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田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件

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各チームが3層中ボス撃破に動き始める件



 ツグミが開錠した宝箱の中からは、定番の鑑定の書や魔玉(風)や薬品類が割とたくさん出て来た。それからスキル書が1枚に、魔結晶(小)と魔結晶(中)が5個ずつ。

 後は観葉植物や堆肥の袋が幾つか、そして鉢や園芸用品も新品がたくさん入っていた。薔薇の苗木も出て来て、地元は冬空だと言うのに微妙な内容である。


 まぁ、来栖家には立派な温室があるので何とでもなりそう。その管理者の紗良は、その回収品を素直に喜んで立派に育てるぞと意気込んでいる。

 ただし、魔法の鞄は生物は入らないので持ち運びは大変そう。長女は別のバッグを取り出して、その中に観葉植物と苗木を丁寧に詰め込んでいる。


「ふうっ、こっちも寄り道での戦闘は大変だったけど……香多奈ちゃんチームも、青い鳥が宝箱になって戦闘もあったって言ってるねぇ。

 あっちもアクティブに活動してるみたいだね、今は中ボスの間の前まで辿り着いたそうだよ。心配されてたヒバリちゃんも、大人しく言うこと聞いてくれてるみたい」

「それは良かったよ、あっちも色々と心配なメンツが揃ってるからね。でもまぁ、ヒバリやムームーちゃんも、親離れを1回経験出来て良かったのかもね?

 これで自立が出来たら、ウチのチームもまた成長するんじゃないかな?」


 そんな事を話し合う姉妹は、他の2組の心配もして大変だ。ハスキー達も恐らく内心では心配しているが、今は自分達の探索で手一杯みたい。

 それもその筈、この後はいよいよ中ボス戦が待っているのだ。そして3組が見事に鍵をゲットすれば、4つ目の扉で大ボス戦が待っている筈。


 その辺も頭の中に入れて、探索に臨むハスキー達は超優秀には違いない。そんな“鬼の報酬ダンジョン”も、後残す所は中ボス戦と大ボス戦のみ。

 それじゃあ行こうとの姫香の号令に、ハスキー達は待ってましたと先行して今来た道を分岐まで戻って行く。そこから中央に建つ、洋風のお城へと進めば恐らくそこが最終地点だ。


 ミドルチームは、そこを目指して元気に進んで行く。分岐までは敵にも()わず、順調に戻って来れて後は城郭(じょうかく)の上の通路を伝って進めば辿り着けそう。

 さっきみたいに空からの襲撃もありそうだし、中ボスの間に辿り着くまで油断は出来ない。とは言え、百戦錬磨のハスキー達の先導に、恐らく抜かりはないだろう。


 そんな話をしながら、石畳の城壁の上の通路を進む事5分と少し。洋風のお城に近付くまでに、案の定のワイバーンの襲撃が2度ほどあった。

 それを華麗に退けるハスキー達は、既に空を飛ぶ相手も手慣れたモノ。そうしてようやく、壁無し吹き(さら)しのお城の中ボスの部屋を覗けるように。


 そこには、獅子と羊の顔を持つ巨大なキメラが居座っていた。そいつは対戦者を待ち()びるような態度で、部屋の中央に泰然とスタンバイしている。

 最後の獲物だと、ハスキー達もスイッチが入って臨戦態勢に。姫香ももちろん、私も最後くらいは戦うよと武器を手にして進み始める。

 そんな訳で、大物の中ボスとの戦いの火蓋(ひぶた)は切って落とされる事に――





 香多奈が率いるチビッ子チームは、意気も高く中ボスの間を目指していた。工場エリアは微妙に進めるルートが決まっていて、障害物を避けながらの進行だ。

 途中のコンベアに置かれているお菓子を(つま)みながら、ご機嫌に進む一行は今はヒバリが先頭である。それを茶々丸と萌がフォローして、ルルンバちゃんが後衛警護に当たっている感じ。


 そして一番後ろを香多奈と2号ちゃん、ムームーちゃんは今は茶々丸(遼)の肩の上である。先程から元気が無いのは、護人(父ちゃん)から離れているせいかも。

 さっきも攻撃に参加しなかったし、まだまだ子供の軟体幼児に自主性を求めるのは(こく)なのかも。元が戦闘種族の仔グリフォンと違い、ネビィ種は温和種族なのだ。


 それを何となく察した茶々丸は、ムームーちゃんを抱えて香多奈に手渡しに来た。どうやら本格的にスランプと言うか、ホームシック気味みたい。

 どうしたのと優しく訊ねる末妹だが、残念ながら保護者としての器の大きさは無い。それでもあれこれ話していると、何とか軟体幼児の心も(ほぐ)れて来た。


「あっ、茶々萌が怪しい場所を見つけたって言って来たね。途中の雑魚モンスターはヒバリが頑張ってやっつけてくれたし、ムームーちゃんも最後くらいは見せ場を作ろう?

 この探索はちゃんと録画してるから、後からそれを叔父さんにも観て貰おうねっ。だから最後の戦いくらい、活躍した所を見せなさいよっ」


 そう励ます末妹に、ムームーちゃんもちょっとだけヤル気を回復させてくれた。父ちゃんに褒めて貰うデシと、次の戦闘参加を勇ましく表明する。

 そして一行は、工場エリアを怪しい場所へと向かって進んで行く。そこはアームで段ボールを積み立てるエリアで、肝心の段ボールは置かれてない代わりに戦う広さは充分だ。


 そこに待ち構えていたのは、畳3畳分もある巨大な亀だった。その甲羅(こうら)は何故かデコレーションケーキで、何とも甘々しい中ボスである。

 それを見た末妹も、うわぁって表情で胸焼けしそうって顔色。ただし、向こうは完全にヤル気で、それなりに本格的な咆哮(ほうこう)を放って臨戦態勢に突入した。


 どうやら、甘いのは見た目だけらしい……ケーキの甲羅も含めると、体高4メートルはある巨体中ボスだが戦闘力はどの程度だろう。

 それを確かめるべく、前衛の茶々萌コンビがアタックを始める。ヒバリも調子に乗って、その攻撃に参加するが果たして大丈夫なのだろうか。


 心配する香多奈だが、茶々丸と萌のフォローに期待するしかない。それよりいきなりヤル気を見せたムームーちゃんの《氷砕》がファーストヒット!

 それを物ともせず、怒り狂って暴れ始めるデコ大亀である。しかも巨大な作業用アームも、2台ほど同時に動き出して思い切り敵対行動を取り始めた。


 掴まれそうになる茶々萌コンビは、それを華麗に避けて反撃を繰り出している。ただし、硬い機械アームは槍の攻撃を跳ね返して効果はイマイチ。

 萌の持つ『黒雷の長槍』の攻撃には、痺れた感じで一瞬止まってくれはしたモノの。まだまだ元気な、2本の作業用アームとデコ大亀である。


「さすが中ボスのセットだねっ……なかなか手強いし、あの機械が動き出すとはサプライズ要素もバッチリだよっ。ルルンバちゃん、あっちの機械型のモンスター倒すの手伝ってあげて!

 ヒバリは危ないから、ちょっと一回下がりなさい!」


 大亀の大暴れで、危うく踏み潰されそうになっているヒバリに香多奈は大声で指示を出す。そのフォローもするルルンバちゃんは、前衛に乱入して大忙し。

 そしてうっかり、巨大ケーキに突っ込んで白いクリームまみれになるAIロボ。そしてその接着した白い物体が、まさか泡を吹いて溶け始めるなんて!?

 その仕掛けに気付いて、大いに慌てる香多奈とルルンバちゃんであった――





 正規ルートに戻った護人は、ひたすらアスレコースのゴールを目指して進んでいた。さすがにもう分岐の仕掛けは無いが、魚人やインプは出現する鬼仕様。

 それをミケの力を借りて、ほぼ一瞬で撃破して行くアダルトチームであった。そんなミケのご機嫌だが、恐らく今は最悪レベルに落ち込んでいた。


 途中の仕掛けが酷かったし、護人も申し訳なく感じている次第。転がる丸太に捕まって、高低差を転がり落ちる仕掛けは護人も目が回って大変だった。

 ミケが落っこちないよう、薔薇のマントに包んで同行して貰ったがそれも不味かった。ただし時間は刻々と減って行くし、他に手段も無かったので仕方がない。


 そう(なだ)める時間も無いタイムアタックは、既に残り4分を切っていよいよ不味い状況。そろそろゴールが見えて来ても良い筈だが、それらしい仕掛けはまだ見当たらず。

 倒した敵の魔石も相変わらず拾えてないし、ストレスばかりが溜まるコースである。改めてこんなコースに当たった不運を(なげ)くも、他の家族チームに当たらず良かったと思う二律背反(にりつはいはん)は致し方なし。


 それはともかく、次のコースもテレビでは見た事があるけど素人にはとても無理って仕掛けだった。壁に2センチの突起しかなくて、それを指先でぶら下がって10メートル先の浮き島まで進めって指示らしい。

 そんなアスレをした事のない護人は、それを見て思わず悪態をつく。


「うわあっ、こんなのミケでも通れないぞ……本当に酷いコースだな、まぁモンスターが妨害に出て来る時点で分かってたけど。

 仕方無いから、こっちも“四腕”を使わせて貰おうか。それより、そろそろゴールが見えないと不味い時間なんだが」

『ゴールなラ見えてるゾ、あと少し行ったあノ壁の向こうダナ……狼男と虎男が、赤いパンツを着テ待ってるけド2対1は卑怯ダナ

 どレ、こっちモそろそろ奥の手ヲ出そウか』


 そう口にしたチビ妖精は、何かの演出なのかパチンと指を鳴らして決めポーズ。すると、何故か薔薇のマントが妖精ちゃんの兎の戦闘ドールを輩出してくれた。

 一体いつの間に、薔薇のマントを懐柔したのか護人には不明だがこれには驚いた。ミケも警戒して尻尾を太くさせてるが、兎の戦闘ドールはそれに構わず猛スピードで先陣を駆けて行く。


 つまりわずかな突起のコースを、まるで猿のように身軽に渡り切ったと思ったら。その奥の反り立つ壁を大ジャンプで登って、護人の視界から消え去る始末。

 それを(あやつ)る妖精ちゃんは、ゴール地点で待ってるゾと言い残して飛んで行ってしまった。何ともアグレッシブだが、果たしてその行為をダンジョンは容認してくれるだろうか。


 護人には分からないが、時間が目減りして行っているのは確かである。そんな事を考えている内に、壁のタイマーの残り時間は3分を切っていた。

 慌てて“四腕”で、心細い雲梯(うんてい)コースに挑み始める護人だが意外と時間は掛からずそれを踏破出来た。さすが《奥の手》は、人間の重さ位は屁でもない。


 浮き島を通過して、例の反り立つ壁に辿り着く頃には、その奥から派手な戦闘音が響いて来ていた。(いや)らしい事に、その壁は湾曲がエグ過ぎてまるでネズミ返しみたいになっている。

 こちらも仕方なく、“四腕”でクリアした護人は次の重りをこじ開けるアスレに挑み始める。その頃には、派手に鳴り響いていた戦闘音は完全に静かになっていた。


 心配しながらも、ようやく護人はチビ妖精の言うゴール地点へと辿り着いた。時計を見れば残り1分で、本当にギリギリって感じ。

 と言うか、この後で2体のモンスターを相手に、プロレスを(きょう)じる時間など完全に無かった。そしてそこには、誇らし気にリングの上に(たたず)む、妖精ちゃんと兎の戦闘ドールの姿が。

 その両者の顔には、派手な赤いバッテンマークが。





 ――まぁ何にしろ、制裁は警告レベルで済んだ模様で何より。







   ―――   ―――   ―――   ―――   ―――

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