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ルピタ冒険記  作者: 桜本 結芽
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第6章 横暴な街長

 〔ムーノラの街〕へ入った一行の第一印象は寂れた昏い場所だった。


 なぜかと言えば街の人々が皆疲れた表情に痩せこけた者が多かったからで、その光景に一番驚いていたユレイヤとラウスは目を見開き絶句していたため、プラシドが近くを通りかかった人に尋ねてみるとここ数年間というもの新たな長の圧政により食事をまともに取れず、それに加え毎日納めなければならない税が年々膨れ上がり生活もままならないためか街中で盗みや強盗が横行していくが、街長は何もしないうえに税を下げる事もしてくれないと言い、そして前の長は献身的で真摯に街の人々と言葉を交わしてくれていたのにと呟いて去って行き、その話を聞いた一行は呆然として言葉を失っているとルピタの表情が次第に怒りへと変わっていき歩き出したのでアーヴィンが、

 「お、おい、どこに行くんだよ? 宿はそっちじゃないぞ?」

 そう言うとルピタは振り向きもせず怒りがこもった声で、

 「街長さんに直談判してくる!」

 と言って走り出すのでアーヴィンとモーゼズはまたかというようにため息をつきルピタを追いかけると、残されたプラシド達もため息をついて3人を追いかけて行き街長の屋敷に着くと贅を尽くした部屋へ通された一行はソファーに座って待っていると、街長が遅れて入って来て全員が抱いた彼の第一印象は“太った人間”という最悪なものでそれに気付かずに長は手をもむ仕草をしながら、

 「いやぁ、エルフ殿が手前の街と交流がおありとは、いやはや……おいそれ致しました!」

 作り笑いでそう言うとスレイヤは満面の笑みを浮かべながら、

 「それほどではありません、かつてウッドナさん親子と共に旅をしてしばらく滞在していただけです」

 と言うと街長は困惑した面持ちでユレイヤを見ていたので長いため息をついた彼は、

 「やはり人間は僕達の事を知らないみたいですね……」

 そう呟くと街長を鋭い目で見据えながら、

 「あなたは存じ上げていないようですが、僕やラウスはこう見えて生まれてから100年以上経っているんです、なのでウッドナさんが前触れもなくこの世を去った事をファーナさんから聞いていて、その後彼女からの連絡が途切れた事に僕は疑問に思っていたんです、あなたは……何か隠していませんか?」

 と普段は見せない顔にアーヴィン達がたじろいでいると一番後ろに立っていたルピタが、

 「ユレイヤさん! そのウッドナさんて人はこの人と彼の仲間に毒を飲まされて、それと同じ毒を自分も飲まされたって彼女が……ファーナさんって人が言っています!!」

 そうルピタが大声で伝えると街長は怒りで顔を染めながら、

 「な、何を根拠に言っているんだ! 私は何もしていない、嘘を言うな小娘‼」

 と怒鳴り散らすがルピタも負けじと大きな声で、

 「だって彼女が言っているわ! 自分達は縛られて無理矢理毒を飲まされたって‼」

 人差し指で街長を差しながら言うと彼は怒りをむき出しにナイフ取り出し走ってルピタを刺そうとするが、プラシドが手を蹴り上げナイフを取り上げるとそのまま投げ飛ばし押さえ込むと、長は苦し気にプラシドを睨むがそれを無視してユレイヤが近付き、

 「どうしてウッドナさん達を殺したんですか? 街長として邪魔だったんですか……?」

 冷たい目線を街長に向けて言うと長は憎しみに満ちた顔でルピタを睨むと彼女は怯えてアーヴィンの後ろに隠れ、アーヴィンもルピタを守るように前へ出ると街長を睨みつけ観念した彼は舌打ちをした後ウッドナ親子の毒殺を認め、罪を償うと言うと約束してプラシドが彼を解放してから一行は安堵の息を吐き屋敷を出て街の人達に全て伝えると、彼等はやっと圧政から解放される事に泣いて喜び一行と握手を交わした後宿に無料で泊まらせてくれると言っていたので一行はその宿で一夜を過ごし、次の日の朝早く昨日の女性に起こされたルピタは急いで服を着て宿を出ると、散歩がてら歩いていると横に女性が並んで進みルピタに微笑みを向けると、

 (昨日はありがとう……私と父の敵を討ってくれて、本当に感謝しているわ)

 そう言ってからルピタをじっと見つめた後遠慮気味に、

 (間違っていたらごめんなさい、あなたはカネリアさんのご家族かしら? 顔立ちや髪の色がとても似ているわ)

 と言われたルピタは少し驚いた顔をしてから、

 「実は私、カネリア・ファームの孫でルピタ・ファームと言います、あなたはおばあちゃんを知っているんですか?」

 そう尋ねると女性の霊はとても嬉しそうに微笑みながら、

 (ええ、カネリアさんは私と父を助けてくれたの、ケイケナさん達と共に)

 と懐かしそうに空を見上げて言ってから、

 (カネリアさんやケイケナさんはお元気ですか? 旅が終わってエルフの街から戻った後しばらくして毒を飲まされてしまったから、あまり仲間の事を知らないの)

 そう言ってルピタを見つめるので彼女は少し迷ったが最終的に全てを話し自分が旅をしている理由も説明すると女性は顔を青ざめてから怒りの表情へと変えて大声で、

 (あの悪魔がまた種族を滅ぼそうとしているなんて……!)

 と憤慨しながら言っていたのでルピタが落ち着かせていると後ろからアーヴィンが呆れたような面持ちで近付きながら、

 「一人で何やってるんだ、なんか怪しすぎるぞ……? それにあんまり外で霊と話していると怪しまれるから控えろってあれだけ言ったのに……」

 そうルピタの前まで来ると微笑んでから頭を撫でると、

 「今話しているのは昨日の人か?」

 と尋ねるとルピタは頷いて先ほどまでの会話を説明するとアーヴィンは嬉しそうにしていたので、女性にアーヴィンとモーゼズの事を言うと彼女は感激したように、

 (そう……ユレイヤさんのお孫さんとドナーさんのひ孫さんなのね、良かった……皆さんが無事幸せになってくれていて)

 そう涙ぐんでいるとみるみる身体が透けて行ってルピタに礼を言うと光になって消えていき、その後宿に戻った2人は仲間に女性との会話を伝えると、ユレイヤが80年前に起きた事を話しそれを聞いたルピタは涙を流して女性が天で父親と幸せになるよう祈り、しばらくしてから支度済ませ悪魔を倒すため心を新たに街を出て生命の池へと歩き出した。

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