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ありがとう  作者: 檸檬
5/19

Five



「あの....瑠羽さん?」


「ナニ」


志紀の電話に出た日から三日たった。

次の日でも来るかと思ったけど、

動きはない。


「志紀さんと話したんですか?」


「えぇ」


朝の静かな廊下を彷徨いていると、

陸都に会った。


「...やっぱり。だからか...うん」


一人で納得しないでよね。

意味不明な陸都を置いて教室へ戻った。



ガラッ...



不良達の視線が一気に集まった。


「あー!!瑠羽ちゃんやっと来たぁっ」


その中には屋上の5人の姿も。

ッチ...周りの席はこいつ等だったか...


「鞄あるのにいないから捜してたんだぜ?」


なぜ椎名千年達に捜されんの?


「どこいっ「席つけ〜」


タイミングよく陸都が入って来て、

HRが始まった。


「転入生がいる。入ってください」


そんな陸都の言葉も聞き流して、

空を見ていた。


女子が奇声をあげてるから、

イケメンなんだろうなぁ.......


「....ッルー」


切なそうに、震えた声で私を呼ぶ。

一年前のままの姿を瞳に映して彼を呼ぶ。


「ーー志紀...」


少し。少し微笑んで志紀の名を呼ぶと、

周りそっちのけで早足にこっちへ来た。


「見つ、けた....ルー」


ぎゅぅっと抱き締められて香る匂いに

なんだか落ち着いた。

会わなかったのは、自分の意思なのに。


「し、志紀さんっ席は...」


「ルーの横」


「....ですよね」


恐る恐る聞いた陸都に目もあわせず、

私を抱きしめたままの志紀に陸都も呆れ気味。


「...は?え、瑠羽の知り合い...?」


やっと反応を起こしたのは椎名千年。

それに何故か呼び捨てだし。


「ルー...「志紀、サボろうか」


志紀が聞きたい事、言いたい事は

関係ない奴らに知られたくない事。


「えぇ!?堂々とサボらないでください!!」


微妙に教師らしい事を言った陸都は無視して

教室を出た。向かったのは


........ーー屋上


「....ルー...俺を置いてかないで......

俺は、ルーが居ないと駄目で...」


今は六月で暑い。日陰に座った志紀の足の間に

座らされて後ろから抱き締められる形。


「もしかしたらっルー死んでるかもしれない

って思って何回も死のうとした。

全部、皐月達に止められたけど」


志紀が泣いているのか、体が震えている。


「志紀、ごめん。置いていってごめんね。

次どこか行くときは志紀も一緒だよ」


本当にあの時は有輝の事しか考えれなくて

他まで頭が回らなかった。


「....本当に?」


「うん。皐月達にはお礼言わなくちゃね、

志紀を止めてくれてありがとうって」


「ん...」


泣き疲れたのか志紀はそのまま寝てしまった。

私も動けないから寝てしまおうと瞼を閉じた。



ーーーーーーーーーー


ーーーーーー


ーーー



「.....ゃん...る...ち..瑠羽ちゃん」


「..........ッん..」


周りの五月蝿さに瞼を開けば、あの五人。

立ち上がろうにも体が動かないし...


「志紀、志紀起きて」


手を揺り起こせば目をあけた。


「ルーが先に起きるのって珍しい」


「志紀がこんな所で起きないのも珍しい」


志紀はゆるゆると頬を緩め笑うと

抱き締める力を増した。


「ストォーップ!!俺等の存在all無視!?」


無駄に綺麗な英語の発音。


「ルー、此処五月蝿い」


「無視しとけばいいよ」


自分の認めた者しか視界にいれない覚えない

志紀は椎名千年を知らない。


「瑠羽ちゃんサラッと酷い事言ったよね!?」


五月蝿いのは2名。後は静かだし。


「やっぱり場所移動しよう、志紀」


「ん」


山岸歩夢もムシすると、

隅で2人がいじけ始めた。...放置するけど


「臥龍【ガリュウ】」


ドアノブに手を掛けた時、

佐竹稜が口を開いた。


「知ってるか?」


何を言い出すのかと思ったら.....


「.....全国No.1暴走族」


本当は有輝達がNo.1だったのに。

有輝の死によって解散してしまった。

......私の、所為で


「貴方達でしょう?臥龍総長、佐竹稜」



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