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<第41話>悪影響

 「先生は、いつまでこの治療を続けるおつもりなんですか?


  会長を自然死に見せかけて殺すことは、今の状況ではもう不可能だと思って下さい。」

 黒川は、ずっと黙っている西塔先生に強く言った。



 「ま、まさかそんな、殺す事なんてある訳がないだろう!


  私は…、


  どうしてもと強く頼まれて、仕方がなく、ずっと眠らせる手伝いをしていただけだ。」

 西塔先生が慌てて答えた。



 「先生、剛社長にどんなに寄付金を積まれたからといって、そんな治療を引き受けていいはずがない。


  薬は、常用すれば使用量を多くしていかなければ効果が薄れてくるし、それに伴う副作用だって強く出てくる…。」




 「そんな事、君に言われなくたって充分に分かっている。


  彼には、もうそろそろ限界だから治療を中止したいとちゃんと伝えてあるんだ。



  彼はようやく言ってくれたよ。

  『役員会議は終わった。

   母も来週には帰国する。


   分かった。先生の指示に従う。』

 とね。」

 西塔先生は(せき)を切ったように答えた。




 「そうですか。

  では先生は、これから会長を助けて下さるんですね。



  分かりました。

  署にご同行頂くのは、その後にさせてもらいます。


  会長をよろしくお願い致します。」

 黒川が答えた。





  黒川は、放心した様子の西塔先生をその場に残すと、クルリと向きを変え、部屋から出ようとした。



 「先生。」

 扉近くまで歩いて来て、思い出したように黒川が言った。


 「病院の皆さんが、口を揃えて言っていた事があります。


  『正確な診断と治療をずっと続けていた先生が、最近なんだか様子がおかしい』

  とね。


  先生は、懸命に隠して行動をされていたつもりだったのでしょうが、やはり悪い行動というのは、先生の精神的にもかなりの悪影響を及ぼしていたんだと思いますよ。」


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