第七話 4匹
三男ヤギは全力で走り、オオカミとブタを引きつけることができました。
しかしブタの数が足りません。
どこかではぐれてしまったのでしょうか。
不安になりましたが、今はとにかく走るしかありません。
兄弟の中で一番脚が速いものの、オオカミだって俊敏な生物なのです。
追いつかれれば最期、おとなしく食料にされるつもりはありません。
全力で走り続けた結果、三男ヤギは喉が渇きました。
追跡者との距離は充分にある。
水分補給をするなら今しかない。
そう思い、彼は立ち寄った湖に口をつけました。
その時です。
突如として現れたオオカミが三男ヤギに飛び掛かり、
首根っこを噛みつかれた彼は為す術もなく食い殺されてしまいました。
そのオオカミは三男ヤギを追ってきたオオカミではなく、
元々その湖を縄張りにしていたオオカミでした。
三男ヤギはお母さんヤギが向かった方向とは逆に進んでいった結果、
知らず知らずのうちに危険な領域へと踏み込んでしまったのです。
皮肉にも、そのオオカミこそがお母さんヤギが警戒していた悪いオオカミでした。
しばらくしてオオカミとブタが追いつきましたが、
そこにはもう三男ヤギの姿はありませんでした。
オオカミ同士にどのような力関係があったのかはわかりませんが、
追ってきたオオカミは湖オオカミの姿を見るや否や踵を返し、
すぐさまヤギの家へと引き返しました。




