表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件
861/867

無人島風味のハワイ行脚を家族で楽しむ件



「うわ、カメの古代恐竜だっ……大きいなっ、そんで甲羅も派手だけど何でッ!? 口の周りは牙が凄いよっ、気を付けてねみんなっ!」

「うわぁっ、モロに階段を(ふさ)がれちゃった……それにしても大きいね、あの前ヒレで叩かれたらルルンバちゃんのボディでも陥没しちゃいそう。

 ここは素直に、遠隔攻撃か護人さんのシャベルで倒すべきかな?」

「そうだな、中ボス戦でも今回は(ろく)に戦えなかったからね……ムームーちゃんも暴れたいみたいだし、ここは俺が行こうか」

「ゴーゴーッ、頑張ってね叔父さんにムームーちゃんっ!」


 末妹のお気楽な『声援』を受けて、カメとは言えない凶悪な面構えの恐竜へと近付いて行く護人&軟体幼児のペア。ムームーちゃんはヤル気満々で、早くも《闇腐敗》を放って攻撃を仕掛けている。

 それを受けた大型トラックサイズの巨大カメは、何らかの防御スキルでそれを無効化。さすがの防御力だなと、それを抜け目なく観察する護人である。


 一方の軟体幼児は、ショックを受けてアイツは何デシかと怒り心頭。そして続けて《氷砕》スキルを撃ち込むが、これも敵を避けて巨大な氷柱が出来上がる始末。

 魔法防御に特化しているのか、敵の立派な甲羅が作用しているのか……そこは不明だが、続けてショックを受けるムームーちゃん。それを尻目に、護人は“四腕”を発動して接近戦を挑みに掛かる。


 そこにまさかの、古代カメの水流ブレスが繰り出されて広大な海へと流されかける護人。それを《奥の手》と薔薇のマントの防御で(こら)え、反撃のシャベルの一撃を繰り出す。

 『掘削』スキル込みのその攻撃は、敵の特殊防御を物ともしなかった。その点は軟体幼児とは違って、物理攻撃のせいもあったのかも知れない。

 それでも、その威力は素晴らしく巨体カメの肉体を貫通する程。


 何なら甲羅にも派手にひびが入って、敵の自慢の防御も形無しである。シャベルの連撃を受け、数秒後には見事に魔石(大)が海岸の砂地に転がる事に。

 一緒に甲羅素材やインゴット素材もドロップして、また派手に儲かったと喜ぶ子供たち。護人もホッと一息、そして肩の上の軟体幼児を慰め始める。


「敵の防御が一枚上手だったね、ムームーちゃん……それは仕方ないよ、また次頑張ろう。何なら次の層は、前衛に出て活躍もありかもな」

「そう言えば、今日はあんまり出番が無かったね……それじゃあ、次の層は私の肩の上に乗っかってみようか、ムームーちゃん?

 今までにないパターンだから、最初は戸惑うかもだけど」

「それいいね、姫香お姉ちゃんっ……このダンジョンは敵の襲撃も割と多いし、頑張っておいで、ムームーちゃんっ!」


 そんな訳で、落ち込む軟体幼児の名誉挽回の作戦が決行される流れに。子供たちの心尽くしに、単純なスライム幼児は段々とヤル気を盛り返し始める。

 そして姫香の肩に飛び移って、さぁ進むデシと意気揚々と前向き発言。ハスキー達もそれじゃ行くねと、階段を軽快に降りて次の層へと到達する。



 そうして出た先の8層は、さっきの逆で海岸線からのスタートだった。どうやらずっとこの順番かなと、話し合う子供たちはうっそうとした巨木の樹海を眺めて凄いねと呟く。

 やはり日本と違う植生は、違和感と言うか警戒を抱かせるようだ。そんな中、ハスキー達は何も感じないように先行して樹海への細い道を進んで行く。


 そして、海岸沿いを脱しそうなタイミングで海側からのアザラシ獣人の襲撃がやって来た。それに対応するハスキー達は、獣人の数の多さに気合いを入れる。

 先ほどより、随分数の多い気がするそいつ等は勢いも凄い。相変わらずマッチョ系やトライデント持ち、それから今回は水系の魔術師も(まぎ)れているみたい。


 ルルンバちゃんも壁役にと出張って、戦いは一気に熾烈になって行く。中衛の姫香達だが、しかしその戦いに混ざろうとせずじっと待機。

 ()れる茶々丸だが、その視線は樹海の方へと向けられて納得した感じに。そちらからもラプトル部隊が出現して、こちらへと突っ込んで来ていたのだ。


 これを目にしたムームーちゃんは、自分の出番デシと派手に魔法をブッ放す。先ほどのリベンジとばかりに、《闇腐敗》と《氷砕》の連続魔法はかなり派手に敵陣を分断した。

 お陰で、半数のラプトルが接近中に魔石へと変わる破目に。なおも元気な5匹のラプトルに、茶々萌コンビがこれまた元気に突っ込んで行く。


 姫も突っ込むデシと、指揮官気取りの軟体幼児は戦闘をとっても楽しんでいる模様。ところが、ラプトルの背後から倍の体格の肉食恐竜が現れてパニックに。

 これは不味いと、護人もそちらへと向かおうと慌てて前線に参加する。ティラノ系の敵へと弓矢で攻撃しながら、ヘイトを取ろうと頑張っている。


 姫香は逆に、今度は私の出番だねと『身体強化』を発動して真っ直ぐ巨大な恐竜へと駆け出す。いつの間にか《豪風》スキルも(まと)っており、その速度はまるでつむじ風である。

 肩に乗っかる軟体幼児もビビるほどの速度で、あっという間に恐竜との距離は縮まって行く。茶々フォロー中の萌は、対峙しているラプトルの処理に大忙し。


 火炎のブレスと愛用の黒槍を上手に使って、派手な色合いの肉食恐竜を狩って行く。荒ぶる相棒の茶々丸は、乗り心地に関しては決して良くはない。

 とは言え、突進速度に関しては申し分のないレベル。


 いつしか姫香サイドの戦いも、《舞姫》まで発動して終盤に差し掛かっていた。豪風で皮膚を切り裂かれたティラノは、2人に分裂した少女に最後には首を刈られてご臨終。

 その肩の上のスライム幼児は、あまりの速度にどうやら目を回していた。この調子では、もう2度と姫香の肩の上に乗っかろうとは思わないかも?

 そして海岸線の戦いも、無事にハスキー&AIロボの勝利で決着がついた。


「両方とも無事に戦いは終わったね、みんなお疲れ様だよっ! ツグミとルルンバちゃんで、海岸沿いのドロップ品はちゃんと拾ってねっ。

 私の方は、恐竜のドロップ品を頑張って回収するから」

「今回も、凄いのが混じってたらいいけどね……おっと、皮素材と一緒に宝石が落ちてるね、これは琥珀(こはく)かメノウかな?

 でも原石だから、価値はそんなに高くないかも」

「姫香お姉ちゃん、最後に出て来た大きな恐竜……そいつがオーブ珠落としてるよ、ほら後ろの足元っ!」


 あっ、本当だと驚きのリアクションの姫香はお茶目さん。しっかりしてよと、魔石を拾う末妹はそんな姉に発破をかけて作業を継続している。

 相変わらず騒がしい来栖家チームだが、紗良の怪我チェックは無事に終わって怪我人も無しとの結果に。魔石拾いの終わったツグミとルルンバちゃんも集合を果たし、その成果を紗良に差し出して来た。


 その中にも強化の巻物や新鮮な貝類、それからやはりミスリル武器が混じっていてフィーバーは止まず。やったねと、その報告を聞いて浮かれる香多奈はいつも通り。

 この調子で10層を目指すぞと、来栖家のムードメーカーは定番の元気の良さを発揮している。それに釣られて、休憩は終わりかなと動き始めるハスキー達。



 恐らくは恐竜が使っている幅広の獣道は、うねりながらも樹海の奥へと続いている。この先も沼地に続いているのかなと、湿気を感じたらしい中衛の姫香の呟き。

 ここは道がしっかり作られてるから、歩くのに不便は無いよねと後衛の紗良が話に乗っかって来る。そんな沼地の(ふち)の丸太道は、どうやら今回も存在した。


 そして開けた空の向こうには、やっぱり火山が煙をもくもく上げているのが窺える。沼に出たのは良いとして、そろそろ襲撃があるかなとチームに緊張が走る。

 それに間違いはなく、沼地からは例の(ごと)く大ワニが数体飛び出して来た。その不意打ちを避けるハスキー達と、あらかじめ前へと出張って壁役をこなすルルンバちゃん。


「うわっ、相変わらずワニの不意打ちは怖いねぇ……アンモナイトみたいなのも半ダース出て来たよっ、みんな気を付けてっ!」

「おっと、空からも翼竜と大トンボのセットが出現して来たな……今回は、獣人っぽい奴も翼竜の背中に乗ってるぞ。

 しかも弓矢持ちだ、こりゃ手強そうだな」

「本当だ、何とかそいつ等は先に叩き落したいね……ミケッ、いざと言う時は飛行タイプの処理をお願いねっ。

 私も『圧縮』足場で、何とか空中戦に持ち込むから!」


 前の層でもすっかり定番になった、種族違いの挟み撃ちだが来栖家チームも慣れたモノ。きっちりと対応して、後衛陣の安全を守る動きに徹している。

 姫香が自分で作った『圧縮』空気の足場で、空から迫る翼竜を相手取る。そのフォローを、“四腕”を発動させた護人が(にな)う形。


 危なくなったら手伝ってと言われたミケだが、今の所は平気そうな感じ。何しろ護人の肩の上に戻った軟体幼児が、ここは見せ場だと張り切っているのだ。

 護人の弓矢攻撃に合わせて、水や炎の矢弾をご機嫌に放っている。ルルンバちゃんが大ワニの抑え込みに回った分、遠隔攻撃を頑張ろうと思ってくれたのだろう。


 その威力はまずまずで、姫香の空中での盾役と上手くマッチしている感じ。護人の通り名は“四腕”だが、知らない人が見れば五本目の腕に見えるかも?

 翼竜に騎乗していたライダーは、コウモリ顔の有翼獣人だった。そいつ等も、地上からの援護射撃に大慌て、隙を突かれて姫香の立体機動に次々と刈り取られて行く。


 風の魔法を撃って来る大トンボの群れも、ほぼ姫香がタゲを取って高速運動とホバリングを繰り返していた。ただし彼らの自慢の複眼も、地上からの魔法と弓矢の射撃には対応出来ず。

 これまた次々と撃ち落とされて行って、空の戦いは来栖家の圧勝に終わりそう。


「よおっし、これで翼竜も全部討伐を終えたかなっ……大トンボの機動力の方が厄介に感じたけど、さすがに矢弾のスピードには対応出来てなかったね。

 後は、ハスキー達の地上戦かなっ?」

「そっちも終わってるね、だから沼地で出て来た敵は全部倒し終えちゃった感じ? 魔石はほぼ沼に落ちちゃったから、拾うのが大変そうっ。

 ツグミとルルンバちゃん、ちゃんと全部回収してくれるかなっ?」

「あれっ、あの大きなシダの下にまた鳥の巣みたいなのがあるよ、香多奈ちゃん。卵は無いけど、木の実とか宝物は入ってるように見えるね。

 それから階段の位置も意外と近いし、これで8層は突破だねっ」


 そう言う紗良に、本当だと喜びの声をあげる末妹である。そんな訳で、宝箱の代わりの巣の中漁りを、張り切って始める姫香と香多奈であった。

 紗良はすぐ近くでペット達の怪我チェック、茶々丸が脚を(くじ)いていたっぽいのですぐに治療する。やはり沼地の不安定な足場は、激しい戦闘には不向きみたい。


 騎乗していた萌は、相棒の怪我を心配そうに窺うが長女の『回復』スキルには万全の信頼を置いている模様。元気になった仔ヤギを見て、明らかに安堵の表情を浮かべている。

 ハスキー達だが、狂暴な大ワニに対して無傷の勝利をあげていた。水弾を飛ばす甲殻モンスターも、それなりに難敵だったのに全く優秀なワンコ達である。

 そんなレイジーも、茶々丸の怪我は心配していた模様。





 ――愛されている仔ヤギだが、ヤンチャは程々に自重して欲しいモノ。







『ブックマークに追加』をしてくれたら、ムームーちゃんが肩に乗ってくれます♪

『リアクション』をポチッてくれれば、萌が巨大化して背中に乗っけてくれるかも!?

『☆ポイント』で応援しないと、ヒバリに嘴でつつかれちゃうぞ!w

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ