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極の細道  作者: 江泉 敬
3/5

バカと弱者はヤクザになるな

 善良な市民にとって不良やヤクザとは恐ろしいとか怖いイメージしか無いと思うが、ごく一部のイケイケドンドンな人以外はあまり一般人と変わらないように思う。

むしろイジメ被害者であったり差別階級の人であったりする場合も存外と多い。

環境が変わる事によってまわりの扱いも劇的に変わるのがこの世界で、組の代紋を背負う者と敵対すると言う事は組そのものと敵対すると言う意味合いを持つ。

 いじめっ子が出来るのは弱い者いじめだけなので、ヤクザの組と争うなんて出来るはずがない。そうなると当然昨日までいじめていた相手にも敬語を使い、逆にどんなに理不尽な目に合わされても尻尾を巻く。

よく通り魔殺人などで犯人が


「相手は誰でも良かった」


 などと言うがとんでもない。自分より弱くて簡単に殺せる相手なら誰でも良かったの間違いである。現にヤクザの組事務所に押し入って大量殺人を行った者の話など未だかつて聞いた事がない。

ともあれこんな風に様々な背景があってヤクザの世界に身を投じる気弱な若者も善良な若者も居るのだ。

 とは言えこの業界甘くはない。会社とは違って給料が出るどころか上納金を収めなければいけない。収められない者はとにかく組の為に無給(温情で小遣いぐらいはたまに貰える)で働かなくてはいけない。これはどういう事かと言うと各個人が個人経営主であり、経営するにあたって組の名前や物資を使わせて貰う立場にあるからだ。

 元々ははぐれ者の集団ではあるが、より多くのカネを持ってくる者の立場が良くなるのは当たり前の事だ。

それは違うぞ、ヤクザは侠気を売る商売だろうと言う人も居るかと思う。

だがこれを狼の集団と考えてみて欲しい。群れの為に獲物を仕留めて肉を持って来る者が粗略に扱われる訳が無い。狼にとっての肉がヤクザにとってのカネなのだ。その図式で考えれば力も知恵も無い狼は残り物の骨をしゃぶるしか無い。人間社会ならばもっとそれが顕著に表れるだろう。

 頭が悪くて短気で単純な暴力以外は使えないヤツをどう扱えば効率的か?となるともう鉄砲玉しかない。案外と懲役に行ったり場数を踏んだりしていると狡猾で恐ろしいヤツになる事が多々ある。ヤクザ特有の黙っていても周りを威圧する空気を出せるようになるのもこのタイプだと思う。

 そしてさらに下、頭が悪く力も度胸も無いヤツをどう扱うか・・・残酷な言い方だがそいつの身内を食う事になる。何だかんだと理由をつけて親兄弟からカネをむしり取る。本人がむしり取るように仕向ける。

ヤクザ組織と言う物はヤクザになんか絶対に向いていないヤツにでも気軽に入れそうな門戸を少しだけ開いている。枯れ木も山の賑わいを兼ねた非常時の財布と盾に成り得るからである。


 出どころはハッキリとは分からないが、いかにもありそうな有名な話がある。

とあるヤクザの若衆が宝くじで3億円当てた。本人は大喜びだったが兄貴分たちに全部取られてポンと100万円だけ渡されたという。納得の行かない若衆は当然不平を言う。それでどうなったか・・・

若衆は指を詰められて破門されたと言う。

これが理不尽だと思うなら最初からヤクザになどならない方がいい。そうではない者も居るが、カネに汚く我が身かわいさで下の者を踏みつけるのが大多数のヤクザだと思ったほうがいい。


 もっと残酷な事を言ってしまうが、君はヤクザとして一生暮らす事が出来るか?

常にいつ殺されるかか分からないと言う緊張状態を続ける事が出来るか?

歳を取り、または何らかの事情で引退した時にカタギとして生きていく方法はあるか?

他にも色々あるがやはりこのへんに尽きると思う。刺青を入れた人間はつまらない言い方をするとサラリーマンにはなれない。公務員なんてもってのほかである。これは本人だけではない、子供も公務員にはなれない。銀行も無理である。この事実に耐えられるかどうか、それを今ヤクザになりたいと思っている若者に問いたい。

どうにも説教臭くなってしまったが結論としてはこのひとことに尽きる。



バカと弱者はヤクザになるな。

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