表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ありがとう  作者: 檸檬
17/19

Seventeen




「皐月、ベッド借りる....」


「どーぞ...って志紀も一緒なのか!?」



こっちも何か叫んでるけど無視。

眠いし、めんどいし。



「....志紀、暑いって....」



ベッドに寝転がっても抱きしめられたまま。

本気で暑いから。



「.....。」



もーいいや.....睡魔が....



「スースー.....」



目を瞑ればすぐ寝れた。




ーーーーーーーーーー......

志紀side



「ルー....」



昨日は驚いた。

今まで俺がルーに触れても嫌がらないのは

俺を通して有輝を見てるって思ってたから。


俺だから受け入れてくれてた事に、

とても嬉しさを感じた。



「ん.....志紀...」


「え?」



寝言で俺を呼んだのは初めて。

いつも有輝を呼んでて苦しそうだった。


今までルーは有輝のモノだったから

色々やりすぎない様に制御してきたけど、

ルーは俺に愛してるって言った。



「ありがと...ルー」



一人ぼっちだった俺。

一人ぼっちだったルー。


ルーと出会って一人ぼっちじゃなくなった。


それから有輝達と出会って、

ルーが有輝と付き合うようになっても

俺の側にいてくれた。


有輝も良い気なんてしないのに、

黙って見守ってくれてた。


皐月、陸都、蜜、大翔....

直接言ってやらないけど感謝してる。



「愛してる」



眠ってるルーにキスして立ち上がった。



ーーーーーーーーーー......

瑠羽side



「んー...ふぁ...」



目が覚めてボーッとしてると変化に気付いた。



「志紀......?」



あの温かい体温が、無い。

どこ行った...?


私から離れる事なんて、無かったのに。



「志紀っ...」



急に不安が襲ってきてベッドから飛び出した



「どこ.....」



理事長室を出て教室に向かう。



「はぁっ....」



いない、どうして?

このくらいの距離を走ったくらいで、

焦りと不安で息切れし始めた。



「あれ、瑠羽ちゃん?どうしたの?」


「志紀...っ....見なかった?」



加島昴が焦った私を見て寄ってきた。

いつもなら聞いたりしないのに、

いきなり消えた不安で聞いていた。



「海藤?知らないけど....」



志紀も私が消えた時こんな不安だったの?



「え、瑠羽ちゃん!?」



携帯、お願い....出て....



《ルー....?》


「っ....志紀....」



よかった....



《....どうした?》


「どこにいるの....?」


《.....教えられない》


「な、んで.....」



教えられないって事は私と会えないって事?



「志紀...っ....!!」


《ルー、すぐ帰るから》



志紀の“すぐ”は数分、数時間じゃない事は

知ってるんだよ。


数日、もしかしたら数ヶ月。



「っいなくなるの....」


《....少しやる事があるだけ》



枯れたはずの涙は、

また私の大切な人が遠ざかる事によって

溢れてきて。



「...っ....ぅ...」


《ルー泣かないで...ちゃんと帰るから》


「約束したのにっ....」


《...ごめん》



お互いもう離れないって約束。



《でも...俺1人でケジメ付けたいんだ》


「絶対....帰ってきてよ」


《帰ってくるよ》



なんのケジメかなんて分かってる。

志紀の家族の問題だから。


電話を切って誰もいない廊下に

ズルズルと座り込んだ。



「...っ...く...ぅ」



昨日いきなり愛してるなんて言った理由も

昨日と今日ずっと抱き締められてた理由も

全部わかった。



「志紀....」



また笑えなくなるけど許して。

貴方がいないと無理だから。



「愛してる....」



いつのまにか右手の薬指に通されてる

ネックレスの指輪とは違う指輪。

左手じゃない所が志紀らしい。



指輪の内側に彫られた言葉。


love you forever.

(あなたを永遠に愛します)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ