<第37話>直談判
「西塔先生からこの鑑識結果の理由を聞く為に、どうか自分に病院に行かせて下さい。」
黒川は、鑑識結果を手に、課長に直談判をしていた。
「その結果だけで乗り込むのは、証拠が弱くないか?」
課長が渋り顔で答えた。
「そんな事を言っている場合では無いと思います。
いいですか!
この結果で明らかに意図的な調合だった事が判明しているんですよ。
その人物が現在も、会長の治療を行っているんです。
そんな悠長な事を言っていて、今後会長の命にもしもの事が起きたらどうするんですか!
万が一にでも亡くなってしまってから動くのでは、遅過ぎるんですよ。
自分が病院に行って、もし結果が出せなかった場合には、降格人事の発令が嫌で、勝手に独断で行動したとでも、全責任を自分に負わせて処分してくれればいいんです。
だからお願いします、行かせて下さい!」
黒川は一歩も引かない姿勢で言っていた。
「落ち着け、黒川。
お前の言いたい事はよく分かった。
全く、久しぶりに顔を出したと思ったら、相も変わらずあの捜査の話か。
銀行なんぞに行かせてと腐っていたりはしなかったようだな。
いい顔つきだ。
どうやらお前さんには、西塔の口を割らせる自信があるようだ。
分かった、行ってこい。」
課長が黒川の顔をジッと見つめて言いながら、ニヤリと笑った。
「ありがとうございます。」
黒川がペコリと頭を下げた。




