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私を弟子にしてください!!—6

 魔法は確かに存在する。それは紛れもない事実だ。

しかし近年魔法は知っているけど見たことがない、という人が増えてきている。

生活の中で魔法を使う場面がないのだ。


私の一つ上の世代ぐらいからカガクというものが発展してきておりそれによって魔法はなくてはならないものからあると便利なものへと変わってきている。

また魔道具と呼ばれるものが増えてきたことも関係しているだろう。


「こう言ってはなんだが…私はそんなに大したことはしていないと思うのだが…」


「そんなことありませんっ!!

 あの時ししょーが助けてくれなければ馬車を捨てて歩いて行こうかってなってたんですからっ!!

 それにあの時初めて魔法を見たんですっ!!

 あのショックは忘れたくても忘れられないですっ!!」


私にとっては身近でも彼女にとっては未知との遭遇だったわけか…


「その時から魔法を使えるようになりたいと思い始めたと?」


「はいっ!!」


「それで私のところにやってきたと?」


「はいっ!!ししょーの弟子になりたいんですっ!!」


これで私の所を訪ねてきた理由はわかった。

だがなぁ…弟子か…


「あー…見ての通り私は一人だ。

 今まで弟子なんていたことも誰かに物を教えたこともない。

 それに最近になって自分の食い扶持を稼げるようになってきたところなんだ。

 もし弟子になったとしてもちゃんと教えられるかもわからないし、その…生活の保障も…できないかもしれない」


「問題ありませんっ!!

 誰にでも初めてはあるんです!!ししょーなら大丈夫ですっ!!

 …ってことは私初めての弟子になれるっ!?」


…なぜか私が励まされている感じになってしまった。

励ましてきた本人は顔を手で覆って悶えてるし…


「エヘヘ…初めての弟子か…

 あ、生活に関してはアンバーさんが心配するなって言ってくれましたっ」


「どういうことだ?」


「お金を入れてくれれば何も問題はないし、ダメになったらそのままうちの店で働いてくれれば面倒見てあげるよ!って」


おかみさんとしてはどっちに転んでもおいしいわけか…


「ご両親は反対しなかったのか?」


「すっごい応援してくれましたっ」


「家を出ていくことにも?」


「むしろ都合がいいとかなんとか」


「…どういうことだ?」


「二人でのんびり旅行してくるって言って私をここに置いてそのまま出発していきました。」


すごい親だな…仲が良いのは何よりではあるが。


しかし、どうするかな…

なんとか断る方法を探してはいるが見当たらなくなってきたな…

やる気はあるみたいだし、お金や生活の心配もしなくていい、両親の許可もある。

なによりなんとか断ったとしても八百屋さんで働くことになったら嫌でも顔を合わせてしまう…

いっそ弟子になるのを認めた方が楽なんじゃないだろうか…

彼女の方を伺うと期待のこもった眼差しでこちらを見ている…


これは…私の負け…かな…

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