移り気な春
15.4.24 一連目削除
諦めきれぬ想いは
茜のぼやけた移ろいの中へ溶けて。
青の木々の梢の影に、
佇む失った面影の幻。
移ろう春の気がおかしくさせるのだ。
蹲る土竜のわたしを、
上ばかり見上げるカラスを、
飛び回り下りてこない蜂を、
この噎せ返る匂いの大地を。
冷めきらぬ掌は、
冷ややかな草を握りしめて。
銀の夢の月の明かりに、
照らされるわたしと……
声ならぬ喚きが涙を呼ぶのだ。
*
春が移り気なのは、きっと花のせいだと思うのです。散る花に、寄せる想いたちが諦めきれずにいるのでしょう。後半では、夢に冷めきらぬわたしが、冷たい草を握るところを想像しています。月に照らされているのは、わたしと亡くした面影たちです。そのことを思うと、声にならない喚きに似た感情が突き上げてくるのです。
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