表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1003/1005

各々のチームが3層エリアを確認に至る件



「ふうっ、何とか勝てたね……ちぇっ、魔石は中サイズかぁ。もっと強いと思ったんだけどな、あの獅子獣人の剣士。まぁ、パペットの支援もあったしね。

 ツグミ、フォローありがとっ!」

「それより姫ちゃんっ、怪我を治さなきゃっ! 大変っ、割と深いかも……鎧も戦闘ベストも破損してるね、傷口良く見せてっ」


 慌てる紗良だが、当の姫香はケロッとしていてそこまで痛みはないみたい。ただの強がりかもだが、相棒のツグミやハスキー達は心配そうに寄って来る。

 そこからは、治療を済ませて通信でお互いの現状を確認し合う。それから、ドロップ品や置いてあった宝箱の中身を確認したりと後始末を姉妹で行なう。


 こんな時は、末妹やルルンバちゃんの不在を痛烈に思い知らされてしまう。それから通信では、姫香の怪我を隠し通すのに罪悪感を覚えてしまう紗良だったり。

 確かに、護人や香多奈に余計な心配をかけるのは(よろ)しく無い。とは言え、真面目な長女は家族を(だま)しているみたいで、歯切れも悪くなるのは致し方なし。


 敏感な末妹は何か感付いたようだが、姫香が割って入って強引に黙らせてしまった。それから休憩を挟んで、さあ次の層を(おが)もうかと意気も高い。

 そんな妹を見て、これなら大丈夫かなと紗良もようやく思い直す。


 ちなみに、ドロップは獅子獣人が魔石(中)とオーブ珠が1個ずつ。ブリキのゴーレムや藁人形パペット達は、魔石(小)やブリキのバケツや藁の束を落としていた。

 支援特化のドレスパペットは、豪華なドレスを落としてドロップに関しては種類が豊富だった。宝箱の中身も、鑑定の書や木の実や薬品類がまずは目に付く。


 それから魔結晶(小)が7個に、布素材や宝石類が割とたくさん入っていた。女王デーモンが持ってた杖は、紗良が魔法の品だねと太鼓判を押す。

 それらの儲けを確定して、さて考えるのは探索を続行するかどうか。このチームのリーダー役は、長女の紗良なので姫香の怪我の状況次第では撤退も考えられる。


 その当人は、すっかり元気だしどうせあと1層じゃ無いかなと先に進みたい様子。道中の敵は、どうせハスキー達が駆逐してくれるので負担も少ないと。

 確かにその通りで、紗良は改めてハスキー達にお願いねと口にする。それを聞いた3匹は、任せておいてと尻尾を振って勇ましく先行する素振り。

 そんな訳で、ミドルチームも残り1層に挑む事に――。





 一方の護人とミケ、それから妖精ちゃんの凸凹(でこぼこ)アダルトチームである。護人は残りのコースを、構うモノかと《奥の手》を発動して無事にクリアに至った。

 今はゴールのスイッチを押し終わって、クリア報酬を確認している所。汗だくで試練をこなして、息を整えながらの作業である。


 同伴者のミケと妖精ちゃんは、涼しい顔でとっても呑気なのが憎らしい。いや、これもチーム分担なので、文句を言うのも筋違いってモノだろう。

 それでも不条理を感じる護人は、嘆息しながら宝箱のチェックをこなす。このゴール地点とスタート前の敷地のみが、時間を気にせず安心出来る唯一の場所である。


「やれやれ、宝箱の中身が豪華なのだけが救いだな。後は、幸いにもスキルを使っても、ダンジョンが不正認定しなかったのも良かったな。

 おっと、中サイズの魔石と魔結晶が10個ずつ入ってたよ。後はスキル書に薬品類……こっちの瓶は、これは上級ポーションかな?

 後は案の定の、トレーニング器具ばかりだな」

「安心シロ、こっちノ丸まってル袋は魔法のアイテムだからナ。そんでこっちノハ、魔法の鞄ダナッ。

 さスが、ウチのチームリーダは運がいいナ!」


 そう助言を飛ばす小さな淑女は、リーダー補正なのか護人に対しては親切である。ただしミケとは相変わらず不仲で、この運の良さはミケの手柄だとは断じて口にしない徹底振り。

 子供達に言わせれば、間違いなく福の神効果は家猫(ミケ)のお陰である。とは言え、護人も数少ない同伴者とは仲違(なかたが)いはしたくはない。

 なので、そうだねと自分の手柄にさせて貰う事に。


 それから休息をしつつ、他の2チームとしばらく連絡を取り合う。どうやら進捗(しんちょく)度的には、1エリア20分も掛からない護人チームが一番早いみたい。

 それならば、もうしばらく休憩時間を取っても良いだろう。のんびり座り込んで休みながら、妖精ちゃんの他愛ない助言を聞き流す。


 彼女も珍しく探索に前向きなようで、いざとなったら兎の戦闘ドールで支援してやると大威張り。このチビ妖精は、こう見えて意外とお節介(せっかい)焼きなのだ。

 これは最近分かった事実で、来栖家チームを裏から支えているのは自分だと信じて疑ってない様子。それは別に構わないが、余計な考えを巡らせないで欲しい。


 例えば、鬼と天狗の“試練ダンジョン”に感化を受けて、自分も作ろうかななどと最近は口走っていた。彼女にそんな事が可能かは不明だが、目を離すと変な方向に暴走しそうで怖い。

 例えば、失敗してオーバフロー騒動を起こすとか本当にやめて欲しい。と言うか、“魔境”と呼ばれる日馬桜(ひまさくら)町に、これ以上ダンジョンを増やさないで欲しい。


 そんな護人のお願いは、果たして聞き届けられたのかは定かではない。ただまぁ、過去にはこのチビ妖精の知識を得て、近場のダンジョンを見事封じる事にも成功しているのだ。

 あれに関しては、一時“駅前ダンジョン”のあった場所には、連日のように研究者が訪れていた。お陰で周辺のお店や、田舎のJR路線は儲かったみたい。


 そんな妖精ちゃんの知識だが、時折ヘンな方向に働くのも事実。錬金師匠であるチビ妖精の暴走で、一番迷惑を(こうむ)っているのが紗良とリリアラである。

 ここを出たら、もう一度しっかりとダンジョン増設計画はダメだと、この錬金術師たちに釘を刺しておかないと。本当に、理性より好奇心を優先させる研究者って厄介で仕方無い。

 そんな事を考えながら、護人はようやく重い腰を上げるのだった――。





 今の香多奈は、長女の真似事をしてペット達の怪我チェックを行なっている所。ルルンバちゃんと2号ちゃんが、その隣でドロップ品の回収を行なっている。

 紗良とは違って回復スキルを持たない末妹だが、幸い回復系のポーションはたくさん持って来た。それを茶々丸にぶっ掛けて、これで治療はお終い。


 ヒバリの方は至って元気で、やってやったぜと毎度の荒ぶる舞いを踊っている。その作業後に、香多奈は浮かれながら回収品と宝箱の中身チェックを始める。

 まずは階層主の2体だか、魔石(中)を2個とスキル書1枚をドロップ。ヘラジカの剥製の方は、見事な鹿角を落としてくれていた。


 これはハスキー達が喜びそう、来栖家のペットの玩具(オモチャ)はこんな自然の品が大半を占める。そしメイドゴースト達も、魔石(小)やはたきを落としてくれた。

 これが魔法アイテムかどうかは、妖精ちゃんがいないので戻ってみるまで分からない。相棒の不在は少し悲しいが、2層目もクリアしたし探索も残り少しだ。


 宝箱の中身は、木の実や薬品類に混ざって燕尾(えんび)服や懐中時計や文具などがいっぱい。杖や手品師が使うハットも入っていて、1層の品揃えとは全然違う。

 後はオルゴールや置き物系が少々、虹色の果実や可愛いポシェットなども入っていた。それから魔結晶(小)が7個、これが一番現金収入になるので嬉しい末妹。


「やったね、私達のチームも現金収入の方はかなりいい線行ってるかなっ? 後は魔法のアイテムだけど、どんだけ混ざってるかなぁ?

 萌やルルンバちゃんは、そう言うの分からないよねっ」


 問われた両者は、さあって感じで分かんないよって表情。そんな事をしながら休憩も終えて、さぁ行くよと香多奈の号令にペット達も張り切って動き始める。

 次はどんなエリアかなと、期待と不安が半分ずつなチビッ子組は足早にゲートを潜って次の層へ。特に前衛陣は、頑張るぞって最初の意気込みは変わっていない。


 そんな第3層エリアだが、何だか工場みたいな妙な広いエリアだった。室内なのは確定だが、天井は高くてヘンな機材が各所に置かれている。

 それこそ、コンベア通路もあちこち通っていて、壁際には小箱コンテナが積み上がって迷路を作っている。そんな周囲を調べる萌が、コンベアを流れるアイテムを拾って来た。


 香多奈がそれを調べると、普通に箱に入った有名なお菓子だった。それを見たヒバリも、真似をしようとコンベアに乗っかって流されて慌てている。

 仔ヤギ姿に戻ってた茶々丸が、再び人間の子供姿に戻って仔グリフォンを救出してくれた。そんなヒバリの(くちばし)と前脚には、これまたスナック菓子が幾つか。


「わっ、ここもお菓子とか回収出来るエリアみたいだねっ。しかもお菓子工場なのかな、幾らでも持って帰り放題じゃんっ!

 どうしようっ……あとヒバリは、ちゃんと反省してっ!」


 本当にヤンチャ者は困っちゃうと、腰に手を当てて怒りのポーズを取る末妹である。ただまぁ、当のヒバリは全く懲りた感じはないみたい。

 そんな事をしていると、萌とルルンバちゃんが進行ルートを発見してくれた。このチビッ子チームの中では、この2名が群を抜いてしっかり者の印象がある。


 香多奈も魔法のコンパスを取り出して、そっちが正解だよと太鼓判を押す。そして進み始めると、幾らもしない内に通路を(ふさ)ぐように敵の群れが出現した。

 そいつ等は、何と言うか酷いモンスターの組み合わせで、見る人が見たら胸やけを起こすかも。チョコ付きクッキーのゴーレムとか、マシュマロ風のスライムが床を這っているのだ。


 うわっと思わず叫ぶ末妹だったが、敵だと判じた前衛陣は容赦がない。甘い匂いを振り()く敵を、それぞれの武器で始末して周囲は何だか悲惨な状況に。

 幸いにも、倒したら敵は魔石に変わってくれるのでその点は安心かも。


 そうこうしている内に、敵の群れは全て倒し終わった。ふうっと安堵する香多奈は、ふと高い天井を飛翔する青い鳥を発見して驚きの表情に。

 その鳥はゲートの場所とは別の方角に飛んでおり、これは1層で見て以来の演出である。2層は思いっ切り室内エリアだったので、その出番は無かったのかも。


 アレを追いかけて行けば幸せになれるかもとの言葉に、チビッ子組の面々はナニ言ってんのって表情。まぁ、半分以上は推測なので、変な顔をされるのは仕方がない。

 ただし、今回のこのチームのリーダーは自分なのだ。好きに指揮を()れるし、寄り道したってガミガミ(うるさ)い姉はこの場にはいないのだ!

 だったら、自分の勘に従って3層目くらいは好きに動いてみよう。


 そう言って、前衛陣に行く先の変更を告げる我が(まま)末妹であった。そんな気分屋さんには慣れている一行は、それじゃそっちだねと素直に従ってくれる。

 そんな行動の変更が、まさかあんな思わぬ事態を招こうとは。





 ――その時の末妹は、ましてや家族の面々は知る(よし)も無いのであった。








『ブックマークに追加』をしてくれたら、香多奈が歓喜のダンスを踊ります♪

『リアクション』をポチッてくれれば、姫香がサムズアップしてくれます!

『☆ポイント』で応援すると、紗良が投げキッスしてくれるかも?w

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ