飛行機
私はそれを初めて見たときに、胸を覆う感動と焦燥を心地よく感じ、込み上げてきた涙が目を隠した。
大空を舞う、人が造り上げた鳥。
飛び立つときの疾走感と優雅に降下してくるその姿は、どこまでも綺麗で美しい。
雛鳥が安全に飛べるように、親鳥たちが手を尽くしているのだろうと考えると、よりその感動が大きく感じる。
近くには様々な人がいた。
涙を流しながら手を振る人。
目をキラキラと輝かせる人。
不安そうな顔をしながら空を見上げる人。
別れも再会も希望も悲哀も全てを包み込んで、どこまでも続く大空へと迷いなく飛び立つ。
私はその姿をずっと忘れないだろう。
いつか雛鳥の一員となって、一緒に大空を旅したい。
そんな想いを抱きながら、舞い上がっていく鳥を眺めていた。