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田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件
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“松江フォーゲルパークダンジョン”を楽しんで進む件



 “松江フォーゲルパークダンジョン”の探索は続き、4エリア目は再びペンギン獣人とパペット兵が1ダースのお出迎え。ここは緑の植え込みも鮮やかで、まずまずの場所だった。

 ただし、ヤンキー顔のペンギン獣人は、全く可愛くなくて残念な限り。ドロップもほぼ魔石のみで、このダンジョンの回収は割とシケている気が。


 逆に景色と言うか、景観はエリアごとに凝っていて素晴らしい。そう指摘する長女だが、がめつい末妹はドロップ品の方が良いみたい。

 それでも探索は順調で、1層目は30分と少々で次の層へのゲートに辿り着く事が出来た。ほぼ1本道のエリア渡りが、その主な原因だろうか。


 ちなみにゲートのあるエリアにいたのは、3メートル級のウッドゴーレムだった。そいつは階層主らしく、その巣箱から猛禽類の鷹だか(ワシ)だかを数匹召喚する戦法スタイル。

 とは言え、凄いのはそれだけでハスキー達によって楽々撃破されて行った。レイジーは炎のブレスすら使わず、(ほむら)の魔剣で真っ二つの省エネ戦闘振り。


 召喚された猛禽類は、ツグミが盲目状態にして地面に叩き落とし、コロ助と共に処理してしまった。その早業(はやわざ)は、すっかりベテランの探索者である。

 貫禄すら(まと)って、もはや少々の事では動じないってその態度。


「ハスキー達も、何て言うか貫禄みたいなのが出て来たよね、叔父さん。探索慣れしちゃって、もはや省エネでMP管理もバッチリみたいな感じじゃない?

 前はもっとスキルとか派手に活用して、カメラ映えも良かったのにねぇ」

「言われてみたら確かにそうだな、まぁ間引き作業は派手さよりも堅実さが第一だから。ハスキー達は、そこを理解してこなしてくれているみたいだね。

 本当に有り難い限りだよ、これを茶々丸も理解してくれたらな」

「それは無理かも、だって茶々丸だもん……それより、ようやくドロップが出たと思ったら(まき)だったよ。シケてるなぁ、このダンジョン!」


 まだ1層目だからねと(たしな)められ、渋々と一行に続く香多奈はなおも不服そうな表情。それはともかく、チームは2層目に降り立って探索を続ける。

 そこも天井がしっかりとある建物内で、全天候型の施設は伊達では無さそう。フィールド型のダンジョンだと、どっちに進むべきかを迷って大変なのだ。


 その点は有り難いが、出て来る敵が全て密集と言うか群れを成して来るのは避けられない。そこを注意しつつ、進んで行く来栖家チームの一行。

 ルルンバちゃんも、今回は中衛なんだと姫香と打ち合わせを行なって心構えを新たにしている。この陣形が上手く機能すれば、姫香の負担も軽減される可能性も。


 具体的にはヤン茶々丸のフォローだが、それをAIロボに任せるのもさすがに気が引ける。それでも、半分くらい(にな)って貰うだけで負担軽減は大きいかも。

 そもそも、ルルンバちゃんと茶々丸だが、仲はそんなに悪くないし相性も良い。ルルンバちゃんが外作業をする時には、良くついて回って行動しているこのコンビ。


 AI草刈りロボが作業をする側で、のんびり草を()む仔ヤギの姿は、夏場など良く見掛けたモノ。そんな訳で、その相性の良さで素晴らしいコンビプレーを見せて欲しい所。

 そう護人は思うが、性格の真反対なこの両者の行動はやっぱり不安かも。




 そんな事を考えている間にも、ハスキー達は2層のエリアを進んでいた。最初の建物は例の(ごと)く、植物園っぽい室内エリアで色鮮やかな花が咲き乱れている。

 その合間を縫って進むのだが、敵のお出迎えは今回も早かった。こちらもパペット兵とウッドゴーレムのペアで、さっきより明らかに数は多い。


 装飾も同じで、蔦絡みや巣箱のアクセントは見慣れると可愛いかも。しかも倒した途端に、今回は巣箱をドロップするウッドゴーレムであった。

 ついでに薪も落ちて、まるでシケてると言われて慌てて軌道修正したかのよう。そんな筈は無いのだが、思わず(ヌシ)に会話を盗み聞きされてる感覚に(おちい)ってしまう。


「巣箱なんか貰っても使い道がねぇ……まぁ、一応は拾っておくけどさ。あらっ、そっちは蔦がドロップしたの、茶々丸?

 ってか、それモンスターだよっ、まだ生きてる奴っ!」

「うわっ、コイツって擬態モンスターなのねっ……萌っ、やっつけて! 驚いたわね、動かないからてっきりドロップ品かと思ってたよっ!

 油断しちゃってたよ、反省しなきゃ」

「ビックリしたねぇ……蔦がまるで蛇みたいに動いて、茶々ちゃんに絡み付いてたよっ。平気だった、茶々丸ちゃん?」


 仔ヤギの方は、絡み付かれただけで攻撃されたとも思っていなかった様子。それでも放置していたら、確実にもっと酷い目には遭っていただろう。

 お互い用心を呼び掛けて、擬態の蔦型モンスターの情報を脳内にインプット。実際に、蛇くらいの締め付ける力があったら、意外と抜け出すのは大変らしい。


 それはともかく、ツグミやルルンバちゃんも擬態を見抜けずちょっと悔しそう。茶々丸もシャドウ族には敏感なのに、植物系の擬態には間抜けに引っかかると言う。

 良く分からないが、属性が違うと見分けのポイントもズレて来るのかも。そんな話をしながら、一行は扉を潜って次の建物へと移動を果たす。


 今回は、次のエリアも植物が地面から生い茂っていて、鉢植えでは無い賑やかな(たたず)まい。敵は何が出て来るかなと、中衛の姫香は用心しながらハスキー達に続く。

 そしてまず出現したのは、尾の長い色鮮やかな鳥型のモンスターだった。鳥の種類は不明だが、金切り声が凄くて居場所の特定には困らない。


 せっかくのジャングル仕様なのに、羽根の色も派手で何とも残念な敵である。そう思って討伐に向かう前衛陣だが、なんとそれは壮大な罠だったと言う。

 地面から植物タイプの敵の待ち伏せにあって、珍しく驚き模様のハスキー達である。それはトラバサミ型の食虫植物で、大きさはトラックのタイヤサイズ。


 違和感を感じて、見事に避けたコロ助は恐らく《韋駄天》を使用したのかも。それにまんまと()まる茶々丸と、(はさみ)が閉じ切らないよう槍を器用に使う萌。

 中衛の姫香は驚いて、咄嗟に助けに向かって自分も()まってしまっていた。大慌ての一行だが、そこは中衛初参加のルルンバちゃんが踏ん張った。


 すかさず隣にいた姫香を救助して、周囲の怪しい場所を踏んづけて回るその魔導ボディの頼もしさ。自ら()まって罠の場所を明かすスタイルは、彼ならではの手法である。

 救出された姫香は、一瞬だけ呆気(あっけ)に取られていたが、すぐに土底に隠れていた敵を認知する。それから改めて武器を手に、そいつ等を片っ端から魔石に変えて行く。


 愛用の『天使の執行杖』は、いつの間にか懐かしの(くわ)形態に変わっていた。そして地面の食虫植物を耕すような一撃で(ほふ)って行くその速度はさすが農家の娘。

 その頃には茶々萌コンビも救助されていて、ハスキー達も戦闘に参加していた。その頃の後衛陣だが、実は別の植物系モンスターに襲撃されていた。


 そいつ等も、恐らく土中というか植物に紛れて擬態していたのだろう、根っこ型の、歩く小型マングローブみたいな敵の姿はどこかユーモラス。

 そいつ等は、護人と2号ちゃんで今の所はブロックに成功している。向こうも、派手な色の鳥が上空へと気を()いており、それは何故か現在ヒバリが猛攻を仕掛けていた。


 どうやら末妹も、仔グリフォンの制御には疲れてしまっていたようだ。放任主義へとシフトして、好きに暴れ回るヒバリは見事な『飛翔』を見せている。

 やはり適性はバリバリにあったようで、最近は短時間ならかなり器用に飛び回れるヤンチャ娘である。これで《巨大化》を操れたら、子供たちの心配も少しは薄れるのに残念。


 そんな感じで、待ち伏せに遭った来栖家チームだったが、10分後には全て返り討ちに成功。派手で嫌な鳴き方をする鳥の群れも、最終的には半ダース近くいた。

 戦闘能力こそ低かったが、その鳴き声は気を()らしたり注意力を散らす能力があった模様。それに負けずに戦ったヒバリは、さすが生まれながらの戦闘種族。


「ふうっ、さすがA級ダンジョンだねっ……まさか2層目で、こんなに苦労するとか思ってなかったよ。後衛陣も、待ち伏せに遭ってビックリしたねっ!

 まぁ、護人さんもいたからそこまで慌てなかったけど」

「後衛は基本、前衛陣の後ろをついて行くからね……だから待ち伏せと言うより、密林から出て来た敵だけに対応した感じかな」

「妖精ちゃんが、あの妙な声で鳴く鳥がクセ者だったって言ってるよっ。注意力を下げる、弱体スキルの効果があったみたいだね。

 そのせいで、前衛陣は待ち伏せの植物の群れに突っ込んだのかもっ?」


 その説明を聞いて、なるほどと納得する姫香であった。つまりルルンバちゃんは、そんな弱体スキルもマルっと無視してしまえるらしい。

 茶々丸が待ち伏せの罠に掛かったのは、まぁ何となく納得出来てしまう。ただし、騎乗していた萌が冷静に対処してくれて本当に助かった。

 何だかんだで、あの2匹は良いコンビである。


 それはともかく、またあの鳥が出て来たら要注意&即始末との情報の()り合わせ。ハスキー達にも通達して、茶々丸にも一応は要注意を飛ばしておく。

 その辺は姫香の仕事だが、仔ヤギはちっとも()りていない様子。叱り甲斐もないが、まぁこれも個性かなと姫香も特に気にしてはいなかったり。



 突入からもうすぐ1時間、小休憩を挟んで来栖家チームの2層の探索は続く。待ち伏せのあった密林地帯エリアは、しかしその後は敵の襲撃もなく抜ける事が出来た。

 そして次の建物エリアだが、やけに天井が高くてこれまた嫌な予感に(さいな)まれる一行。これならワイバーンくらいは軽々飛べるねと、香多奈はいつもの軽口を呟く。


 そして、それが数分後に実現するのもいつもの来栖家クオリティ。もはや慣れっこの姫香は、末妹を(にら)む労力も惜しいって感じ。

 一方の香多奈は、3匹は多いねぇとの発言を繰り出して老猫(ミケ)へのご機嫌伺い。ミケも多いと思ったのか、束の間雷撃が空を切り裂いて1匹が撃墜されて行った。


「おおっと、ミケが落雷で1匹仕留めてくれたぞ……空にいる内に、俺とルルンバちゃんでもう1匹仕留めようか。

 出来れば接敵前に、何とか全部を退治したいな」

「あんな大きい奴と、殴り合いしたくないもんね……まぁ、いざとなったらミケが《魔眼》で“待て”をしてくれるかな?

 取り敢えず、接敵した時用に壁を作るよ、コロ助っ!」

「頑張って、みんなっ……ここでワイバーン肉をたくさんストックして、年末年始のお祝い行事に備えるよっ!

 後はこのダンジョン、鳥肉もいっぱい拾えると思うのっ」


 そんな末妹の希望的観測だが、数分後には見事に叶えられる事に。3匹のワイバーンは無事に討伐され、2個のワイバーン肉の塊をゲット出来た。

 それを素直に喜ぶ子供たち、もっと稼げるねと姫香も呑気な物言いである。探索が終わったら、ハスキー達にも振る舞ってあげるねと香多奈も太っ腹。


 もちろんそれは、真面目に働いたハスキー達にとっては正当な報酬ではある。それでも、末妹の言葉に一気にテンションの上がるハスキー達であった。

 そんな感じに、“松江フォーゲルパークダンジョン”探索は続いて行く。





 ――A級ランクだけあって、まだまだ驚く仕掛けは多そう。







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