表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件
863/867

“ハワイダンジョン”も無事に目的層をクリアした件



 炎の狼軍団は、勇ましくラプトル達の首筋に咬み付いて行きタゲ取り効果も充分。お陰で向こうの速度ある突進も緩和して、後は防衛ラインをキープしつつ倒すのみ。

 出来るなら、後方のティラノ3体が到達するまでに、小型のラプトル達は全て倒しておきたい。幸いにも、レイジーの召喚した炎の狼軍は、強さも持ち合わせていて大助かり。


 護人も前線を維持しつつ、牙の凄い小型恐竜を愛用の剣で始末して行く。同時に“四腕”の両腕たちも、競うように近場のラプトルに打撃を与えてくれている。

 レイジーもその隣で、(ほむら)の魔剣を振り回して炎の勢いを加速させていた。その姿はまるで、召喚した炎の狼軍団を指揮棒で操っているかのよう。


 あれだけいたラプトル軍も、こちらの攻撃にあっという間に数を減らしている。茶々萌コンビも、勢いだけは一人前で護人とレイジーと肩を並べて戦闘中。

 そうこうしている内に、後詰めのティラノが3匹接近して来た。こちらも丁度、護人とレイジーと茶々萌コンビがそれぞれお出迎えの予定。


 護人に関しては、ヤンチャな“四腕”がやってやるゼと既に戦闘モードに入っている。それ以上に、ムームーちゃんも出番が欲しいようで《氷砕》を先制でブッ放す暴挙に。

 結果、氷柱が絡み付くように駆け寄って来るティラノの自由を奪って行った。それどころか、命までも奪いそうな勢いでさすが強力な特殊スキル。


 これには待ち構えていた薔薇のマントも、挑発するように振っていた赤い指先をピタッと止めて打ち震えモードに。可哀想だが、護人としてはティラノと接近戦をせずに済んでホッと一安心。

 まぁ、両サイドのペット達はそれを嬉々として行っているのだが。レイジーは問題無いだろうけど、茶々萌コンビが心配な護人は手助けしようかと窺う素振り。

 ところが手出し無用と、奮闘するチビッ子コンビは意外な凶悪さ。


「おおっ、体格差を埋める頭脳プレーだなっ……やるな、茶々萌コンビ!」


 思わず感心する護人に、肩の上の軟体幼児も兄ちゃんたち凄いデシと同意のテレパシー。何とこのチビッ子コンビ、迫り来る巨大な(あぎと)に茶々丸が『岩獄』スキルを見舞ったのだ。

 このスキルは、文字通りに石か土の属性が無いと作用は難しい。そこで萌が、手にした魔玉(土)を、大きく開いた敵の口の中に放り込んだのだ。


 意外な頭脳プレー、しかもコンビでの連携には見ていた護人も驚きを隠せない。いつの間にそんな練習をしたんだと見守る中、攻撃手段を岩石の手で失った巨大恐竜を、更なる連携で駆逐し始める仔ヤギと仔竜のコンビである。

 その容赦のなさは、何と言うか解体工事を見させられているかのような錯覚を起こすレベル。可哀想なティラノは、口も閉じられないまま各所に傷を受けて地面に倒れて行く。


 そして魔石(中)へと変わるまで、1分もかからず仕舞いと言う。その隣のレイジーも、それより早く片付けていたのはさすがと言うしかない。

 それを何でもないって感じで(たたず)むレイジーは、さすがリーダー然として格好良い。無邪気に喜ぶ仔ヤギの姿も、まぁ可愛くて良いとは思う。

 それはともかく、振り向けば海岸沿いの戦いも終止符に近付いていた。



 それを指揮する姫香だが、ルルンバちゃんの後方援護もあって良い調子。特にアザラシ獣人の術者を、一気に倒す事が出来たのが大きかった。

 ツグミもそれには参加して、コロ助は『咆哮』でのタゲ取りで前衛役を張り切っている。それに反応する、マッチョなアザラシ獣人の群れが波打ち際から続々と上陸して来た。


「コロ助っ、どんどん倒しちゃっていいからねっ! 叔父さんとレイジーは向こうでお仕事中だから、遠慮せずやっちゃいなさいっ!

 向こうはボス級が出て来てるけど、こっちはいないんだからね!」

「あっ、確かに向こうは後からティラノザウルスが追いかけて来てるねぇ。こっちは大きな敵はいないけど、獣人の数は過去最高だね。

 姫香ちゃんにみんな、とにかく頑張って!」


 紗良と香多奈の声援を貰って、張り切る前衛陣はアザラシ獣人と接近戦を始める。コロ助はハンマーを振り回しつつ、巨大化した肉体を利用して多数相手に善戦中。

 そこにちょっかいをかける姫香も、最初から《舞姫》と《剣姫召喚》を発動させてのフルパワー。体格の良い敵の獣人を相手に、瞬く間にその数を減らして行く。


 そして気付けば、相手の術者もツグミが始末し終えてこちらのペースに。コロ助も、多少被弾したモノの踏ん張り切って盾役を見事にこなしている。

 そんな感じで、海岸線の戦いも護人達に遅れる事数分で決着がつく事に。やったねと喜ぶ末妹の声を聞きながら、ふうっと大きく息を吐き出す姫香であった。


 紗良もコロ助の元に駆け寄って、さっそく治療を始めている。香多奈も落ちている魔石やドロップ品を拾って、激しい戦いの後始末に奔走している。

 護人&レイジー達も、ドロップ品を回収し終わってこちらへと合流を果たして来た。お疲れ様とそれぞれ(ねぎら)いの言葉を掛け合って、後は恐らく中ボスの間に辿り着くだけ。


 ちなみにドロップ品には、金のインゴットや化石やら変わったモノも混じっていた。ティラノに関しては魔石(中)だったし、相変わらずA級ランクと見紛(みまが)う敵の配置だ。

 そうこうしている内に、紗良の怪我チェックも終わってチームでようやく一息。時刻はもうすぐ夕方で、後半の恐竜エリアに戸惑ったにしては良いペース。


 このまま中ボスの間を片付けて、宿泊施設に戻ってゆっくりしようと勢いのある末妹のコメントに。そもそも観光に来て探索する方がヘンだよと、もっともな姫香の突っ込みである。

 内心で激しく同意する護人だが、()りた風の無い香多奈は元気に出発進行の合図。それに従って、ハスキー達が樹海を目指して歩き始めた。

 そんな訳で、あと数分後には確実に中ボスの間に到着予定。




「うわっ、大きいねぇ……しかも今回は沼地エリアは外してくれると思ったのに、沼地の中に首長竜がいるって酷さ2倍だよっ!

 しかも大きな翼竜も、あの岩の巣の中に見えてるしっ!」

「沼地の戦いに加えて、空から襲われると大変そうだねぇ……まぁ、ここは予定通りに、紗良姉さんが魔法をブッ放して全部固めちゃえばオッケー?」

「そうだな、安全面も考えて速攻がベストだが……その一撃で決め切れなかった場合、タゲが紗良に向かないようにしなきゃな。

 その時は、俺とルルンバちゃんで頑張って壁役をこなそうか。その次は姫香とコロ助で、サポートとしてスタンバイを控えていてくれ。

 まぁ、抜かれないよう決めるつもりでいるけど」


 了解と元気な姫香の返事と、頑張るぞとAIロボのリアクション。香多奈も護人や姉に『応援』を飛ばして、戦いの前準備は順調に進んで行く。

 中ボスの間として用意されていたのは、残念ながら何度も見た例の沼地エリアだった。綺麗に樹海の樹々が壁となっていて、見通しは良いけど足場は最悪である。


 その樹々越しに見える活火山も、元気に煙を噴き上げていて景色として見れば壮観だ。護人としては、噴火とかド肝を抜く演出が無くてホッと一息。

 出来ればそのまま、さっさと中ボスを倒してここを脱出したい所。海岸エリアの大波(ビッグウエーブ)の仕掛けもあったし、最後まで油断せずに行動すべし。


 そしてやっぱり、2体の恐竜は来栖家(小さきモノ共)がエリア内に侵入したのに無頓着の模様。お陰で先制準備は整って、その点に関しては本当に有り難い仕様である。

 そうして放たれた紗良の《氷雪》魔法だが、驚いた事にエリアの仕掛けがそれを邪魔しに来た。つまりは例の火山が突然に噴火して、この場に火山の魔人を召喚したのだ。


 そんな馬鹿なと驚く家族の面々だが、溶岩魔人は宙に留まって凍てつく範囲攻撃を相殺して来た。そして遅まきながら、こちらの存在に気付く首長竜と大翼竜の2体。

 それぞれ怒りに満ちた視線を飛ばし、こちらへと殺到する素振り。


「うわっ、これは大きく当てが外れたな……紗良、《結界》スキルで後衛陣を守ってくれ。火山の噴火で、ここ一帯何が起きるか見当もつかん。

 俺は薔薇のマントで飛翔して、あの魔人を押さえに掛かる。悪いが首長竜は、姫香とルルンバちゃんで何とか頼むよ。

 翼竜はレイジーで行けそうかな、他の者はフォローを頼んだ!」

「了解、護人さんも空中戦には気を付けてね……いざとなったら、ミケも手伝ってくれるから無理しないで!

 ルルンバちゃんは沼地を進むと沈んじゃうから、ここからレーザー砲で敵の急所を狙ってね」


 そう言われたルルンバちゃんは、接近する巨大な恐竜にアレが相手ですかのリアクション。古代恐竜のサイズは最長でも20メートルらしいが、目の前の奴は軽く30メートルはありそう。

 重さを考えたら何十トンあるのかって程、それでも恐れずに立ち向かう姫香&AIロボのペア。降り注ぐ火山からの粉塵に負けず、首長竜に立ち向かって行く。


 相手は巨体だけでなく、何とアクアブレスまで使う凶悪振り。それを『圧縮』スキルで防いで、姫香は空中の位置を譲らない構え。そこに後衛から、必殺のレーザー砲が降り注ぐ。

 さすがに敵の巨体を目にして、ルルンバちゃんも一撃じゃ無理だと思ったのだろう。砲塔から放たれたビームは、ブッとい上に4連射で広範囲を焼き尽す花火の(ごと)し。


 砲塔が焼き付かないか心配だが、それが首長竜の沼の接地面の首の付け根に見事にヒット。その瞬間、まるで太い丸太で殴られたように、挙動がおかしくなる超巨体の首長竜。

 その隙を見逃さず、愛用の『天使の執行杖』を大鎌モードにして、首筋を狩りに掛かる姫香。グラグラの首元に狙いを定めて、ルルンバちゃんとの共同作業で敵の息の根を止めてやる。


 その側では、飛び上がった大翼竜がレイジーの炎のブレスで酷い目に遭っていた。そのレイジーは『歩脚術』で、沼の側の樹木を駆け上がって絶好の位置をキープ中。

 被膜を破壊された翼竜は、哀れにも沼へと落ちてコロ助と茶々萌コンビの餌食になっていた。反撃の大きな(くちばし)も相手に(かす)りもせず、一方的に倒されて行く中ボスは可哀想。


 それより多少は踏ん張りを見せたい火山魔人だが、実は最初の《氷雪》スキルがかなり効いていた模様。しかも、容赦のない軟体幼児の《氷砕》スキルの追撃に、その場に留まっているのも辛い程のダメージ蓄積。

 飛行モードの護人に詰め寄られて、好き勝手に移動も(まま)ならない中。最後にはムームーちゃんから水の槍を束で喰らって、同じく沼へと墜落して行く魔人であった。



 それと同時に火山の噴火もピタッと止んでくれて、ホッと一息の後衛陣。それを確認後に《結界》スキルを解いて、家族の無事を確認して祝い合う。

 中ボスは魔石(大)を3つ落として、スキル書とオーブ珠も1つずつ吐き出してくれていた。敵を倒しての魔石(大)を7つも回収って、今までのダンジョンでは無かったかも?


 そしてお楽しみの宝箱だが、派手な色合いで中身も期待出来そう。それは大翼竜の巣の中にあって、すぐ近くに次の層の階段と退去用の魔法陣も存在していた。

 ノルマの達成にホッと息をつく護人と、喜びながら宝箱の中身を確認する子供たち。中ボス戦では怪我人も出ず、取り敢えず快勝で何よりだった。

 それにしても、ますます頼り甲斐の出て来たハスキー&ペット勢である。





 ――ルルンバちゃんも同じく、大型恐竜を(ほふ)る必殺技は凄いの一言。








『ブックマークに追加』をしてくれたら、香多奈が歓喜のダンスを踊ります♪

『リアクション』をポチッてくれれば、姫香がサムズアップしてくれます!

『☆ポイント』で応援すると、紗良が投げキッスしてくれるかも?w

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ