8話
11歳
小学六年生となりそろそろこの学校ともおさらばである。
仲良く慣れた友達もいたが俺は魔法専門の学校に行くのでもう会うことはないだろう。
11歳になるまで俺は毎日魔法の訓練に明け暮れていた。
中級までの魔法を完全にマスターして適正のない『炎魔法』もある程度使えるようになっていた。
魔力や体も成長しており魔力は1080になり身長も150cmとわりと高い部類になっていた。
因みにこの体の外見は金髪の髪にブルーの瞳とかなり目立つ外見になっているが、日本でも黒髪じゃない人が大半のようで髪の色も多種多様なんだとか。
そんなある日学校の下校中に突然街中にサイレンが鳴り出した。
「こっこのサイレンは…」
このサイレンは街に魔物が入った時に鳴り響くサイレンだった。
「みんな落ち着いてっ」
小学校ということもあり集団下校だったのだが突然のサイレンにみんなパニックになりかけていた。
何人かは焦って泣いてしまったかもいるがほとんどの子は声を聞いてくれ落ち着くことができたようだ。
こういう時は近くの学校や公共施設に逃げ込むことになっている為学校に戻ろうとした時、突然前から巨大なライオンの体を持ち頭の位置する場所に鷹とライオンの頭が生え、尻尾には二頭の蛇が生えた魔物が迫ってきたのだ。
ほとんどの子供が異形の魔物の姿を見て怖くなってしまい逃げることすらできず固まってしまった。
正直俺も逃げ出したいところだがここで子供達を見殺しにして逃げるなんてことはできない。
それにこれまでずっと魔法の訓練をしていたのはこういう時に使う為なんだ。
ここで逃げ出しては一生後悔してしまうだろう。
「こっちだ!化け物!」
大きく声をあげて顔面に『水魔法』で作り出した氷塊を当て子供達とは反対の方に走り出した。
幸い魔物は子供達に目を向けることなくこちらに向かって一直線に走ってきていた。
顔に当たった氷塊は運良く目に突き刺さり怒りの露にしながら走ってきている。
魔物の足は速くかなりのスピードで向かって来ている。
いくら魔力で体を強化しているとしても魔力にも限界があるあと5分が限界だろう。
これ…死んだかもな
魔物は俺の体の二倍程の体を持っているので魔力で体を強化してもそれを超える速度で走ってくる。
俺は魔物を迎え撃つために地面に『土魔法』で巨大な泥の落とし穴を作り出した。
『土魔法』は得意ではないこともありかなりの魔力を消耗した。
残りの魔力は落とし穴にハマった所にとどめを刺す分しか残っていない。
後はもうハマってくれと願うのみだった。
ただそんな心配も虚しくあっさりと魔物は落とし穴にハマったのだった。
あっさり……ハマった…。
目を潰されたことに怒り狂い俺だけを見ていたようで片目がないこともあり不自然な泥の落とし穴に気付かなかったようだ。
泥の中でもがいているようだったが抜け出す様子はなくどんどん沈んでゆき遂には鷹とライオンの頭が覗くだけとなってしまった。
何とも言えない気持ちになりながらも頭を『土魔法』で作り出した岩で押し潰し、魔力切れと緊張が抜けたことにより気絶するように寝てしまったのだった。
そして何とも言えない感じで異世界での初戦闘は終わったのだった。