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田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件
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“死霊迷宮のダンジョン”も大ボスが見えて来た件



 罠の解除に時間と騒音をかけ過ぎて、迷宮の通路奥から敵が寄って来てしまった。それを敏感に感じ取って、排除へと向かうハスキー軍団である。

 今回も、敵は人狼とダークトロルの混成軍の模様。それを確認した護人とルルンバちゃんも、助太刀にとハスキー達と合流しての戦闘参加を始める。


 茶々萌コンビも同じく、今まで罠解除を眺めていて暇だったらしく。その穴埋めにと、張り切る姿はハスキー達と同じく楽しそう。

 それを眺める後衛陣は、取り敢えずサポートの形は崩さない構え。いざと言う時にはすぐに駆けつけようと、姫香も後衛を護衛しながら気は抜いていない。


 さっきまで、姉妹で戻ってから食べる夕飯のメニューを話し合っていたのに、こういう点は真面目である。探索慣れしているとも取れるけど、良い集中力には違いない。

 メイドゴーストのヘスティアも、隣に浮かびながら感心した素振り。彼女も来栖家と一緒の探索を、昨日と今日で満喫しているようで何より。


 そして今回の遭遇戦は、さっきより短時間でスマートに決着に漕ぎつけた。同じ敵との戦いなので、ハスキー達も早くも敵の戦闘パターンを覚えたのかも。

 今回は怪我も無く、一足早く人狼集団を倒し切って護人とルルンバちゃんの戦いの決着を見守っている。今回も3体出て来たダークトロルは、再生能力を有するタフな敵である。


 なかなか短期で決着とは行かず、護人もそれなりに苦労しているみたい。それでもムームーちゃんの《闇腐敗》魔法から、敵の数減らしに成功してそこからはスムーズに討伐完了。

 今回もドロップした魔石(中)をルルンバちゃんが嬉しそうに拾っている。それから紗良がペット達の体調チェックを行なって、(あわ)ただしい時間が過ぎて行く。


 それから、隊列を組み直して香多奈の指示出しで進むルートを確定しての出発進行。6層も半分を過ぎたよと、元気な末妹の声に茶々萌コンビが反応する。

 それからしばらくは、単発的な遭遇戦が幾つか。さっきみたいに、人狼とダークトロルの混成軍は襲って来ずに、そこはまぁ安心ではある。

 それでも、数匹ずつでも充分に強敵な6層のモンスター達。


「あっ、この先にちょっと大きな部屋みたいな空間があるよっ。また中庭風の休憩所かな、敵が待ち構えているかも知れないね。

 みんな、少し進んだ所の曲がり角には気を付けて!」

「了解っ、ハスキー達……足並み揃えて突入するから、ちょっとゆっくり進んでね。ルルンバちゃんもだよ、待ち伏せされてたら厄介だからね。

 それでなくても、ここの層の敵は強いんだから」


 小声で指示を出す姫香に、ハスキー達も従ってくれて逆に奇襲をかける気満々の陣形に。紗良が珍しく、遠見のスキルを使用して敵の有無を事前に確認した様だ。

 そして巨大な目玉型モンスターが混じっているよと、やや驚き声でチームに告げる。“喰らうモノ”ダンジョンで痛い目に遭った来栖家は、その報告に一斉に色めき立った。


 思えばダークトロルも、そのダンジョンに配置されていた気がする。さすがA級ダンジョンのモンスター、くせ者揃いでしかも下手したらこちらが倒されてしまう奴らばかり。

 来栖家チームの面々は、そんな強敵が曲がり角の向こうにいると知り、揃って臨戦態勢に突入する。特にルルンバちゃんは、恐らく過去の惨劇を思い出したのだろう。


 やたらと興奮していて、既にレーザー砲をスタンバイしてヤル気満々。ここまで闘志を燃やしたAIロボは、今までの探索の中で初めてかも知れない。

 姫香も若干引きながら、ペット達に怪我無く制圧するよと言い渡す。視線技には注意ねと、特に茶々萌コンビに言い含めて曲がり角から飛び出しての戦闘開始。


「いたよっ、巨大目玉は中央に浮かんでるっ! ルルンバちゃんっ、速攻で沈めちゃって!」

「ゴーゴー、みんな頑張って……茶々萌コンビは、大目玉が落ちるまで無茶はしちゃダメだよっ!」

「今回は、俺も前に出ようか……ミケ、後衛の護りは任せたよ」


 心配性の護人は、待ち伏せ強敵モンスター群を見て参戦を決め込んだ模様。幸い、広間は通路と違って暴れ回るスペースに不便はない。

 そんな中、速攻での攻撃を言い渡されたルルンバちゃんは、積年の恨みと通路を飛び出して憎き敵をロックオン。そのままの勢いで発射されたレーザー砲は、真っ直ぐ室内を切り裂いた。


 その結果、巻き()えを喰らって黒曜石ゴーレムがまず撃沈されて行った。4メートル級の大物だったのに、その巨体さが逆に(あだ)になった模様。

 そして肝心のビッグアイも、見事に光線に射抜かれてその一撃で昇天した。驚きの敵陣だが、まだまだ元気なダークトロルやゴーレムが室内にひしめいている。


 そのお陰で、広い空間も狭く感じる不思議……その合間を、すばしこい人狼がこちらを見定めて襲い掛かって来る。ついでにイビルアイも数匹いるようで、姫香の警告がチーム内に響き渡った。

 それを受けて、護人が前進しながら“四腕”を発動しての『射撃』スキルを敢行。精密射撃で、バスケ球サイズの目玉のみを射抜く手腕はさすがの一言。


 姫香とツグミのコンビも、人狼を抑え込みながら浮遊目玉を先に始末している。レイジーは炎のブレスでの範囲攻撃、それに慌てる敵陣の足並みは混乱気味。

 コロ助は、愛用のハンマーを咥えて大きい敵を見定めている。その付近にいる茶々萌コンビも、あまり前に出ちゃダメと言われてコロ助に追従の素振り。

 その辺は、ペットの(しつけ)が行き届いている来栖家チームである。


 その内に護人も最前線に合流して、人狼とダークトロル、それから黒曜石ゴーレムとの戦いを始めた。この混成軍は、連携は取れてないけど個体でも強いのでそれなりに厄介。

 それでも護人の『掘削』スキルが、巨体のダークトロルとゴーレムを駆逐して行く。コロ助もそれに続いて、ちびっ子コンビもそのお手伝い。


 茶々萌コンビも、リーダー役のレイジーに従うよりコロ助と一緒に戦う方がリラックス出来るのかも。伸び伸びと戦う姿は、敵とのやり取りを楽しんでいるよう。

 ちなみに茶々丸は“太古のダンジョン”から、(りょう)の姿になって戦うのに(はま)っている模様。今も萌とのチビッ子コンビで、2本の槍を駆使して人狼を駆除している。


 気付いたら、人狼の群れも巨体のトロルやゴーレムも、全て消え去って全て魔石に変わっていた。それを満足そうに眺めて、武器を収める姫香とペット達。

 護人も一息ついて、それからそこに宝箱があるねと香多奈に知らせる。今回は隠し部屋じゃないんだねと、嬉しそうに室内に入って行く後衛陣の2人。


「あっ、赤いコインが8枚も入ってた……後は魔結晶(大)が5個に、オーブ珠が1個かな。他は特に、良さそうな物は入ってないかも」

「中級エリクサーや虹色の果実も入ってるよ、香多奈ちゃんっ。後は、魔法の指輪らしきモノも1個あるかな?

 インゴットも入ってるし、割と当たりなんじゃない?」


 そんな事を話している後衛陣の紗良と香多奈は、アイテムを確認しながら鞄へと詰めて行く。それから小休憩の後に、6層の残りを10分余りで踏破完了。

 ゲートを見付けて、これでいよいよ最終7層である。




 この層も毎度の手順で、紗良が『魔法の地図』を使ってのルート確定。それを末妹の香多奈が読み上げて、先行するハスキー達に指示を出す。

 ちゃんと大ボスの間も表示されてるよと、末妹の発言には家族も思わずホッとした表情に。この長かった旅路の終着点が、ようやくの事見えて来た。


 それを聞いて、姫香も最後まで気を抜かずに行くよとチームを引き締める。先行するハスキー達だが、強敵揃いのこの迷宮では本隊とは大きく距離を空けていない。

 ついでにルルンバちゃんもいるので、その辺の兼ね合いもあるみたい。臨機応変なのは、常に考えてその場の最善を引き出している証拠だろう。


 その辺は、中衛を進む姫香も信頼して任せて良いと思っているようだ。自身は、隣の茶々萌コンビを制御するので忙しいのだから大助かりの部分も。

 そんな7層の敵は、やはり人狼とダークトロルの混成軍がメインだった。それからたまにゴーストが出現するのは、このダンジョンで亡くなった探索者が関係しているのかも。


 その辺は定かではないが、安全確保に容赦なく出て来た敵は駆逐して行く来栖家チーム。それから罠も当然あって、ある落とし穴にはぎっしりとイビルアイが敷き詰められていた。

 それを焼却するレイジーは、趣味が悪いなって顔をして穴の中を眺めていたり。その作業が終わると、穴の中は散らばった魔石でとっても綺麗で魅力的に。


 香多奈も寄って来て、こっちの方が断然いいねとレイジーを褒めそやす。それにしても、レイジーの火炎属性もここに来てパワーアップしている気が。

 レベルアップの恩恵なのか、それとも他に要因があるのか……良く分からないが、さすが来栖家のダブルエース。その片割れのミケは、今回もほぼ出番は無し。


 それに気付いた末妹が、大ボス戦くらい参加したらと愛猫(ミケ)にご機嫌伺いなど。気紛れなニャンコだが、運動不足は良くないよと香多奈も色々考えているらしい。

 ミケも縄張りの敷地内から随分離され、機嫌に関してはすこぶる悪いのは家族の皆が承知している。それでも最後くらいは、大暴れして()さを晴らそうよってのが香多奈の言い分らしい。


「それはまぁ、確かにそうかもだけど……ミケがノリ気じゃないなら、放っておいてあげても良いんじゃないの、香多奈?

 最後の大ボスが、昨日のドラゴンみたいな奴だったら危ないじゃん」

「まぁ、ミケは小っちゃいからな……巨大な敵にタゲられたら、確かに危ないし後衛も巻き込む恐れもあるからなぁ。

 姫香の言うのも一理あるし、大ボス戦は俺が前に出ようか」


 護人がそう言うと、ミケはヤレヤレって感じで紗良の肩から護人の肩へと飛び移った。先にいたムームーちゃんの反対側で、先住スライムは歓迎の念話を送っている。

 それを見て、呑気に最強ユニットだねとか妙な事を口走り始める末妹。確かに両肩にミケと軟体幼児、更にマントも自立しているとは凄い手数ではある。


 これじゃ大ボス戦で私の出番はないかもと、姫香も末妹の言葉に思わず笑っている。一方の護人は、昨日の経験も踏まえてそこまで簡単じゃない筈と気を(ゆる)める事は無い。

 そんな感じで進む事20分余り、ようやく香多奈の案内で一行は大ボスの間の前へと到着を果たした。無事に先導役を果たしたハスキー達は、揃ってやり遂げた満足気な表情。


 そんな彼女達を(ねぎら)いながら、護人と子供たちは軽く作戦会議を行う。この中に大ボスがいるのは判明しているけど、その種類や部下の有無はハッキリしない。

 取り敢えず、護人とミケでメインの大ボスを抑え込むのは確定している。後は敵の種類に合わせて、作戦を微調整する感じだろうか。


 その音頭取りは姫香が(にな)う事になって、いざ最終戦の扉を開け放つ護人。ハスキー達も、ひょっとして出番があるかもと気は緩めずにご主人に続く構え。

 そして最終ボスとのご対面、広い部屋の中央に鎮座するのは巨大なトカゲのような生き物だった。ただし、竜とも違うしその凶悪な面構えと皮膚のテカりはちょっとヤバそう。

 紗良が素早く、チームにアレは毒と視線の怖いバジリスクですと忠告を発した。





 ――そんな訳で、最終戦もハードな戦いとなりそうな予感。







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