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2024年3月12日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#127 つじつま


 サクソフォン奏者八巻和行(やまきかずゆき)さんのラジオ番組

 こうのすFM フラワーラジオ

 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)

   八巻和行の七転び八巻

 

 というラジオ番組の投稿コーナー

  妄想【愛の劇場】

 毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。


 小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。

 そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。


 妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!! 

 こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです! 

 《番組への参加方法》

 ①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioリスラジのアプリをダウンロード

 フラワーラジオを選局して、お気に入り登録

 ②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー

 ③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表

 ④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿

 ※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。

 ※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。



 サイト投稿回数 第74回目の今回は………

 2024年3月19日放送。

 妄想【愛の劇場】#127 つじつま


 妻のマヒロとの出会いは、運命だとヤマキは感じていた。

 ひと目見て彼女の全てが愛おしく思った。常に一緒に居たいと思った。

 ヤマキはマヒロを何度も口説いた。

 マヒロはなかなか首を縦にはしなかった。しかし、ヤマキは何とかデートに持ち込んだ。


 マヒロとの初めてのデートは、フレンチレストランだった。

 まだ学生だったヤマキはマヒロに良いところを見せたいと、少しだけ無理をして背伸びをした。

 マヒロはそんなヤマキを心配しながらも、初めてのデートをとても喜んでくれた。

 その思い出のレストランに、ヤマキはマヒロに呼び出された。


「懐かしいね。マヒロさんと初めてのデートで来たレストラン」

 席につき、ヤマキは店内を見回す。そのデートからかれこれ二十年以上の時間が過ぎているが、久し振りにやって来たレストランはあの頃のままだ。

 ヤマキと向かい合う様に座るマヒロに色々と話しかけるヤマキだが、マヒロはヤマキの言葉には反応せずに黙っている。

「マヒロさん?」

 マヒロの様子にヤマキが不安そうに声をかける。

 マヒロは上目遣いでヤマキを睨みつける。

「マヒロさん?」

 マヒロは、ひとつ小さく深めの呼吸を落とし、カバンから何枚もの写真と書類をテーブルの上に広げた。

 ヤマキはそれらを見て愕然(がくぜん)とした。

「マヒロさん、これは……」

 一番最後に大切そうにテーブルの上に置かれたのは、離婚届書だった。

「どういうつもり?」

「あなたが一番よく理解している事でしょう?ヤマキ」

 ヤマキは言葉を失った。


 テーブルの上に広げられた写真には、ヤマキが複数の女性と親しげにしている様子が写っていた。

「たくさんお友達がいるのね」

 マヒロは1枚1枚を丁寧に写真と資料をヤマキに見せた。

「出張があると言って家を空けた時に旅行したお友達。休日出勤だと言って一緒にお出かけしたお友達。このお友達との日帰り旅行に(いた)っては、私の妹のお葬式があってお休みしたんですって?私に妹なんて居ないわよね」

 ヤマキは愕然(がくぜん)とした。マヒロの顔をまともに見る事ができなかった。

「全員と並行して続いているって資料に書いてあるけど、家に入れるお金は無くても、お友達と遊ぶお金はあるのね。ヤマキ、説明して」

 感情の無いマヒロの言葉に慌てながら、ヤマキは少し早口になりながらもマヒロを納得させるべく事情を説明した。

「出張先の交渉相手が彼女で、大事な仕事があったんだよ。休日出勤で会った彼女は相談したい事があるからって言われて会っただけだし。日帰り旅行は、彼女の妹が亡くなったからその彼女の傷心旅行に付き合っただけなんだよ!」

 ヤマキはマヒロに取り(つくろ)う。

 なんでオレはこんな事を言わされているんだ?

 オレは彼女たちに付き合わされただけだ。

 オレは悪くない!

 言い訳をするヤマキをマヒロは黙って見ていた。

「情けない……」

 マヒロは吐き捨てるように呟いた。

「私、この3人のお友達とお会いしたのよ。話もしたわ」

 ヤマキは再び愕然(がくぜん)とした。

 まさか、マヒロが彼女たちと会っていたなんて。

「3人のお友達との付き合いの始まり方が、学生時代と変わらなくて笑うしかなかったわ」

 ヤマキを見るマヒロの目が汚いモノを見付けた様な色味を帯びていた。

「マンションから、早く出て行って」

 マヒロはそう言うと、写真と資料を再びカバンにしまい込む。

「マヒロさん!!」

「離婚届書は私が出します。さようなら」

 マヒロは振り返りもせず、ヤマキの前から消えた。


 妻のマヒロと初めてのデートで来たフレンチレストランで、妻のマヒロと別れ話をした。

 マヒロは静かな怒りだけを吐き出して、店を出て行った。

 ひとり残されたヤマキには、運ばれてくるはずの料理すら無かった。


 ありがとうございました。

 次回もラジオ番組の投稿コーナー

 妄想【愛の劇場】へ投稿した作品の投稿になります。


 妄想【愛の劇場】#129「セール」

  ※3月19日放送 #128 まちぶせ 不参加

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