裏山にできたダンジョン?を調べる
初投稿です。よくある現代風ダンジョンものが書きたくなりました。よろしくお願いします。
「うちの裏山にこんな洞窟は無かったはずだけど。まぁ入ってみるか。危なそうならすぐ逃げればいいだけだし。」
もう間もなく4月になろうかという日の夜、
そうひとりごちるのは裏山の管理人をしている高坂蓮次(16)4月から高校1年生になる男である。春休みの夕方、家で寛いでいたところ裏山の方から突然轟音が鳴り響いた。驚いて裏山に向かうと裏山に見た事の無い洞窟の入口があった。蓮次は安全ヘルメットにツナギ、手にバールとフライパンを持ち、現在自分が用意できる最強装備で立っていた。
「ただの穴ならいいけど、万が一ダンジョンだったら不味いもんな。」
20年前、世界中にダンジョンと呼ばれる不思議空間が突如出現し、そのいくつかからは異形の怪物が溢れ出て大きな被害をもたらした。人類は多大な犠牲を払いながら怪物の駆除に成功し、ひとまずの平穏を取り戻したがその後も新規ダンジョンの報告は後が立たず、土地の所有者に管理を丸投げしているダンジョンも少なくない現状。だから最低限ダンジョンかどうかは確認しなければならないという思いが蓮次にはあった。
「もし魔物がいて倒せたらスキルがもらえる可能性もあるんだよな。良いスキルだったら探索者になりたいって夢も現実的になるし。」
ダンジョンが誕生した事でダンジョン内の怪物の討伐、素材の持ち帰り、未踏破層の探索などを生業とする者達が生まれ探索者と呼ばれた。ダンジョン内の怪物は倒すとその素体は貴重な資源となる事が分かり、特に魔石と呼ばれる結晶を体内に有する事からダンジョン内の怪物は魔物と呼ばれるようになった。魔物を倒した探索者はスキルと呼ばれる能力を得る事ができ、その能力はランダムであったが探索向きのスキルを手に入れた者の中には億万長者になった者もおり、探索者は若者のなりたい職業の上位になっていた。そして蓮次も探索者に憧れる1人であった。
「まあとにかく、入ってみるか。」
蓮次は意を決して洞窟の入口へと歩いて行った。
「しかし中は真っ暗闇かと思ったら思った以上に明るいんだな。やっぱりただの洞窟ではないのか。」
洞窟の入口は縦横約3mといったところで、蓮次がバールを振り回しても大丈夫なだけの余裕があった。また中は真っ暗闇のはずなのに壁がところどころ光っており念の為持ってきた懐中電灯を使う必要がなかった。このことから蓮次はこの洞窟はやはりダンジョンではないかという思いを強くしていく。そして曲がりくねった道をしばらく歩くと突如広さ10mほどの広場に出た。その中央には青色の丸い物体が震えていた。
「スライムだよな。あれ。でもデカくないか?。」
蓮次の目の前にいるのは幅1mほどのスライムらしき魔物。だが通常のスライムは幅が20cmほどだと聞いていたのでこれははるかに大きい。だが内部には核らしき赤い塊も見え、手持ちのバールを振り抜けば倒せると蓮次は考えた。少しずつ静かに近づき一足飛びで攻撃できる距離まで来て蓮次は深呼吸してバールを上段にかまえて飛び込み核に対してバールを振り下ろした。するとスライムは左右2つに分かれて蓮次の顔に飛びついた。
「マズい。このままだと終わる。」
なんとかして顔からスライムをはぎ取ろうとするが取れず呼吸ができずにもがく蓮次。このままだとやばいと周囲を見ると手に届く位置にスライムの核があった。ダメ元でつかんで引っこ抜こう