魔導書の悪魔と不確定な契約
はい、他二作のように主人公がいつまでも停滞しているような状況を避けるために無理矢理進めました。
急いで書いたので色々と崩壊しています。
ヤバイです。
暗い空間。光の無い、完全な暗黒。その中で、俺は目を覚ました。
「ここは……俺は確か、本に吸い込まれて……」
『お目覚めかい、我が半身』
「おわあっ!? 」
唐突に響く声。低く重いそれに、ただ話しかけられただけにも関わらず恐怖を感じた。
『おっと、驚かせてすまない、私は"魔導書の悪魔"。呼び辛ければ"アクマ"とでも言えばいいぞ』
「今は呼び方は関係無いだろ……で、お前のことは置いておくとして、なぜ俺がここにいるんだ? 」
『そうだな、まずはその事から説明しようか。……まず始めに。私の呼び掛けに答えてくれてありがとう。礼を言わせてもらう』
唐突に感謝を述べてきた"アクマ"に動揺したが、すぐに先を促した。
『礼は後でいいか、そうか……では、説明を再開しよう。今回、君を呼んだのは、私が以前、とある"ニンゲン"とした"契約"を遂行するためだ』
「契約? 」
『ああ、契約だ。"封印を解く代わりに、その者が願いを叶えるまで守り続ける"という、不確かな内容の契約さ』
確かに不確かだが、それが俺とどう関係するのかがわからない。
『理解できない、といった風な表情だね……正直言って、君である必要はなかったんだよね』
「はあ!? 」
突然のカミングアウト。あまりに理不尽な言葉に、ただただ呆れた。
『さっき、契約を遂行するためと言ったよね? 残念なことに、今の私は力が残っていないんだ。そこで、君に、私の力が貯まるまで、代わりに契約者を守ってほしいんだ』
「おいおい……本当に俺じゃなくてもいいじゃないか……で、俺が、それをタダでやるとでも? 」
『もちろん対価は支払うさ。なにせ、今私が持ち掛けているのは契約だからね』
契約って……せめてそれ相応の対価が欲しいものだが……
『私が考える契約はこうだ。"アクマの契約者が願いを叶えるまで護衛に協力する代わりに、願いが叶った時点で魔導書の所有者になる"』
「は……!? お前、それってつまり、お前が消え去るってことだろ!? いいのか!? 」
『仕方無いさ。君を召喚しといて、役目が終わればはいさよなら、というわけにはいかないからね……どうする、受ける? 』
まだ事態が飲み込めていないが……少しでも早く、この"アクマ"から離れたかった俺は、
「わかった、その契約を受けよう」
ろくに考えず、すぐに了承してしまったのだ。