第3話 今はあんまり外出たくないじゃん?
外出自粛のせいで運動不足なので、今日は異世界をふらっと散歩したいと思います。
(文章じゃなくリアルで歩きなさいよ)
もちろんセリーヌちゃんも一緒です。
「青葉殿、私を巻き込まないで頂きたい」
「え~、別にいいじゃん。セリーヌちゃんだって運動不足でしょ?」
「私は《唯一の観測者》。運動の必要は無い」
出ました、セリーヌちゃんの面倒くさがり。
でも作者にそんな言葉は通用しません。
一緒に散歩する話を書くと決まっているので、勝手に散歩に同行させます。
どうやらこの街は港町のようで、海には大きな帆船が停泊しております。
レンガ造りの倉庫は横浜や小樽を思わせる良い雰囲気です。
(せっかくの異世界なのに下位互換するな)
海沿いを歩くと潮風が心地よく、爽快な気分になれます。
セリーヌちゃんも段々と散歩が楽しくなってきたようです。
「適当なことを言わないでほしい。今の私に楽しいという感情は微塵もない」
「あれ~? おかしいな~? 何でキャラクターが作者の思い通りに動かないんだ~?」
「それはそういう筋書きだから。結局、私は青葉殿の手の平の上で転がされているだけ」
さすが唯一の観測者。全部お見通しってわけですね!
そんな会話をしているうちに、私たちは丘の上にやって参りました。
港の見える丘公園です。
(だから下位互換するな)
「良い景色だね~」
私はセリーヌちゃんに話しかけます。
「同意。歩いた甲斐があった」
これにはセリーヌちゃんも満足したみたいです。
いや、満足させました。
してもらわないと困るので。
「他人にコントロールされている感覚、非常に気分が悪い」
「セリーヌちゃん。世界には、知らない方がいいこともあるんだよ」
現実世界の私たちも、もしかしたら……。
信じるか信じないかはあなた次第だけど、くれぐれも余計な詮索はしないようにね!
青葉ちゃんとの約束だよ!