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<第6話>清子さんの話

 「お忙しい時間帯に、捜査へのご協力を感謝致します。


  清子さん、桜井会長が意識を無くされた日の朝に、部屋へ行った時の様子を教えていただけませんか。」

 黒川がたずねた。



 「はい。


  ですが、剛社長から既にその話をされたと伺いました。

  そんな同じ話でも宜しいのでしょうか?」

  清子さんが聞いてきた。



 「そうですね。


  もしも同じような内容の話になってしまっても大丈夫です。

  どうか清子さんの話も教えて下さい。」

  黒川が優しく言った。



 「はい、分りました。


  会長は、毎日規則正しい生活をなさる方です。


  健康維持の為にと、夜更かしや朝寝坊をしないように毎日心掛けていらっしゃいました。


  ですが、その日の朝は定刻になっても起きていらっしゃらなかったので、お部屋まで様子を見に行きました。



  会長は、確かに最近少し疲れているようなご様子はありました。


  でもまさか、起きて来る事が出来ない程体調が悪くなるなんて、私は思いもしませんでした。」

  清子は真剣な顔で話していた。



 「そうですか。」

  黒川が答えた。


 「しかも、奥様が旅行中にこんな大事件が起こってしまうなんて、まるで…」


 「清子さん、その通りだ!


  母が旅行中に父が倒れるなんて、確かにこれは大事件だ。


  だが、そんなに心配する状況ではないと言っただろ。」

  剛社長が清子の話に割って入ってきた。




 「はい、剛社長。すみませんでした。」

  清子さんが答えた。



 「ああ、分かってくれればいいんだよ。


  君も母も物事を何でもすぐに大袈裟にしすぎるから困るよ。


  これだから女性って生き物は…



  あっ、これは刑事さんの前で失礼致しました。」

  剛社長が答えた。



 「あ、いいえ。」

  黒川が答えた。




 「まぁ、そういう訳ですよ。

 

  刑事さん、もうそろそろ宜しいでしょうか?

  彼女はこれからまだ父の病院に行ったり他にも色々と仕事が残っているんだがね…。」

  剛社長が言った。



 「あっ、これはすみませんでした。


  そう言われている社長もお忙しい時間帯ですよね。」

  黒川がたずねた。



 「ああ。もちろんだ。


 ちょっと探し物があって家に寄ったんだが、私もすぐに会社に戻る予定だよ。


 それじゃあ、この辺でもういいかな。」

 剛社長が答えた。



 「はい。


  ところで、清子さんが行かれる病院というのは、会長の病院ですよね。」



 「ああ、そうだよ。」



 「会長のご担当の先生というのは?」



 「西塔(さいとう)先生だ。


  彼に任せておけば、大丈夫だよ。」

  剛社長が答えた。



 「そうですか。


  実は、こちらに伺う前に病院の方へも足を運んだのですが、何も話を聞くことが出来なかったのですよ。


 また改めて伺う予定でしたので、担当の先生の名前が分かって良かったです。」

 黒川が答えた。



 「君は、既に病院にも行っているのか?


  何も話を聞けなくて当然だよ。

  君達警察は、一体何を調べていると言うんだ?


  もう失礼してもらえるかな。

  私が会社に戻る時間だ。」

  剛社長が憤慨した様子で答えた。

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