1章 誕生 10話 長い夜4
さて、鬼頭がレベル2→8、その他の子達も2→7へレベルアップした。
千晶ちゃんもレベルは一気に0→7にアップした。
面倒なのでポイントだけ整理するとしよう。
鬼頭は俺の次長昇進に合わせて、課長に昇進してくれた。
これで鬼頭は64名の部下が持てる。これは別働隊戦力としては申し分ない。
【月魔法】を1→3に上げ、【射撃1】を取得した。【射撃術】は投擲も含まれるらしいので、銃が入手できるまでは投擲中心かな。【月魔法3】の【サイレント】が鬼頭を隠密型参謀へと変貌させるだろう。前線に行きやすくなる。
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名 前:鬼頭圭介
レ ベ ル:8
アビリティ:
・プロジェクトリーダー ランク2→3|(R、パッシブ)
ス キ ル:
・月魔法1→3
・射撃0→1
残ポイント1pt
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次は友里。
要望に合わせて、【日魔法】を0→3に伸ばした。花と杏を守りたい。その気持ちを尊重しよう。
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名 前:寺沢友里
レ ベ ル:7
アビリティ:
・修羅|(R、パッシブ)
ス キ ル:
・火魔法1
・日魔法0→3
残ポイント0pt
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次は花。
【木魔法】一極集中。友里と同じく、しばらく前線には行ってもらうつもりがないため、補助的な木魔法を伸ばしていく。新取得アビリティUC【キャプテン】。これを活かすべく、小学校への遠征を企画しないとな。
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名 前:寺沢花
レ ベ ル:7
アビリティ:
・シャーマン|(UC、パッシブ)
・キャプテン|(UC、パッシブ)
ス キ ル:木魔法1→3
残ポイント1pt
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次は杏。
ポイント温存。今後の武器の入手が確定してから、慎重に判断する。SSRアビリティを決して無駄にしない最高の選択をしたい。
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名 前:寺沢杏
レ ベ ル:7
アビリティ:
・雷神タケミカヅチ|(SSR、パッシブ)
ス キ ル:
・格闘1、剣術1、棒術1、射撃1
残ポイント7pt
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えりCカップ。
食事係のえりだが、極めれば毒と薬を量産できるようになる。食事係が毒物のプロってのは末恐ろしいが、いい子なので問題なし。
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名 前:高坂恵理
レ ベ ル:7
アビリティ:
・健康志向|(C、パッシブ)
ス キ ル:
・化学1→3
・射撃0→1
残ポイント0pt
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次はミドリちゃんEカップ。
友里に【日魔法】を取得させたので、救護班として二人で後方支援決定。俺の好みなので、安全圏確定は嬉しいな。
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名 前:田中緑
レ ベ ル:7
アビリティ:
・巫女さんのバイト|(C、パッシブ)
ス キ ル:
・日魔法1→3
・射撃0→1
残ポイント0pt
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次はさとみちゃんAカップ。
【水魔法】がランク3になったので、お水もお湯も出せて、制御もできる。これでお風呂係決定だ。やっと雑用から一つ解放される。さとみちゃん、みんなのお風呂準備するだけのMP大丈夫なんだろうな。。
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名 前:石原里美
レ ベ ル:7
性 別:女性
アビリティ:
・胸騒ぎ|(C、パッシブ)
ス キ ル:
・水魔法1→3
・射撃0→1
残ポイント0pt
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次は友里の同級生ゆかちん。
【芸術】伸ばし。ランク2で話術が習得でき、すべての言語における交渉のプロとなった。こういう文官タイプは今後必要になるはず。
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名 前:植田由香
レ ベ ル:7
アビリティ:
・レースクイーン|(C、パッシブ)
ス キ ル:
・芸術1→3
・射撃0→1
残ポイント0pt
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次はHカップくそビッチの本多。みんなの【射撃】を上げたので、本多には起きたらパチンコを作ってもらおう。ボルトなどをぶち込めばかなりのダメージを期待できるしな。
本多だけは【射撃】を取らずにポイント温存。狙いは【物理4】の【機械設計製作】による簡易銃の製造だ。電気的な機構を持たないメカニカルな銃であれば材料さえ揃えば製作できるようになる。
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名 前:本多佳奈
レ ベ ル:7
アビリティ:
・理系女子|(C、パッシブ)
ス キ ル:
・物理1→3
残ポイント1pt
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次に日高さん。
【金魔法】ランクが3になったことで、鉄系の材料を創り出せ、それを形作ることが可能になった。
鉛玉は作れるな。あとは火薬の作り方だが、、炭素と硫黄と硝酸カリウムだったっけ?マグネシウムだったっけ?うーん、【金魔法】なのか【土魔法】なのか、何の領域何だろう。まぁいろいろ試せばいいだろう。
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名 前:日高沙織
レ ベ ル:7
アビリティ:
・金の亡者|(C、パッシブ)
ス キ ル:
・金魔法1→3
・射撃0→1
残ポイント0pt
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最後に千晶ちゃんは初めて登場なので、全パラメータ表示。
Cアビリティの【芯の強さ】は全耐性レジスト補正+1。これが千晶ちゃんが壊れなかった理由かもしれないな。全耐性というのは地味に強いかもしれないな。
友里を【日魔法】と【火魔法】の併用にしたので、【火魔法】特化型になってもらうことにした。
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名 前:田中千晶
種 族:人間
レ ベ ル:7
性 別:女性
職 業:シェフの卵
基礎能力 :心4、技3、体2
アビリティ:
・芯の強さ(C、パッシブ)
ス キ ル:
・火魔法0→3
・射撃0→1
残ポイント0pt
パーティ :情報班2
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さて、相当時間を使ってしまったな。と言っても戻れば1秒も経っていないのだけど。。
◆ ◆ ◆
戻って、すぐに保護した女性たちに近づく。まずは彼女たちの回復からだ。俺のキュアでもサンライトでも回復しない子はダメだ。これで今まで何人も諦めてきた。今回は何人救えるか、、祈るように近づく。
全部で5人。皆生まれたままの姿で座り込んでいる。若い子から俺と年の近い子まで様々だ。皆、正気を保っているように見える。これはイケるか?
と、一人の女性がお腹を押さえて苦しみだした。
「あぁぁああああぁぁ!!」
「どうした!大丈夫か!キュア!」
「あっあっ・・・あぁぁあぁああああああああああ!」
先ほどより、より大きな叫び声を上げたかと思うと、その股の間から、拳大の赤黒い塊がドプン、ドプンと排出される。次々に出てくる赤黒い塊。10を超えて、その脈動はやっと落ち着いた。
なんだ。。これ、俺知ってるぞ。
苦痛を超えた女性は、安堵の表情で堕ちる。急いで脈をとると、死んではいない。眠っただけのようだ。続けて肉体回復と精神回復の魔法を全員にかけ続ける。続けると言っても俺の魔法だ。ほとんど一回で一般人なら回復するはずだ。
よく見るとすべての女性が下腹が膨らんでいる。出産直前の妊婦ほどの膨らみではなく、妊娠4,5か月といった感じだ。
すると、続けざまに女性たちが苦しみだす。
「「「あっぁあぁぁぁあぁああああぁああぁぁぁ!!!」」」
次々に排出される赤黒い塊。5人の女性から合計で50弱が排出される。
いや、俺は分かっている。これは排出ではない、出産だ。神聖なる生の誕生。友里が苦しみながら花と杏を産み落としたとき、俺は両方、立ち会うことができた。痛みに強い友里があんなに苦しんでいるのを見たのは先にも後にも、その時だけだ。二人とも難産だった。友里が必死で闘っているのに、俺は手を握ってガンバレとしか言えない。不甲斐なさを痛感した壮絶な闘い。
でも。でも。これは違う。俺はもう分かっている。生れてきたものは神聖な生ではない。邪悪な赤黒いゴブリンの子。それを望まずして生まされている娘達はその邪悪な行為を終えると解放されたように眠りに堕ちていく。もう2度と目覚めない方が幸せなのかもしれない。5人とも命に別状はないようだ。
ここで激高していては、また失敗する。落ち着いて観察する。
生れたゴブリンの赤子は、子犬のようだ。目は閉じているが、潰れた鼻で何かを嗅いでいるように蠢いている。
捕えているゴブリンメイジ共に優しく聞く。
「おい、説明しろ。」
「ゴブッ!?」
気絶していたのか、寝ていたのか分からんが、慌てて飛び起きるメイジゴブリン共。
「いやぁ、何を説明したらえぇのか?」
「今、人間の女性がお前らの子を出産した。どういうことだ?」
「何か変ですか?」
「ドゴォォン!!」「質問を質問で返すな。今度は足がなくなるぞ?」
「ヒィィィィ!!は、はい。こ、これは、あっしらの繁殖方法です。」
目の前の床が俺の鉄パイプで陥没したのを見て脂汗を流しながら、必死に説明を始める。
「女王が身近な種のオスに我らの種子を植え付けます。これはキノコの胞子のようなもんです。耳や鼻から侵入してその種に精を植え込みます。乗っ取られた種のオスを”種運び”とわっしらは呼んでいますが、徐々に繁殖行動への抑制が効かなくなり、繁殖行為を同種のメスと行うようになります。その行為の中で受精したら、我々の繁殖は成功です。種運びに選ばれた種の特徴を少しだけ受け継いだ子が生まれます。今回はヒト族です。」
「あ、あと、、受精に成功したことは種運び達はわかるようで、そのオスは急に、そのメスに興味をなくしてしまい、別のメスを探します。ここにいるメスは成功したので、明日子供たちと一緒に女王様のいるところへ運ぶ予定でした。はい。」
「くっ。。マヂか。。」
「はい、マジです。。。「ボギィ!」いでぇぇぇぇ!!!」
「おい、質問に答える以外に、その臭い口を開くな。」
「「ヒィィィ。はいぃぃ。」」膝の皿を叩き割れた一匹が狼狽えながら必死に返事をする。
「では、質問だ。この小鬼は何日くらいで大きくなる?」
「だ、だ、大体半日ほどで生まれてきて、3日程で活動できるようになります。」
・・・ちっ、全然時間がねぇな。
「赤目・・・種運びになったらどうしたら元に戻せる?奴らは際限なく増えるのか?」
「一度種運びになったら絶命するまでどんな魔法でも治せないとも言われています。ここんとこは、あっしらはよく知りません。あと、種運びに襲われたオスは大抵種運びになります。」
まぁ治し方は、こいつらが知らないだけだろうな。脳神経の支配ということは、その根源だけを取り除けばいいんだろ。赤目もサンプル解剖してみれば、解明できるかもな。それより、、、
「女王はどこにいる?」
「ここから北に走って一日くらいの、この辺りで一番大きな建物です。」
・・・名古屋か。駅周辺のビルにいるってことか。まさか名古屋城ではないだろう。
「お前らの種子は女王しか出せないんだな?」
「は、はい。しかし、わっしらのような魔法を使え、聡い者は女王の種子の苗床を預かり、広めることを許されております。」
「はぁぁ!!??その苗床はどこにあるんだ!!??」
「へぇ、この街の真ん中の噴水広場にありますが?もうほとんど種子は残っておりませんがね。」
町?あぁDテック本社はこいつらにしたら大きな街に見えるんだな。中央広場か。
「町ってのは、この敷地の事だな?」
「へい。。」
「他にお前らのような魔法を使って、苗床を預かれる立場にある奴は何匹くらいいるんだ?」
「おそらく1000人くらいはいると思います。「ボギィィッ!」イ、いででぇっぇぇぇえ!!」
「1000匹だな?自分たちの事を人で数えるな。不愉快だ。」皿を割りながら訂正させる。
「「へ、へい!」」ゴブリンは汗っかきのようだ。
「その1000匹はどこへ向かった?」
「いやあ。よくわかりませんが、四方の大きな街に行くと言っておりました。」
・・・ちっ、東京や大阪も赤目で溢れかえりそうだな。
「お前らはどれくらいの数いるんだ?どんな指揮系統になっている?」
「あっしら赤鬼族は鬼族で人口が一番多く、100万人・・匹くらいおります。あとは同じくらいの規模の青鬼族と茶鬼族もいます。それぞれに女王がいます。この3部族が平民です。緑鬼族という部族がいて今は上民という地位にあります。12年に一度、赤鬼、青鬼、茶鬼、緑鬼の代表者10人・・匹が戦鬼祭りで戦い、最も優れた部族を選び、上民に選ばれます。上民の更に上に、数は非常に少ないですが鬼神族様たちがおります。上民は鬼神様たちのお声を聞いて、平民たちをまとめる役割をしております。」
ほほう、やはり階層が存在するか。にしても100万か、、数が多いな。。
ゴレ〇ジャーみたいなゴブリンの上に、鬼神っていう化け物がいるわけか。そいつらとは事を構えたくないな。目をつけられないようにしないと。というか既に手遅れな気もするけど。
「そもそもそんな大勢で何故、地球に、俺たちの世界にやってきた?」
「えぇ??あっしらは何もしてません。アンタらが来たんじゃないんですか?」
「っっ!!???」
一旦、落ち着こう。お互い状況が把握できていない、というわけか。
二つの世界が何故か突然混じり合った?ゴブリンこと赤鬼達も突然世界の景色が変わって、身を守るために必死だったのかもしれないな。
まぁ、いいだろう。方針は変わらない。目の前の仲間を守る、ただそれだけだ。
一旦、本部に戻って、鬼頭に報告しておかないとな。カイマン3体ほど失ったんで、少し心配しているかもしれないしな。
生れたばかりのゴブリンこと赤鬼の子は1匹を除いて、すべて駆除した。
観察用に1匹を残し、メイジゴブリンこと赤鬼の魔法使い達と一緒に連れていく。
生き残りの5人の女性たちもカイマンの背に乗せ、連れて行く。
HP、MPをリセットされて満タンなはずの俺の足取りは、これからの事を思うと少し重かった。
さて、これからどうしようか。




