私を弟子にしてください!!—3
目が覚めたとたんに私を押し倒した少女は本日3度目になる言葉を繰り返してきた。
ついでに私のことを師匠と呼びながら。
また先ほどのようにしようかとも思ったがいつまでも同じことの繰り返しになりそうな気がしたので彼女の肩に手を置いてこう言った。
「分かったから一旦私の上からどいてくれないか」
そう言うと彼女は我に返ったのか顔を赤くしながらソファーの方へ戻っていった。
これでやっと話が出来そうだ。椅子に座りなおした私は、
「どういうことなのか一から説明してもらおうかな」
「ししょーの弟子にして欲しいんです!!」
頭が痛くなりそうだ。
「そうじゃなく…なんで弟子にして欲しいんだ?
そもそもなぜ私なんだ?」
「私魔法が使えるようになりたいんです!!」
ダメだ…頭が痛くなってきた。
こっちから全て聞き出さないと話が進みそうにないな…
「弟子にして欲しいとか魔法を使いたいというのはわかった。
だが、そもそも君は誰なんだ?」
「…あーっ!!」
なんの説明も自己紹介もせず暴走していたことに今更気づいたのか彼女は真っ青になりながら叫んだ。
「すすす、すいませんでした!!いきなり押し掛けたうえ数々のご無礼を!!
私、ジルといいます!!
今日この町に引っ越してきました!!」
少女の名前はジルというらしい。
やはりこの町の人間ではなかったようで引っ越してきたと言った彼女はなぜか自慢げな表情をしている。
「この町に借家なんてあったのか?」
「向かいの八百屋さんで使ってない離れがあってそこに住ませてもらうことになっていますっ」
そういえばそんな建物があったような…いや、あれは物置じゃなかったか…?
「そ、そうか。
それでどこからやってきたんだ?」
「ウルの町から来ました!!」
「…は?」