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<第43話>歪んだ考え

 「私だって、あんな事をするつもりではなかった…。



  少し前の話だ。

  突然父は言ったんだよ。


  『今度の役員会で、光のグループホームを傘下に置くつもりだ。』

  と。


  父が役員会でやりたいと言えば、それは承認されてしまうだろう…。




  とんでもない話だと思わないか?


  ずっと父を支えていたのはこの私だというのに、今更弟を呼び戻そうとするだなんて。





  私は考えたよ。

  どうにかして父の逆鱗に触れることなく、この案件を否認出来ないかとね。


  幸い今期の業績が芳しくない状況だったから、新規の事業を開始するのはどうかと思う役員も多いのではないかと。



  だから父が役員会に参加出来なければ、上手くいけば否認出来るかもしれないという結論に達したんだよ。」



  剛社長は、どこか遠くを見るような目をしながら話していた。




 「そんな考え方をなさったのですか…。


  でも聞きましたよ。

  結局会長の希望通り、光さんのグループホームは傘下に入る事になったと。」




 「その通りだ…。


  結局どんなに私が反対意見を述べたって、不在の父の影響力の方がはるかに強いんだよ。



  父にあれだけの事をしてしまったというのに、とんだ茶番だったよ。」

 剛社長は失笑していた。




 「『会長の逆鱗』…。


  確かに会長の逆鱗に触れると、大変な事になるというお話は聞きました。


  実際、弟の光さんが家を出たのもそれが原因だそうですね。」

 黒川が静かに言った。



 「父がずっと光の能力を高く評価している事は知っていたんだ。

  私を役員に抜擢する時、父は光も同じタイミングで役員にしようとしていたんだからね。



  私とは違って、光は周りの人間に好かれる人間なんだ。


  ただ単に年上だというだけの自分では、このままいけば弟に抜かれて、光が社長になるだろうとまで思っていたよ。




  だがな、バカな話だったよ。

  あいつは女ったらしく女性の苗字に変わるなんて言って、自分から父を怒らせたんだ。


  そうして光は、家を出て行ったんだ。」




 「なぜその時、あなたは光さんを守ってあげなかったんですか?

  約束したのにと光さんが失望していましたよ。」

 



 「当たり前だろう。

  あの父が本気で怒ったんだぞ。



  そんな父の前で、弟を援護するための反対意見なんかを言える訳が無いじゃないか。



  弟の話を聞いた時は、おめでたい話だと思ったよ。

  だから一緒に父に話そうと約束もした。

  その気持ちに嘘は無かったんだがな…。



  そうか…、あいつそれを気にしていたんだ…。」

 剛社長がしんみりと言った。


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