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坊やよゐこやねんねしな

今回は父の救出劇に巻き込まれた、さくま(仮名)君のパパさん(※現役忍者)の視点でお送りいたします。



 今、自分の身に一体何が起きているんだ……

 仕事柄、非現実的なことには耐性がある方だと思っていたんだが。

 だけどなんだろう、現在進行形で自分の身に起きていることが少々どころでなく信じ難い。

 ああ、そうだ。信じ難いんだ。

 現実を見据え、冷静に状況を分析できなくなった時が、この身の最期。

 その覚悟で、今まで生きてきたというのに。

 だと、いうのに。


 たった今、この身を襲う現実(・・)が受け止められない。

 こんなことは初めてだった。

 現実から逃避したいと、強く思うのも。


 信じられないだろう?

 信じられる訳がないだろう。


 龍の背に乗って、空を飛んでいます、なんて。


 自分の知っている現実は、一体どこに行ってしまったんだろうか……

 探しても探しても、見つけられない。

 ははははははは……星が綺麗だなぁ。

 眩しくなんて無い筈の星光が、何故か目に染みた。


 だがこの時、俺は知らなかった。

 十二分に非現実的な、この光景が。

 まだまだ……まだまだまだまだ序の口だったということを。

 俺を強引に得体のしれない生物(龍)の背に押し上げた、三倉さんちのお父さんが無慈悲に現実を破壊する、非常識すぎる存在なのだということを。


「ああ、ほら! 見えますか、さくま(仮名)君のお父さん! 人間の認識を阻害する障壁を突破したので、肉眼でも見えるでしょう!?」

「やめてください。ゆすらないで、やめてくだs……な、なんだあの円盤は!」

「空飛ぶ円盤ですよ!」

「見たままですね!?」

「あの中に……僕らの可愛い子供たちが! いるはず(・・)です!」

「………………つまり、あの円盤が元凶という訳ですか」


 龍の背なんて非現実的で度に描く信じられなくて、やたらめったらファンタジーな境遇に追いやられているのも、全て……すべて、あの円盤の仕業か!!

 そうと思い至った瞬間、俺の中から遠慮や油断と言った一切の甘さが消滅した。

 目の前に投下された、八つ当たりの矛s……いや、息子らを攫った犯人だというならば、八つ当たりでもなんでもないな。正当な報復対象だ!

 ままならない現実への苛立ちを込め、いつも以上に業が冴えても致し方のないこと。

 待っているが良い、朔之烝(※さくま(仮名)君の本名)……! 今、父が助けに行くからな!


 そして俺と、三倉さんちのお父さんは龍から飛び移るようにして謎の空飛ぶ円盤へと乗り込んだ。

 言葉の通じない、謎のイキモノや異質な機械群をボコりながら、我が子の姿を探す。

「あ……っ見つけた、昭君! さくま(仮名)君のお父さん、子供達がいましたよ!」

「本当にいたのか……いや、見つかって良かった!」

「ええ、なんか変な機械に繋がれて、武骨なカプセルに閉じ込められているようですけど……無事のようで」

「無事?」

「ええ、無事、生きているみたいで」

「あ、はい。そうですね、無事に生きている。それだけで十分だ。早くあの妙なカプセルから出してあげましょう。後はこの邪魔な隔壁さえ排除できれば……!」

「どいてください、さくま(仮名)君のお父さん。大陸の深山幽谷の地で世捨て人のご老人に教わった奥義を使ってみます」

「奥義……!?」

「喰らえ、花火の原料詰合せ……!!」

「って、それただの黒色火薬ぅ――!!」


 って、ちょっ!?

 いや待て何その量!!

 待て、待て待て待て待て!!

 まさかその量ぶちかますつもr……っあ。



 それは謎の空飛ぶ円盤が墜落して、死にそうな目に遭う5分前のことだった。



 とりあえず、俺が特殊職業故の特殊技能各種を会得していなければ、死んでいたんじゃないだろうか。




 

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― 新着の感想 ―
[一言] 花火の原料詰め合わせって、花火玉? だとしたら、何尺玉?
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