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(17)ルーナ



 突然の住居問題の出現に困惑した、翌日。

 一晩よく考えた私は、とりあえずできることから始めることにしました。



 今現在、私は個人財産は持っていませんから、自力で居住場所を入手することは無理です。

 なんらかの収入を得られればいいのですが、アルチーナ姉様がいつ身籠るかわからないとなると、私の将来性を期待するより、もっと現実的な道を探らなければなりません。


 と言うことでネイラに相談した上で、ルーナを呼び出してもらいました。




「また、奥様のお役にたてるのですねっ! 全力で頑張らせていただきますっ!」


 ルーナは今日も可愛らしくて元気いっぱいでした。

 どうやらネイラから頼みたい内容を聞いているようです。話が早くて助かりますが、この元気には気圧されます。

 それでも、なんとか平静を装うことができました。


「ありがとう、ルーナ。でも、そこまで頑張ってもらうような用事ではないから……」

「大丈夫です! ネイラさんから詳細は伺っていますよ! 王宮の軍本部で旦那様に関する情報収集をしてくるのですよね? お任せくださいっ!!」


 えっと。

 グロイン侯爵様にお手紙を送るために、正確な送り先を知りたいとか、そもそも手紙を送っていいのかとか、そういうことを軍部に問い合わせたいだけですよ?

 情報収集、と言うほどのものでしょうか。間違ってはいない気がしますが、そこまで大袈裟でもないような……。


「先日で軍本部にも伝手を作りましたから、必ず奥様のご期待に添えると思います!」

「そ、そう。頼もしいわ」


 私はお茶とお菓子をいただいただけで終わったのに。

 まだ若いのに、ルーナは実に有能です。

 気圧されながらも感心していると、ルーナがスッと真顔になりました。


「それで、奥様。今回の件は、どのレベルで情報管理をいたしましょうか?」


 ……なんですって?

 レベル? 管理? いったい何のことですか?


「奥様のお望みに応じて、接触相手の数や段階を選定します。正規の手順で問い合わせますと、接触人数がかなり増えてしまいますので……」


 つまり、いろいろ選べるくらいに伝手が各種ある、と言うことですか?

 なんだかすごいですね。すごすぎて私の理解の範囲を超えています。こう言う時は有能な人に丸投げするに限ります。アルチーナ姉様から教わりました。


「今回は、グロイン侯爵様にお手紙で伺いたいことがあるだけよ。だから、その辺りはルーナに任せるわ」

「かしこまりました!」


 ルーナはにっこりと笑い、元気いっぱいに頭を下げました。

 頼もしいですね。



 ……ほんの一瞬、予兆めいた不安がよぎりましたが、きっと気のせいでしょう。



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