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田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件
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5層の中ボスを何とか撃破してもう少し深く潜る件



「おっと、キッズ達は既に戦闘中か……ってか、あのオーク集団って、ひょっとして中ボスじゃ無いかな?

 このエリア、他に敵の気配が無い気がするんだが」

「えっ、マジでっ? ツグミ、ちょっと周囲をチェックして来て……いきなりオークって、キッズ達大丈夫かなっ!?」

「うむっ、少なくとも久遠(くおん)は平気だろう……何しろ、毎日ムッターシャと打ち込みの特訓をしてるからな。あの程度の体格差は、苦にはならないと思うぞ。

 それより、(あかね)もようやく動く気だな。魔法を撃つ準備をしてるぞ」


 さすが土屋女史は、普段からキッズ達をよく見ているだけはある。桃井姉弟と最年少の(りょう)の、個性とか現状戦力は良く把握している。

 手強いボス級とみて、魔法を温存していた茜が動き出す気配。前衛と声を掛け合って、射線を通して貰っての炎の矢を連続で放つ。


 そこはさすがのレアスキル、《大魔導士》は伊達では無かった。まだまだ使いこなせているとは言い難いが、その威力は未成年にしてはなかなかのモノ。

 何と、後衛にいた敵のオーク魔術師まで巻き込んでキルまで奪ってしまった。やったと喜ぶ遼は超無邪気、今が戦闘中と言うのをスッポリ忘れている感じ。


 茜も素直に喜んでしまって、追撃するとかの騒ぎではない。まぁ、そこは前衛陣が出来た隙を見事に突いて、一番大柄なオークを倒す事に成功した。

 その辺は、久遠も超レアな《勇者》ってスキルを持っているだけはある。まぁ、弟の方もまだ全然使いこなせてるとは言えないけど将来性は充分だ。


 ムッターシャも鍛錬に力を入れているのがその証拠、本人は迷惑かも知れないけど。とにかくそんな調子で、手強いと思っていたオーク軍団はいつの間にか半減以下に。

 双子も持ち前のコンビプレーで活躍して、その点は一番安定しているのは間違いなし。数分後には中ボスらしきオーク団は、綺麗に討伐されて周囲はようやく静かに。


 そして突然出現した宝箱と、同じく突然開いたすぐ近くの玄関に驚きの表情のキッズ達。どうやらさっきの一団が、中ボスだとは思っていなかったよう。

 突然ゴブリンとは違う敵が出て来て、ここは踏ん張らなきゃと感じての激闘だった模様。それはナイス判断だったと、土屋女史が保護者を代表して子供たちを褒める。


「敵の後衛には、オーク魔術師もいたみたいだからね。茜の判断は良かったわよ、結果的にも味方に被害は出てなかったし。

 ただし、戦闘そっちのけで喜び過ぎて、ユフィへの指示出しをスッポリ忘れてたね。そこは大きな減点だからね、遼っ!」

「あっ、本当だ……ごめんなさい、みんなっ」

「遼はまだ小っちゃいからな、色々と失敗するのは仕方ないよ。今日は10層まで行く予定だから、次から忘れず頑張ればいいよ」


 そんな感じでお兄ちゃん振る龍星(りゅうせい)は、弟分が出来て心持ち楽しそう。ツンデレ気質の天馬(てんま)も、その点は同様みたいでチームワークに関しては良好そう。

 とにかく、順当に5層の中ボスの間を突破出来て何より。保護者役の姫香は、それじゃあここでお昼を食べようかと、一行に提案を飛ばしてのお昼休憩に。


 子供たちが宝箱の確定を行う間に、ツグミの《空間倉庫》からキャンプ用の椅子やテーブルが用意されて行く。それからお待ちかねの、紗良姉の作ってくれたお弁当。

 その量はいつも多過ぎって思うのだが、何故かこの人数で食べると綺麗に消費されてしまう不思議。子供たちも、お昼の気配を感じて宝箱のチェックも早々に合流して来た。


 ツグミもお裾分(すそわ)けを貰おうと、ちゃっかり脇の甘い遼の側に陣取る周到振り。さすが頭脳派の忍犬である、姫香もそこは容認する意向。

 そうして賑やかな昼食の始まり、ダンジョン内とは思えない呑気な食事の風景である。その辺は、既に慣れてしまった山の上の『日馬割』ギルドの面々。


 ちなみに宝箱の中身だが、薬品や鑑定の書や魔玉(光)などの定番品が少々。それに混じって、蛍光灯や小型ラジカセなどの家電製品や、調理器具などが入っていたそう。

 家で使う品の回収品が多いのは、そんな特性ダンジョンなのでまぁ順当と言える。この手の品なら、自分たちで使っても良いし青空市でも売れてくれそう。


 そんな話をしながら、保護者の土屋は子供たちの体調チェックにも抜かりが無い。何しろスキルは一級品を備えていても、スタミナ的にはまだ不安の残るキッズ集団なのだ。

 まぁ、見た限りではご機嫌にお握りや卵焼きを頬張る、彼らの表情には疲労の類いは見当たらない。その点は良かった、まだ予定では5層分の探索が残っているのだ。


 実際、土屋としてはこのスケジュールは厳し過ぎと思わなくもない。姫香の思惑も分からなくはないが、新人チームの平均探索階層は3~4層で、中ボスとも戦わないのが一般的。

 それで食べて行けるかと問われれば、余程の運が無ければ難しい。宝箱を幾つか回収出来ないと、チームが赤字になる事だって普通にあるのだ。


 なので、中ボス戦×2回をクリアすれば、確実に黒字でしょとの理論は正しくはある。問題は、そこまで到達出来る戦力と体力が新人チームにあるかどうか。

 幸い、運と言うか回収品を見付ける眼力は、後衛の遼が持っている事が分かった。その点は本当にラッキーで、今後も是非とも活用して貰いたい。

 特にこんな隠し場所の多いエリアだと、その力は光り輝いて見える。




 そんな事を考えていると、いつの間にか昼食休憩は終わりを迎えていた。ツグミも遼からお裾分けを貰って、この上なく上機嫌である。

 他のキッズ達も、あと半分頑張るぞと気合は充分な感じ。最後に紗良お手製の果汁ポーションで(のど)を潤して、探索に向けての準備もバッチリ。


 そうして始める、午後からのキッズチームの探索である。6層目に向けてゲートを超えて行った新人ズは、変わらぬ家の並びをみてホッと一息。

 ただし、太陽の位置は完全に傾いていて、夕闇が周囲に拡がり始めている感じ。子供は家に帰る時間だが、ここはダンジョン内なので何とも言えない。


 この変化に、新人ズも敏感に反応して警戒心を強めて周囲を窺う。そして発見したのは、人型のゾンビとスケルトンの群れだった。

 うわっと驚く子供たち、どうやらこの階層の情報は不確かだったようで新鮮なリアクション。それから慌てて、対死霊用の装備に変更して行く前衛ズ。


 それまでの時間を確保してと、茜は隣のユフィに命令する。それを受けて、前衛へと進み出る頼もしい小型の魔導ゴーレムであった。

 そして素手と仕込みの金棒で、死霊軍と接近戦を始める護衛役のゴーレムであった。その間に後衛陣は、鞄から浄化ポーション入りの水鉄砲やら『木の実爆弾』を取り出している。


 前衛陣も、久遠が光属性の『王者の剣』を取り出して、即座に死霊の群れへと対処して行く。(あわただ)しい6層の出発地点だが、このまま行けば何とかなりそう。

 これは盾役となった、ユフィと双子の功績が非常に大きい。礼を述べながら前線に参加する久遠と、元気に魔法の水鉄砲で加勢し始める遼。


 弱点属性を突かれた敵の群れは、あっという間にその数を減らして行った。保護者達が見守る中、最初の戦闘は何とか無事に終了の運びに。

 それから、改めて装備品のチェックを始めるキッズ達。双子も死霊用の装備をセットして、これでこの先のエリアの対処が万全になった。


「情報にはあったけど、いきなりゾンビとか出て来てビックリしたねっ、茜ちゃんっ。ここから先は、ずっとそんな感じなのかな?

 でも、ボクらのチームはゾンビとか得意で良かったねっ!」

「まぁ1回みんなで、死霊系のダンジョンに潜った事があるからね。太陽が急に沈んだエリアになってたから、怪しいなとは思ったんだけど。

 みんなも、何か変化を見付けたら報告お願いねっ」


 了解っと、元気な返事が前衛陣から。その表情は、ゾンビ達なら負けやしないぜと自信に満ちている。特に久遠は、光属性の剣を手にヤル気が(みなぎ)っている。

 保護者からも、6層からエリアの敵分布が変わって来るから気を付けてとの助言が飛ぶ。それに対して、ゾンビが出て来たよと元気に返事をする遼であった。


 そんなやり取りに触発されたのか、隣の通りから第2陣が寄って来た。それを斥候役の双子がチームに知らせて、さっそく退治に(おもむ)く新人ズ。

 そして華麗に倒し切って、掛かった時間はほんの数分での勝利である。敵が(もろ)いと言うのもあるけど、戦って来た経験値が出ているのかも。


 その勢いで道路の敵を駆逐した新人ズは、続いてゲートの場所を探し回る。そちらももう慣れたモノで、遼がユフィの肩に乗っての庭のチェック作戦。

 前衛陣がそれに従って、敵がいるよとか回収品がありそうなどの声に対処する。茜は一応、ユフィと一緒に無防備な遼の護衛役を(にな)っている。


「あっ、そこの家の庭は広くていいねっ……入り口の新聞受けに、何か入ってるよ。それから、玄関近くに敵が潜んでるかもっ?」

「了解っ、まずは敵から倒そうか、久遠兄ちゃんっ」

「オッケー、こっちからは見えてないな。ひょっとしたら、待ち伏せ系の敵かな?」


 その通りのシャドウ族が2体、玄関の死角に隠れているのを久遠が発見して討伐に成功。もういないよとの遼の言葉に、龍星が新聞受けを(あさ)ってみる。

 中からは新聞に混じって、鑑定の書や魔石(小)や魔玉(風)が幾つか出て来た。新聞は10年くらい前の物で、その割に新品同様と言う。


 どうしようと戸惑っていると、保護者から農作業に使うから回収しといてとのお願いが。紙の類いは、どんな形にせよ農作業にあると便利なのは間違いない。

 その広い庭からは、追加で敷居のブロック類を徴収出来た。こちらも用途は不明だが、庭仕事にあったら役立つとの後ろからのアドバイス。


 後はお庭の掃除道具やら、手入れ用品も少々回収して次の敷地へ。そんな感じで3つ目に、ようやく次の層へのゲートを発見出来た。

 そんな感じで7層も、いつもの路地で死霊軍の襲撃を退(しりぞ)ける一行。今回は心構えも出来ていたので、危なげもなく数分で撃破するに至って何より。


 自信の出て来た新人ズは、そのまま歩き回って路地の敵を全て駆逐して行く。後衛陣も、消耗品の魔玉(光)や『木の実爆弾』をセーブする余裕も出て来ているようだ。

 そんな感じで15分程度で全ての路地のゾンビとスケルトンを撃破完了したと前衛陣の報告に。リーダーの茜は、それじゃあお願いと遼へとお仕事振り。


 任せておいてと、元気な最年少キッズが魔導ゴーレムのユフィへとよじ登って行く。意志あるゴーレムも慣れたモノで、少年の指示によって庭先のチェックへと(おもむ)く構え。

 そんな感じで、良い調子の探索は午後になっても続いて行く。





 ――保護者も見守る中、このまま波乱無く終われば良いのだけれど。







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