき事実が発覚した。大学時代、工学部の機械学科50人のクラスで女子は本多だけだった。そして、なんと49人のクラス男子全員とヤッたそうだ。恐ろしい。そういえば、オヤジ達に犯されたのに、一番ケロっとしてたな。148cmでHカップのモンスタービッチ。見た目は純粋なアラレちゃんのくせに。女は見かけによらないな。気を付けないと。


最後に日高さん。

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名   前:日高沙織ひだかさおり

種   族:人間

レ ベ ル:2

性   別:女性

職   業:未亡人

基礎能力 :心4、技3、体2

アビリティ:金の亡者(C、パッシブ)

ス キ ル:金魔法1

      残ポイント1pt

パーティ :情報班2

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Cアビリティの【金の亡者】は、金魔法に対し心+2補正。もの凄く節約して結婚資金を貯めていたらしい。にしても、金の亡者ってもうちょっとポジティブなスキル名なかったのかよ。日高さんは間一髪キレイな身のままだが、やはり婚約者を失った心のケアは必要だ。生産管理部ではほかに生き残りがいなかったので、誰か仲のいい子がいればいいのだが。


さぁて、やることやったし、次の行動を決めておこう。

赤黒い子たちは、おそらく話の通じる相手ではない。おそらく襲ってくると思われる。でも、もし友好的な種族だったとしたら?そうだな。遠目から話しかけてみよう。日本語でいいのかな?少しは英語が話せるが。んで、襲ってきたら蹴散らす。特に今回覚えたてのショットガンの威力を試すいい機会と前向きに考えることにしよう。


扉を開けて、パノラマ映像を見て、気づいたことがある。

赤黒い子たちは、赤く血走った眼が赤目にそっくりなこと。口が耳まで裂けていること。耳は少し尖っていること。髪の毛は生えていないこと。裸であること。フランクフルトがついていないから全員メスなこと。全部で3匹なこと。3匹とも手に鉈のようなものを持っていること。これって、所謂ゴブリンじゃねぇか?もし、そうだとしたら9割方襲ってくるな。

そして、、、エレベータから最後に出ようとしている4匹目の個体は、少ししか見えていないが、恐らくファンタジーで出てきそうなローブのようなものを羽織っていること。


まぁ、冷静になってみたら、子供が刃物持ったところで、今の俺なら大したことないな。俊敏に動くってレベルだろう。問題は服着てる奴だな。ま、臨機応変にいってみよう。



◆ ◆ ◆


「ぐががごごが!」

「ゴブッ!」


おい、今ゴブッって言ったよな。完全にゴブリンじゃねーか。


「止まってくれ!俺たちは危害を加えるつもりはないが、攻撃してくるなら反撃する。」


「ごぶぶごが!」ローブを着たゴブリンが叫ぶ。

「ががぁ!」


ゴブリンたちは迷わず、自分たちを囲んでいるカイマンに斬りかかってきた。


3体に奇襲で串刺しにされて、1体のカイマンのプロットが赤くなる。重傷だ。


「全部隊、反撃しろ!ゴブリンを殲滅する!」


カイマンはフレンドリーファイアを恐れてアイスクラッカーは出せない。サーペントたちが一斉に熱湯ブレスを浴びせるがゴブリンは少し顔を歪めるだけで、勢いは止まらない。先ほど重傷を負ったカイマンがもう一刺しされて、ぐったりする。プロットの色が一旦黒くなり、消滅した。ちっ!

残り3体のカイマンが、それぞれゴブリンに襲い掛かる。その動きに合わせて、ローブのゴブリンが何やらゴブゴブ呟いたかと思うと、空間が揺らぎ、火に包まれた矢のようなものが放たれた。カイマン1体の脳天に矢が突き刺さる。プロットが赤くなる。弱ったカイマンに1匹のゴブリンが何度も鉈を振り下ろす。プロットが黒くなって、消滅した。残りの2体もプロットが黄色くなっているが、大きな顎でゴブリンを咥え込み、喰いちぎっている。ゴブリン共の断末魔の悲鳴が聞こえるが、隙だらけのカイマンの1体の頭部に先ほどのゴブリンが斬りかかる。ゴブリン2匹が動かなくなる間に、3体目のカイマンのプロットが消滅した。4体目のカイマンもローブのゴブリンの2発目の炎の矢で打ち抜かれて、消滅した。人間相手に無双を誇っていたカイマン主力部隊が全滅。。。ゴブリンって雑魚じゃないの?魔法使うやつが混じってるだけで、いきなり難易度上がるんだな。相手のゴブリン2体とカイマン4体の交換では、ちょっとおいしくない。


おそらく、このゴブリンは剣術1ってとこか。レベルは1か2。やはり武装しているのと連携する最低限の知能があるのとで、赤目とは雲泥の差だな。あと多分こいつら火属性だ。レッドゴブリンと名付けよう。サーペントの熱湯ブレスに苦しそうにしているが、火傷していない。俺がカイマンにアイスクラッカーが撃てる位置取りを指示していれば、もう少し戦況は違ったかもしれないな。あと、ローブのゴブリン、レッドゴブリンメイジが使ったのは火魔法3のファイヤーアローだな。相手にしてみたら囲まれているさっきの局面で戦力を出し惜しみする余裕はなかっただろうから、火魔法ランク3が奴の最高の攻撃手段と見ていいだろう。ということは最低レベル6はあるってことだな。相性や戦力差から考えて完全に指揮官の俺のミスだ。反省。


んじゃ、カイマンがいなくなったなら、心置きなく試し打ちできるな。これでダメなら、まずはメイジに特攻だな。あんまりやりたくないわぁ。頼むから、そこそこの威力であってくれよぉ。

祈るような気持ちで新魔法を唱える。


「ショットガン!」


目の前の空間が揺らぐと同時にボーリング玉くらいの荒削りなコンクリートの塊が4つ現れる。球体というより立方体という方が近いかもしれない。と、その刹那、石の弾は、目で追うのがやっとのスピードでレッドゴブリンとレッドゴブリンメイジの脳天と胴体を打ち抜いた。そのまま奥の窓ガラスをぶち割り、遥か彼方へ消えていった。ドサッと顔と胸のないゴブリン2体が後方に倒れる。

うわあ、完全に大砲だな。至近距離で顔面に大砲ぶっ放されたら、そりゃあ死ぬわ。技10の俺が目で追うのがやっとだったからな。時速300km以上は出てるだろ。秒速100mだとしたら、タイガーウ〇ズのドライバーショットくらいだな。その速度でボーリング玉って。運動エネルギって質量x速度の2乗の半分だったっけ。兵器だわ、これ。

とりあえず色々進展があったな。レッドゴブリンがこのビルにいるってことと、その戦力は1対1ならカイマン以下ってこと。ただ連携されるとかなり危険ってこと。ゴブリンの血は人間のものより少し赤黒い。また魔法を使うメイジタイプもいる。こいつが相当危険。後衛がいるということで戦略に幅が生まれるからな。だがしかし俺の設計した新魔法の威力はパネーってことも分かった。

レッドゴブリン共の眼は赤目にそっくりだった。これは何らかの因果関係があると見ていいだろう。このビルを調査するうちに全容が見えればいいが。

その他の発見としては、魔法生物は死ぬと消滅する、ということだ。カイマンは砕けた氷のようになって、そのあと数分で蒸発するように消えた。ゴブリンは消えない。誰かに創り出されたわけではないってことか。


6階の完全制圧に要した時間は、わずか10分。被害はカイマン4体。戦果は赤目80体、レッドゴブリン3体、レッドゴブリンメイジ1体。ゴブリン登場は全くの予想外だったが、これで真相に少しは迫れる可能性が出てきた。大きな前進だ。一方で奴らの戦力は侮れない。防衛用ペットを増やさないとな。


比較的状態がマシなゴブリンの死体1体とメイジを回収し、別働隊所属のカイマンたちの背中に1体ずつ乗せる。あとで非人道的な解剖します。構造を理解しておきたいんだ。

ペット全員下がらせて防火シャッターを下ろす。

けたたましいサイレンの音は、5階に残るメンバーに俺の作戦の成功を教える号砲のようだ。

もしゴブリンがまだいるなら、生存者がこのビルにいることはバレているだろう。

夜の過ごし方はよく考えた方がいいな。


7階はおそらく誰もいないだろう。普段は使われていないし、今日は祝日なので屋上の工事もやっていない。そうなんだよな、うちの会社はメーカーなので祝日は休みではない。学校は休みなのに、会社は通常運転という子供泣かせなんだ。まぁその分、年3回の長期休暇が長いので、それはそれでいいんだけどね。花には部活を休ませてファミリーオープンデーに参加してもらったが、部活で別行動だったと思うとぞっとする。結果的には良かった。


おっと話が逸れてしまった。今はまだ16時前。暗くなる前の7階の制圧は問題ないだろうから。

一旦5階に戻ってゴブリンの情報だけは伝えておこう。


生存者5名のうち3人は手遅れだった。俺のキュアでも致命傷は直せない。辛うじて体力が回復した二人のうち一人も気が完全に狂っておりオニヤンマのメンタルケアの光でも全く効果がないので楽にしてあげた。6階の唯一の生き残りは、田中千晶という食堂の社員さんだ。相当若く見える。間違いなく10代だ。かなり落ち込んでいるが大丈夫か聞くと辛うじて頷いてくれた。少し落ち着いたら、色々と話を聴いて、生きる希望を与えてあげないといけないな。

俺はパーティを少し変更したうえで1部隊をカフェテリアフロアの警戒に残し、5階の作戦本部へ戻ることにした。もし生物と遭遇したらオニヤンマを5階に来させ、八の字旋回するように指示をする。


・カフェ警護班:カイマン、サーペント、アゲハ、オニヤンマ


俺は非常階段を下りていく。階段の下の方から、僅かだが物音が聞こえてくる。まだビル全体が危険に包まれているのがよく分かる。

できるだけ静かに息をひそめて下りていく。強くなっても怖いもんは怖いんだよ。


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