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<第11話>匿名の電話

「えっ、えっ、何ですって。


 清子さんが警察に会長についての連絡を下さった女性だったと言うのですか?」



「ええ。今そう申し上げました。」



「そうですか。それは、連絡をどうもありがとうございました。


 それでは、その連絡を下さった理由を教えていただけますでしょうか。」

 黒川は、内心の驚きが表に出ないように、出来るだけ落ち着いた声で聞いた。



「はい、分かりました。


 先程も少しお話しましたが、会長の普段のご様子から、あの朝を境に突然目覚めなくなってしまった理由がどうしても分からなかったからです。


 そして、病院で未だに意識が戻らない事も不安が募るばかりです。


 こんな奥様の留守中に、もしもこのままずっと意識が戻らなかったら、私は一体どうすればいいのかと途方に暮れておりました。


 剛さんは、『心配するな。』とおっしゃるばかりです。


 病院で先生とお話をされた内容も当然私には教えては下さいませんし、私はただ病院に行って、会長の着替え等の荷物を看護婦さんに届けるだけしか出来ません。




 そして私は、お手紙で光さんにその事を連絡しました。


 そしたら、なんとすぐに光さんが電話を下さいました。


 私は、今刑事さんにお話しした話を全て光さんにもお話しました。



 すると光さんは、電話の最後に、


 『念の為、警察に動いてもらえるように匿名の電話を掛けて欲しい。』


 とおっしゃいました。



 光さんが、ずっとご自身で禁止していた私への連絡を、電話ですぐにしてきて下さったんです。




 ですから私は、これは緊急事態なのだと思いました。


 だから電話の内容も、光さんに教わった通りに、そのまま警察にお掛けしました。



 でも、私のたった一本の電話で、本当に警察の方が来て下さるという事は、実は半信半疑でした。



 そして、本当に警察の方が来た時、自分のした行動で、警察の方にご迷惑をお掛けしているのではないかと不安にもなっていました。



 刑事さんのようなお優しい、話をきちんと聞いて下さる方が訪ねて来て下さって、嬉しかったです。


 どうもありがとうございました。」

 清子さんは言った。


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