第2説 伝わる兵士
親父は勇敢だった。
誰よりも先に相手に突撃し、誰よりも国の事を考え、誰よりも敵国の兵士を殺した。
そんな親父は俺の憧れだった。小さい時からいじめを受けていた俺を鍛え直してくれて、今では立派な兵士となった。親父は病気には適わなかったが、最後まで国の為、そして俺の為に全てを尽くしてくれた。
俺は親父の後を継ぎ、兵士になった。誰よりも先に相手に突撃し、誰よりも国の事を考え、誰よりも敵国の兵士を殺している。
親父は勇敢だったが俺はそれ以上だと周りの奴らは褒めたたえてくれた。
今日帰ったら、俺の勇気ある行動を評してくれるらしい。そして……明日には昔から好きだった彼女と式を上げるつもりだ。これもすべて親父のおかげだ。
さぁ、後は帰るだけだ!俺は大きく1歩を踏み出し───────────
緑が咲き誇る森に白い少女は立っていた。目の前にある腕の無い死体を見下す様に見つめている。
白い少女は口を開き
「夢見る事は欲なのかな?……でも、幸せばかりだとつまらないよね」
白い少女は大きく1歩を踏み出し歩こうとうとする。ぐちゃっと音を鳴らして、何を目指すわけでもなく、ただ求めて歩いていった