3.孤児院
アランは孤児院に預けられた。
しかし、この孤児院は普通の孤児院ではなく政府管理の魔力持ちの子供限定の孤児院だった。
「今日は新入りを紹介するから、皆仲良くするように。隣にいるのが平民のアランだ」
「よろしくお願いします」
アランは取り合えず頭を下げる。
「この子は皆と同じく魔法ができるから、平民出身でも仲良くするように」
20人くらいの子供が集まってるが、返事がない。
こうして、アランの孤児院の生活が始まった。
アランから声をかけても職員の大人以外は無視をしてくる。
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孤児院に来てから1週間が経過した。
職員の大人からアランは杖を渡された。
孤児院の隣にある刑務所にアラン含めた子供5人を引率して入る。
「今日はお前たちがお国のために悪い大人に罰を与える日だ。まずはジョン、手本をアランに見せてあげなさい」
拘束された囚人が100m先にいる。ジョンが魔法を詠唱すると、火の玉がでて、その囚人めがけて放たれた。
「熱い、熱い、誰か助けてくれ」
囚人は助けを求めている。
「次はカレン」
カレンも同様に火の玉を囚人に当てる。
同様に他の子供たちも順番に火の玉を当てて、アランの番になった。
「このままではあの人が死んでしまいます」
看守も引率した大人も子供も笑い出す。
「殺すためにやってるんだから当然だ。彼らは罪人だからね」
アランは大人を目を見るが冗談ではないようだ。
同様に火の玉を出す詠唱を始める。
何故か、杖が折れて、火の玉が空に向かって打ちあがった。
子供たちは爆笑している。
「平民は道化師かw」
看守の一人がアランを軽く殴る。ふざけてると思ったのだろう。
しかし、引率の大人は険しい表情をしている。
「次はこの杖を使え」
アランは言われた通りにやる。今度は火の玉がでたが、的(囚人)に当たらない。
また子供たちが笑いだす。
「院長先生が今回の新入りは特別だって聞いてたわりにしょぼいな」
「警戒してて損した。これじゃライバルにもならないわね」
最後はカレンが放った火の玉で囚人は死亡した。
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翌日、アランが飲食用のテーブルにつくと
ジョンがアランのおかずを奪った。
「警戒してたが雑魚なら、これは俺のもんだ」
ジョンは代わりに嫌いな野菜をアランのおかず用の皿に置いていく。
アランはまだ両親の死から立ち直れていないため、反撃はしない。
ただ目の前のものを食べるだけだった。
それを遠くから職員の男が厳しい目で見ていた。
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ジョンは院長先生含めて魔法指導担当の職員に呼ばれていた。
「この杖で石の的に火の玉を当ててみろ」
アランが使った杖を渡されるジョンだった。
ジョンは余裕な表情で火の玉を詠唱するが、全く発動しない。
ジョンは杖を地面に叩きつけた。
「この杖が悪い」
院長先生がその杖を取ると
丁度アランも連れてこられた。
アランに杖を渡して、火の玉を詠唱させると、問題なく普通の火の玉がでてきた。
ジョンはアランの顔面を殴りつけた。
「イカさま野郎が!」
2発目を殴ろうとしたが、院長先生がそれを止める。
次に、庭に生えてる木の枝を折り、アランに渡す。
それで魔法を詠唱しろということだと理解したアランは同様に火の玉を出した。
ジョンは信じられないという表情をしている。
「アランは魔法用の杖なしで魔法が発動できるということを皆で確認したわけだな」
ジョンはアランを睨みつけている。
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翌日ジョンがアランに絡んでいた。
「俺は優秀だから既に中級の火系統の魔法も使える。見せてやるからついてこい」
強引にアランはジョンに訓練場に連れていかれる。
ジョンは中級の火魔法を詠唱した。例えるなら火炎放射器だ。
射程は短いようだが、火の玉とは比較にならない程熱い。魔法を発動してるジョンも熱さで
汗が噴き出ている。
「アラン、お前もやってみろ」
アランはジョンと同じ詠唱をするが、何も出てこない。
ジョンは勝ち誇った顔をしている。
「大人たちは勘違いしてるようだが、初級魔法しか使えないお前は俺よりも格下だ!」
ジョンは機嫌が良いので帰っていく。
それを見ていたカレンは水系の中級魔法を見せてやり、
アランが水系統の中級魔法もできないことを確認したら、同様に上機嫌で帰った。
アランは同年代と張り合うのも嫌なので、されるがまま流された。
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翌日、アランは
孤児院の他の児童たちから無視ではなく、パシリ扱いを受けることになった。
掃除当番の押し付け、孤児院で買っている小動物の世話などの雑用を押し付けられるのだった。