泡沫の夢に溺れる愛し子
初めてオリジナルのcocシナリオを書きました。至らぬ所が多数あるとは思いますがよろしくお願いします。おかしな点がございましたら修正致します。テストプレイもまだ済んでおりません。なので宜しければプレイしてみて、感想などお願いします。
1:はじめに
このシナリオは「クトゥルフの呼び声」に対応したものです。
シナリオの舞台はクローズドサークルとなったマンションなります。
時代、季節は自由に設定して構いません。
プレイヤーキャラクターは1〜4人くらいを推奨しますが、大人数でも問題なくプレイ出来ると思います。その際はプロローグ時の部屋の数を増やして下さい。
推奨技能は目星と説得です。余裕があれば精神分析、説得もあると楽かも知れません。
場合によっては戦闘が発生する為、血の気の多い方は戦闘技能を取っておくと良いと思います。
オリジナルの神性が出てくる場合があります。オリジナルが不快な方はプレイを推奨しません。
このシナリオには不愉快な表現、暴力的な表現が使用されています。苦手な方はプレイを控えることをオススメします。
場合によってはロストの危険性もありますのでご注意下さい。
2:あらすじ
今、街で噂になっている「夢落とし」という都市伝説。探索者はニュースや友人から話を聞いた。その夜、目を覚ますと気持ちの良い目覚めではあったが、何か様子がおかしいことに気付く。部屋を出てみるとそこは謎の白い空間が広がっていた。開いていない扉を開けるとどこかのマンションだった。外の風景は何か変で、風の音、鳥のさえずり、車や人の群れ・・・そのすべてがない。それはさながら「異空間」そのものだった。ニャルラトホテプの戯れに招かれてしまった探索者達。この世界から抜け出すことが出来るだろうか。
3:最初の部屋
探索者達が「夢落とし」というにわかに噂され始めた都市伝説を知った所から始まります。普通な日常を送っている中、いつものように心地よい眠りから覚めると見慣れた部屋に違和感を感じ部屋の外へ出ると汚れ、窓1つない真っ白な空間に出ます。探索者達が出てきた部屋は扉が閉まり次第消えます。この時点での探索者達は普段から所持している物、または、自室から持ってきた物、起きた時点での服装のみです。真っ白な空間は謎の光で部屋全体を照らしています。この部屋には扉が1つあり、その扉の上に時計の様な物があり、それ以外は扉を除き、ありません。その時計には数字はなく、本来12という数字が書かれてあった場所に「はじまり」と書かれており、3の部分には「やさしさ」と書いており、6の部分には「おしまい」と書かれている。針は長針の1本のみ。針は最初「はじまり」を指しており、30分程で「おしまい」に到達します。時間に関しては短くしても長くしても構いません。クリティカル報酬などで時間経過を加速しても構いません。1つの部屋をしっかり調べるのに5分かかるものとします。「おしまい」に到達すると、何処からともなく、除夜の鐘のような重低音が鳴り響き、最初の部屋の中心に1枚の紙と硝子で出来た頑丈な鍵が出現する。紙には「行き止まり、透き通る鍵が道を開く」と書かれている。最初の部屋を出ると外は見知らぬ住宅街で物音や人の気配すらない。空は雲で覆われ、今にも雨が降り出しそうな景色です。この光景を見てしまった探索者は異世界に来てしまったのだという実感が湧き上がり、不安と恐怖に襲われます。0/1d2の正気度ポイントを消失します。マンションの高さは10階程度のものだと見て理解できます。探索者達の場所は最上階になります。部屋は真っ白な部屋の扉を含めて10部屋あります。今居る階層と下の階に5つづつあり、真っ白な部屋から見て左右に2つづつ扉があります。どの扉にも表札や番号は割り振られていません。下の階へ行くには階段を使用します。しかし、更にその下に行くことは出来ません。行こうとすると何故か最上階へ昇っています。この奇妙な体験をした探索者、その光景を見てしまった探索者は0/1d2の正気度ポイントを消失します。10回以上降りようとすると、探索者達が行けない下の階からゾンビが1体出現します。探索者全員がどれかの扉に入ると少し時間を置いて(5分程度相当)ゾンビが消失します。11回目から再び下から出現する為、降りても得はありません。階層を増やして罠部屋や正気度ポイント回復部屋を追加しても問題ありません。
4:最上階1番奥の右の部屋
真っ白な部屋から出て右奥の扉で、開けると壁があるだけの場所。<聞き耳>ロールをしても壁越しに聞こえるものはありません。しかし、ここで硝子で出来た鍵をかざすことで壁が消失し、中に入れるようになる。同時に、硝子の鍵も消滅する。部屋の中は少し物が散らばっていて、広さは一畳分しかない。部屋の奥の机の前に男性が正座している。虚空を見つめ、微笑みを浮かべているだけで微動だにしない。<目星>ロール成功か机に対して調べる宣言で机の上にある男性の手帳を発見できます。男性に対して<精神分析>ロールを行っても得られるものはありません。この男性を人に化けたニャルラトホテプその人に置換しても構いません。ただし、男性と同様で行動も発言もしません。手帳の中身は日記です。男性の日記は10分程で読み切れるものです。荒々しい字で書き記されています。
〜3月2日、時間は分からん。携帯の電源がつかない。気が付いたらここに居た。この苛立ちと不安感をここに吐き出そうと思う。
3月3日、内心穏やかじゃなかったのもあるが、日記なんてもんをつけようなんて思う日が来るとは思わなかった。・・・何も無い。
3月ーーーもういい面倒だ。物事だけ書いていく。俺が最初に居た目が痛くなるくらい真っ白な部屋で時計を見つけた。ただ普通じゃない。数字がない、はじまりとやさしさとおしまいとだけ書いてある。・・・気味が悪い。とっとと帰って胸のでけぇ女でも抱きたいぜ
白い部屋にいつの間にか鍵と紙が置いてあった。誰が置いたんだ・・・?紙に書いてあることも訳わかんねぇし、どうしろっつーんだよ。下の階にも降りられねぇし、駆けて降りてみりゃ、死んだ人間が昇ってきやがるし・・・
人がいた!ガキだ!こいつもいつの間にかここに居たらしい。俺はもう1人じゃない。参考になるかは分かんねぇが俺達みたいにここに来ちまう奴がいるかも知んねぇからこの手帳を置いていく。今これを読んでる奴、俺に感謝しろ!咽び泣いて顔面グシャグシャにしながら賢人様ありがとうございます!って喚き散らしやがれ!折角だからこのガキと昔話でもしながら探索して、出れないよぉ〜ってわんわん泣いてるお前らを想像しながら一足お先に脱出よぉ!じゃあな馬鹿共、元の世界で会えたら土下座しな!〜
そのページから数枚捲ると、とても綺麗な字でこう書かれてあった。
〜私は貴方の心を傷付けてしまいました。こんな私を許してくださった親神様と彼には感謝してもしたりません。今はとても満ち足りています。あなたもこちらに来ませんか?親神様はすべてを受け入れてくださいます。いかがでしょう?○○○様〜
○の所にはこの日記を読んでいた人の名前が入ります。そして、唐突な名指しに背筋が凍った探索者は0/1d2の正気度ポイントを消失します。部屋には棚があり、その棚に<目星>ロールを成功させると、「土地神、親神様について 著者:猫が来たる鼠」という親神様について書かれた本を見つけることができます。(猫、来、鼠→ニャ、ル、ラット=ニャルラト)日記を読んだ人は棚に対して調べる宣言をするだけで見つけられます。内容は、小さな集落の土地神として崇められている親神様について、孤児や傷付いた子どもに寄り添う神であること、別名として父神様、母神様と呼ばれることもあるということ、稀に八尺様と同一視されることがあるということ、そして、親神様は反射する物を通してすべてを見ているということが書かれてある。それと、おまけと書かれたページには、親神様に会う方法などが書かれてある。
〜親神様に会うには、反射する物の前で邪心無く会いたいと願うだけで良い。邪心を持った者が愚かにも願うとその者は空間の狭間に放り出され、やがて親神様の眷属「愚かで滑稽な虚な者達」と成り果てる〜
と書かれてある。反射する物であれば目であっても構わない。
5:最初の部屋から右の部屋
扉を開けると鼻をつんざくような腐臭、光の無い暗闇になっている。部屋の中はゴミやゴミ袋が散乱しており、足の踏み場すらない。気分を害する光景、臭いに探索者達は精神を摩耗することだろう。0/1d2の正気度ポイントを消失する。<目星>ロールに成功すると、ゴミの中に埋もれた学校用品、そして顔が黒く塗り潰された3人の親子の写真立てを見つけることが出来る。
6:最初の部屋から左の部屋
空室。時間が経っているのか埃が舞っている。
7:最初の部屋から1番奥の左
窓も出入口もない学校の教室。<目星>ロール成功で1つの机の引き出しから1枚の紙がはみ出しているのが見える。その紙には「学校に来るな」「キモイ」「死ね」などの罵倒が書かれている。その机の椅子には白菊の華が一輪花瓶に入れられ置かれている。
8:下の階の階段のすぐ隣の部屋
階段は最上階の1番奥の右の部屋の隣。降りてすぐ近くの部屋がここです。ここの扉は接着されているかのようにドアノブすら回せません。扉のSTR50に対抗して勝てば破壊することが出来ます。扉を破壊すると、壁が見れます。勢いよく引っ張ったことで破壊した際に転んでしまうことでしょう。その際はPOW×5で<幸運>ロールをして後頭部が背後の壁にぶつからないことを祈りましょう。成功すると尻もちをつくだけで1d2のダメージ。失敗で1d4のダメージ。
9:貼り付いた扉の隣の部屋
男女の叫び声が聞こえる。<聞き耳>ロールに成功すると、少しだけ会話が聞こえる。
「嘘をついてまで父さんと母さんに迷惑をかけるのか!」
「どうして本当のことを正直に言ってくれないの?・・・あんたなんか産まなきゃよかった」
と聞こえるだろう。扉は鍵が閉まっており開かない。鍵穴が存在しない。ドアノブを回して音を出すと声が聞こえなくなる。
10:中央の部屋
扉を開けると人1人が何とか入れるほどの狭くとてつもなく長い空間が広がっている。<目星>ロールに成功することで部屋の最奥に佇む謎の黒い影を視認できるだろう。その人影はまるで顔がフードで隠れており、よく分からない。普通に視認出来る位置まで近付くと消える。
11:中央の隣の部屋
空室。ただ上の階と違い、段ボール詰めにされた荷物が大量に置かれてある。段ボールの中身は日用品や食器などで、特に目立ったものは無い。・・・大人用玩具も恐らくない。
12:1番奥の部屋
<聞き耳>ロールをし、成功すると、部屋の中からすすり泣く声が聞こえる。鍵がかかっているが、壊れかけているのか扉とのSTR5で対抗して勝てば難なく開くことが出来るでしょう。部屋に入ると今までの部屋とは違い、足を踏み入れれば気持ちが沈み、ここから動きたくないという気持ちに駆られるだろう。POW×5で対抗して勝てば減少なし。勝てなかった場合は、0/1d2の正気度ポイントを消失し、部屋から出るまで自発的な行動に移れない。部屋の中は破壊された家具が散らばっている。少年は探索者達に気付いていないのか泣き続けている。声をかけると酷く怯え許しを乞い始めるだろう。<説得>ロールか<精神分析>ロールに成功すると落ち着かせることが出来、共に行動できるようになる。RPによっては、ロールは必要としない。彼がこのシナリオのキーパーソンであり、探索者達の行動、RP次第で結末が変わる。彼の名前を聞くと誠一という偽名を教えてくれる。苗字を聞くと多度屋という偽名を教えてくれる。彼に過去の事、両親や学校、友達などのことを聞こうとすると酷く怯える。それでも無理に聞き出そうとすると、「何も知らないくせに僕に関わらないでよ!!」と叫び、それに呼応するようにどこからともなくニャルラトホテプが出現する。フードを被った人間形態の為、正気度ポイント消失なし。しかし、"遊び"でしかない為、ダメージボーナスはなく、呪文詠唱、回避はしない。攻撃してきた者に攻撃をするような行動を取り、攻撃しなければずっと様子見する。もし回避をしたい場合はニャルラトホテプの人間状態での能力値を参照してください。
ニャルラトホテプ
STR:12 DEX:12 INT:86
CON:19 POW:100 SIZ:11
HP:15 MP:100
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・武器
<こぶし/パンチ>50%
<キック>25%
ニャルラトホテプを倒すと強制的に戦闘が終了し、少年も含めて探索者全員が現実世界に戻される。その際、ニャルラトホテプが「はぁ・・・つまらないなぁ」と溜息混じりに愚痴を零す。そして、トゥルーエンドとなります。戦闘中に少年をRPによる説得、<説得>ロールを成功させることが出来たら、戦闘は終了し、ニャルラトホテプが姿を消します。少年に「帰りたい」と思わせると帰還することは出来ますが、トゥルーエンドとなります。その際にはニャルラトホテプから高笑いが聞けることでしょう。
「フハハハッ!そんな軽い気持ちで何事もなく生きていけるのなら夢に落ちることなんてなかったようにねぇ・・・」
ハッピーエンドに行くには、少年を反射する物の前に連れていき、共に親神様に会うこと。親神様に会い、少年を助けて欲しいなどのお願いをすることで少年は親神様の寵愛を受けることが出来るでしょう。親神様は向こう側が透けて見えるほどの透明度を誇る頑丈な硝子で出来た人型で、半透明な着物のような物を羽織っている。
「おいで、愛しの我が子」そう言って、傷付いた少年を親神様はそっと優しく抱きしめ、自分の愛し子を愛でるように頭を優しく撫でる。硝子の散りばめられたような空間から優しい光が差し込み、気付くと探索者達は無事元の世界に帰還していることでしょう。
13:結末
トゥルーエンドは探索者達は無事帰還を果たすことでしょう。そして後にとあるニュースを見聞きすることになります。中学生の男の子、桜華 修大君が自宅で首を吊って亡くなっている所が発見されたというもの。探索者達は少し気にはなるでしょうがすぐいつもの日常へと戻るでしょう。夢の中なのだから名前も声も顔も背丈も同じはずがない、けれど探索者達は彼の本当の名前も姿も知らないのだから。そして、ハッピーエンドは親神様の寵愛を受けて現実へと帰還します。彼は首を吊ることなく幸せに暮らすことでしょう。このエピローグは探索者達のエピローグが終わった後にお願いします。
「・・・目が覚めると僕はいつもの日に戻ってた。でも、少し違う所もあった。父さんや母さんや学校の人達が優しくなった、もう僕は誰にも虐められてないし両親から殴られることも罵声を浴びせられることもない、これも神様のお陰なのかな?・・・でも少し変な所があるんだ。家から帰ってくると両親が決まって言うんだ。おかえりなさい"愛しの我が子"って」
14:「夢落とし」はまだ続く
少年の悲しい結末は回避出来ましたが、「夢落とし」という都市伝説は何も解決していません。次は誰が邪神の玩具になるのか・・・。
この「夢落とし」はニャルラトホテプが暇潰しに放浪していた時に親神様を発見した事で始まります。小さな神格とはいえ、人に寄り添い共に生きている親神様に目をつけたニャルラトホテプは親神様に会いに行きます。「貴女の力をもっと拡げたくはありませんか?」と交渉を持ちかけようとしたところ、親神様に優しく抱きしめられてしまった。仮にも自分よりも上位存在を我が子と慈しむその姿に興味を持ち、「反射する物への干渉」という力を授け、あの空間へと連れてきた。「夢」というすべての人間の拠り所と「反射する物への干渉」という力が合わさり、彼女は今まで以上に人を愛することができるようになった。彼女がより人を愛す為に暇潰しも兼ねてニャルラトホテプが人を夢に落とすというのがこのシナリオの始まりです。なので、強大な力を持って、あのマンションを破壊、子どもへの危害を加えようとすると親神様が激怒して空間の狭間に引きずり込まれ、ロストとなってしまいます。人に対してとても友好的な存在であり、デメリットもSAN値チェックなく会えるという存在です。ただし、この夢落としで親神様に1度合わねばなりません。寵愛を受けるにも、邪心を持っていては会えないので一部の人には厳しい神様かも知れません。
一応、親神様のステータスや眷属のステータスなどは考えてはいます。呪文はまだ考え中ですが。