本になった
はやく……はやく冒険に出したい……しかし出会いのエピソードが浮かばない……と言うわけで今回も崩壊してます。
『……はっ、ここは!? 』
俺が目を覚ましたのは……薄暗い、何かの建物の中だった。とりあえず周囲を確認しようと、腕を動かすが……
『……腕が……動かない!? 』
俺の腕は動かなかった。それどころか、体全体が動かせなくなっていた。まばたきすらもできず……
『あれ、俺、どうやって目を覚ましたんだ? 』
ふと、1つの疑問が浮かび上がる。瞼が開いたまま動かせないのならば、なぜ俺は先程まで何も見られなかったのだろうか? ……答えは簡単。
『俺が気絶してたからですね……そうですよね……』
何もできない中、暇な時間が過ぎていく。……俺が、考えるのに飽きてきた頃。
突然、俺の体に衝撃が走る。
『うおぉ、なんだ!? 』
驚き、目をつぶろうとするがそもそも瞼が動かせない。衝撃の直後、俺の視界は百八十度回転し……
世界に、色が宿った。
『は……!? 』
古びた本棚に、埃を被った大量の本。
地面に横たわるのは、錆びた鞘に入った、圧倒的な存在感を放つ剣。
うっすらと光を帯びた、強そうな武器防具類の数々。
中二心かくすぐられる光景に、思わず涙を流しそうになる。
『何だよこれ、最高じゃねえか……! 』
しかし、いくら視界が変化したところで、動けなければどうしようもない。どうしたものか……と、悩む内に、あることに気付く。
『あれ、よく試してみたら、目だけは動かせるじゃん』
そう、上を向いたり、左右を見たりできたのだ。俺は、目力をフル活用して、自分の姿を見ることにした。
せめて、ましなものであってくれと祈りながら確認した俺の体は……
『おいおい、嘘だろ……』
思わず、"アクマ"を恨みたくなった。そう。俺の姿は……家で読んだ、"妖精の魔導書"そのものだったのだ。
だが、この場にいないものを恨んでも仕方がない。諦めて思考を切り替えようとしたとき……嫌なやつのことと共に、あることを思い出した。
"契約"
先程、俺と"アクマ"は、案外簡単に契約をしていた。それならば、もしかすると、今ここで、即席の契約を結べるのでは?
物は試しだとばかりに、契約の内容を考えてみる。……が。さすがにバランスを考えなければいけない、だとか、この効果はいらない、だとか、難しく考えてしまい……結局、契約の内容を纏められたのは、考えはじめてから大分時間が経った後だった。
『えっと……後は……本の本体である、"アクマ"に契約を持ちかければいいのかな? 』
内容が完成しても、何に対して持ちかければよいかがわからないので、とりあえず適当に言ってみる。中二的に言うのは忘れてはならない。
『我が自由を縛るものよ。"本体から十メートル以上離れられない代わりに自由に活動することのできる体を与えよ"』
改めて、これで本当に大丈夫かと不安になるが……まだ反応は無いため、しばらく待つことにする。
???『結局あのときの衝撃はなんだったのだろう……』
アクマ『それはともかく、まさかこんなにも早く契約に手を出すとはねぇ』
???『ああでもしないと動けねぇだろ』