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田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件
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死霊迷宮のダンジョンを順調に潜って行く件



 そして確認した宝箱の中身だが、鑑定の書やポーションや魔玉、それから待望の赤いコインを2枚ゲット出来た。他にも何故か、400ピースのパズルやレゴブロックも一緒に出て来た。

 それから薬品も少々、ペット達の管理を(にな)う紗良と姫香は、まだMPの回復は必要無いと判断したようだ。鞄にそれらを回収して、探索を再開の構え。


 そこからは、魔法の地図のお陰で割とスムーズに迷宮の中を進んで行けた。結果、ほんの10分程度で2層へのゲートを発見する事に成功。

 喜ぶ一行だが、1層で掛かった時間は1時間とちょっとである。ここから巻き返さないとねと、姫香もチームに気合いを入れ直している。


 そんな訳で、紗良は心を痛めながらも2度目の『魔法の地図』の使用に踏み切る。心の中では、ひたすらこれを観ている“冥界の王”がブチ切れてませんようにと祈りながら。

 隣の香多奈は至って呑気で、浮かび上がった地図を横取りしてハスキー達に指示出ししている。その言葉で、2層の探索はスムーズに開始される。


 そしていきなりの敵との遭遇に、張り切る前衛陣は戦闘へと突入して行く。出て来たのはヤモリ獣人とサソリ獣人の混合部隊のようで、広くない通路は一瞬にして大騒ぎに。

 こんな時、迷路仕様の遺跡は横幅が無くてなかなかに大変である。茶々萌コンビも、何とか戦闘に参加しようと悪戦苦闘中。


 仕舞いには、壁走りからの特攻チャージでサソリ獣人の1匹を強引に串刺しにしてしまっていた。そして勢い余って反対側に駆け抜け、これで挟撃(きょうげき)出来るぜと喜んでいたら。

 勢いで罠の仕掛けを踏んでしまったようで、落とし穴に仲良く2人で落ちて行くウッカリさんズ。呑気に観戦中だった後衛陣は、突然消えた茶々萌コンビに混乱中。


 敵の壁で良く見えないけど、明らかに何かヤッたなと慌てる護人たち。仕方なく、護人が壁走りを真似て敵陣を通り越して様子を見に行く事に。

 途中でムームーちゃんと薔薇のマントが、競うように敵陣の兵士たちを始末してくれたのは良いとして。床に空いた穴と底に敷き詰められた棘を見て、顔面蒼白になる護人である。


「茶々丸っ、萌っ……無事なのかい、どこに消えたっ? ああっ、運よく棘の上には落ちてなかったのか。

 良かった、あまり心配かけないでくれ……」

「叔父さんっ、茶々萌コンビは無事だったの? ハスキー達、ちゃっちゃと邪魔な敵を蹴散らしちゃいなさいっ!」

「あんまり無茶を言いなさんな、香多奈……ヤモリ獣人はともかく、サソリ獣人は硬くて毒持ちで厄介な敵なんだよっ!」


 姫香の言う事は本当で、そんな奴らが10匹近く出て来るとはさすがA級ダンジョンである。ハスキー達も、武器と尻尾の毒針を巧みに操るコイツ等には、なかなかに苦戦中。

 ところで茶々萌コンビだが、底に敷き詰められた棘に落ちるまでに距離があったのが良かったのだろう。茶々丸が『跳躍』スキルを見事に生かして、棘の無い窪みに着地していた。


 そこはどうやらビックリさせた後の報酬的に、宝箱を設置しておく場所だったみたい。落とし穴に()めて串刺しにして、ビックリさせたも何も無いとは思うけど、まぁ逃げ場所にもなってくれて良かった。

 一安心した護人は、後衛に大丈夫だよと声を掛けてまずは敵の殲滅を手伝い始める。軟体幼児も積極的にお手伝いをして、5分後には敵の陣営は消滅してくれた。


 魔石拾いもそこそこに、紗良や香多奈が心配顔で落とし穴を確認しに来た。そこでは、宝箱を開けて中身を取り出している萌と、それを眺める茶々丸の姿が。

 呆れたような視線を注がれて、2匹とも何となく居心地が悪そうな表情。すぐに戦場復帰しようとも思ったのだが、落とし穴は軽く6メートル以上あったのだ。


 そのお陰で、茶々丸が壁を蹴って比較的安全な(くぼ)みに飛び込む事が出来た訳ではある。とは言え、自力で登るには少々高過ぎて困ってしまう。

 結局は、姫香にロープを垂らして貰って萌は自力で脱出に至った。茶々丸に関しては、護人の飛行能力で落とし穴から引き上げて貰う始末。


 それでも宝箱の中には、魔結晶(中)が5個に強化の巻物が2本、赤いコインが2枚に立派なナイフが一振り入っていた。他にも薬品類や、装飾品が数点ほど。

 今回はさすがに大変な戦いだったので、MP回復の休憩を取る一行。その間にも、茶々萌コンビには姫香と香多奈から熱いお(きゅう)()えられていた。


「アンタたち、無謀な突進はしちゃダメだと何回も言ってるでしょ! そんなんだから、危ない罠に引っ掛かるんだよっ!」

「お姉ちゃんの言う通りだよっ、茶々萌コンビは本当にウッカリさんなんだから。視界から急に消えちゃって、みんなビックリして心配したでしょっ!

  ちゃんと反省するんだよ、2人ともっ!」


 普段は激しく口喧嘩をするくせに、こういう時はタッグを組んで責め立てて来る姉妹である。茶々丸は柳に風で上手く受け流しているが、真面目な萌はシュンとした表情。

 萌は騎乗していただけだと言うのに、同罪とは悲し過ぎる。それでも愛されてるから怒られるんだよと、紗良のフォローに悟った顔付きの萌である。



 それから休憩後、再び2層の探索にと励み始める来栖家チームの面々。さすがにこの迷路では、ハスキー達もあまり本隊とは距離を取らずに進んでいる。

 何しろ、さっきみたいな罠も多いので、チーム的なフォローは必須である。特に頑丈なルルンバちゃんの存在は、罠を強行突破するのにとっても便利。


 そんな感じで、罠を1つ潰して敵とも3度ほど遭遇しての戦いとなった。サソリ獣人は相変わらず強くて、しかもドッヂボールサイズのイビルアイとタッグを組んで出て来たりもするのだ。

 これはさすがに全力で撃退して、麻痺の視線の被害を避ける戦いを行う来栖家のメンバー達。その後には、今後もコイツが出たら真っ先に叩くよと姫香の注意が飛ぶ事に。


「しかし、2層で浮遊目玉が出るとはタフなダンジョンだな……姫香の言う通り、この先も罠と一緒に注意して行こうか」

「そうだね、ルルンバちゃんも前衛に貸し出してもいいよ、お姉ちゃん。ルルンバちゃんなら麻痺も受け付けないし、罠も見抜くから便利だよねっ」

「そうねぇ、後衛の護りはルルンバちゃんがいなくなったら不安だけど。迷路仕様だと、後衛から仕掛けられる事も無いだろうし平気かなっ?」


 そう言う紗良も、ルルンバちゃんの活躍の場を奪いたくはない様子。そんな訳で、巨体を揺らしてAIロボがよろしくねとハスキー達と共に前線に参加して行った。

 代わりに、茶々萌コンビは姫香のいる中衛に降格する事に決定。そもそも、昨日怪我した茶々丸に無茶をさせたくなかった護人や紗良は、この決定に大賛成の模様である。


 納得していない表情の両者だが、リーダーの決定は絶対だよとの姫香の言葉に逆らう訳にも行かず。茶々丸は昨日に引き続き、(りょう)の姿に《変化》して人間の姿で中衛待機を命じられる。

 これで機動力も無くなって、一応は無茶も出来なくなった筈。姫香お姉ちゃんの命令に従うんだよと、末妹にまで釘を刺されたチビっ子コンビはやっぱり不服そう。


 反対に、頑張るぞと張り切りモードのルルンバちゃんは、香多奈の指示出しを真面目に聞いて先頭を進んで行く。ツグミとの2トップは初だが、斥候作業はなかなか好調かも。

 次に見つけた罠にしても、わざと発動させてその仕掛けごと粉砕する手腕は見事である。こうすれば、後から進む者がどこを触っても安全は保障されるって寸法。


 ツグミも感心した表情で、積極的にこの無敵ボディを活用する方針に決定したっぽい。実際、罠の発見率に関してはツグミの方が少しだけ優秀である。

 そして敵を発見したら、素直にレイジーやコロ助に活躍の場を譲ってみたり。たまに姫香とチビッ子コンビも、その戦闘に参加して()さを晴らす感じ。


 そして2層の迷路も中盤に差し掛かった頃に、その事件と言うか事故は起きてしまった。時間にすれば、探索開始から1時間半ちょっと過ぎだろうか。

 またもやツグミが罠の仕掛けを発見して、ルルンバちゃんがそれを破壊しようと近付いた途端に。魔法の仕掛けが発動して、何とルルンバちゃんの巨体が消失すると言うハプニングが発生したのだ。


 大慌てのツグミは、それが転移トラップだと即座に認識する。そのお陰でツグミは転移を(まぬが)れたけど、巨体の相棒の姿はどこを探しても見当たらず。

 慌てているのは後衛も同じで、AIロボの消失シーンはバッチリ確認済み。転移トラップは、来栖家チームも何度か掛かった事があり、その凶悪さは肌を(もっ)て確認済みだ。


 姫香や香多奈が声を張り上げてルルンバちゃんに呼び掛けるが、それで寄って来るのは敵の群ればかり。それをやっつけるハスキー達やチビッ子コンビは、予定外の出来事に随分と慌て気味。

 まぁ、茶々丸はやらかし仲間が増えて喜んでいる節も窺える気が。それはともかく、寄って来た敵を全て退治し終えた一行は、額を寄せ合って救出の相談を始める。

 と言うか、この際ズルしてヘスティアに尋ねようよと姫香の意見。


「ねえっ、知ってるなら教えてよ、ヘスティアちゃん……ルルンバちゃんは大きいナリしてるけど、あれでまだ9歳児なんだよっ?

 独りぼっちになって、多分心細い思いをしてる筈」

「そうだねぇ、例えばこの層なのか別の層に転移させられたかだけでも教えて貰えたら……えっ、この層にいるのは間違いないのっ?

 ありがとう、ヘスティアちゃんっ!」

「そうと分かれば、魔法の地図で確認してみようか。う~ん……多分だけど、この辺りが怪しいかなぁ?」


 何とも素晴らしい、子供たちのメイドゴーストの篭絡(ろうらく)からの位置の推理のスムーズさ。その結果、香多奈が指し示したのは地図の右上の部分だった。

 確かにそこには、1部だけ広い小庭のような空間が存在している。地図の上では、突き当たりではなく通り過ぎる事も可能な感じ。


 ただし、最短ルートからは外れているので、探索を急ぐなら向かわないルートでもある。宝箱や怪しいマークも無いので、地図があれば普通は無視して進むだろう。

 護人としては、未来の“巫女姫”候補の推測を無碍(むげ)にする訳にもいかない。それからヘスティアのせっかくの忠告もあるので、この2層を徹底的に探す方針は揺るがない。


 そんな訳で、急いで向かうよとハスキー達に告げての探索の再開である。仲間想いのハスキー達は、末妹の指示に従って急ぎ足でルルンバちゃんの捜索へと駆けて行く。

 中衛の姫香も同じく、敵がいたらさっさと殲滅(せんめつ)するよとチームを統率しながらの急ぎ足。そしてもう少しで辿り着くよとの末妹の言葉を得て、やや慎重にペースを落とす。


 ハスキー達も、前方にただならぬ気配を感じて思い切りペースダウン。どうやら香多奈の示した、小庭っぽい広場にもう少しで辿り着くようだ。

 そこに敵の気配がするよと、ツグミがチームに知らせて来る。どうやら強敵のようで、獣っぽい(うな)り声が姫香の耳にもしっかり届いて来た。


 ただし、ルルンバちゃんがそこにいるかは今の所全くの不明。姫香はハスキー達と隣の茶々萌コンビに、取り敢えずそこにいる敵をしばき倒すよと指示を出す。

 ルルンバちゃんの捜索は、敵を倒した後にゆっくりすれば良いとの判断だ。後衛もそれを察して、フォローの構えを敷き始める。


 そして先手を取るぞと一斉に飛び込んだその広間で、姫香は衝撃の光景を目にするのだった。それは(とげ)付きの鳥籠に入れられたルルンバちゃんが、広場の中央に吊るされていると言うモノ。

 その前方には、まるでそれを護るように棘だらけの獣の姿が。





 ――巨大な鳥籠の中のAIロボは、まるで囚われのお姫様のよう?







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