第2章 ムーノラの街でもう一人
《しんせいの森》で仲間になったルピタ、アーヴィン、プラシドの3人は森の中をひたすら歩き昼頃に森から出ると夕方にはムーノラの街へ着き、そこは相変わらずの人混みで、街で唯一の宿屋までの道のりを3人は息を切らせて歩きやっと着き中へ入ると、その街は相変わらずの人混みで宿屋へ行くため人をかき分けて歩いていたので付いたころには疲れ切っていたので、少し休憩してから宿に入りそれぞれの部屋を取ると一晩泊まり、翌朝食事を取った後生命の池へ行くため街を出ようと歩いていると後ろからルピタの名前を呼びながら走り寄ってくる人影に気付き振り向くと、目線の先には1人のドワーフがいて彼が息を切らせて前まで来ると、
「ルピタ久しぶりだな! 実はオイラも旅に行くようにドナーじぃに頼まれたんだよ、ルピタを助けてやってくれってさ!」
笑顔でそう言っていたがルピタはとても驚いたような表情で、
「モーゼズ! 話は分かったけど、どうして私達がこの街にいる事が分かったの⁈」
と大声で尋ねるとモーゼズは平然としたようすで、
「そりゃあ、リリアンばぁに聞いたからだよ、あの人はカネリアばぁと仲が良いからな」
そう言って背中に幾つも背負っていた長旅用の荷物を3人に手渡すと一番驚いていたのはプラシドで彼はモーゼズに、
「どうして私も一緒に旅へ出ると分かったんだい?」
と聞くと彼はまたも平然とした表情で、
「これもリリアンばぁが言ってたんだ、旅にはオイラを入れて4人行くから全員分の荷物を用意しとけってな、ちなみに代金はドナーじぃが出してくれたから気にすることないぜ!」
そう言ってニッと笑うと門の方へ歩き出すと振り返って呆然とする3人に、
「ほら、行くぞ! 一刻も早く生命の池を元に戻さねぇと本当に種族が全て滅んじまう!」
と言いながら肩で風を切るように歩くモーゼズの背中を見たルピタ達は苦笑しつつ後を追いかけ、4人はムーノラのマリを出て歩いて行きその日の夕方は野宿をするための焚き火をルピタが起こしている間に、アーヴィン達は夕食に食べる野ウサギを狩に行きしばらくして3人はウサギの耳を掴んで戻って来たので、早速さばいて肉にしスープに入れると煮込み夕食を取ると少し休憩をしてからプラシドが見張りをして3人は眠りにつき、次の日目覚めた3人は昨日の残りのスープを黙々と食べるた後支度をして歩き出そうとした時、老人が杖をつきながら険しい表情で近付いて来ると、
「お主ら、生命の池へ行くのなら気をつける事じゃ、あの池には悪魔が住んでおるから命が惜しけりゃ行かん事じゃ」
老人の唐突な忠告に驚愕の面持ちで見返していた4人だったがプラシドは老人の言葉に疑問が浮かび、
「ご老人はなぜ私達が生命の池へ行くことをご存じなのですか?」
そう尋ねると老人は独特な笑い声をあげた後、
「歳を取ればいろいろと分かるものじゃよ」
と言ってまた独特な声で軽快に笑うと見る間に老人の身体が透けていき、最後には完全に消えていったので4人は呆然としていると初めに我に返ったプラシドが、
「あの老人は一体何者だろう……」
そう言うと一番後ろで立っていたルピタが緊張した口調で、
「もしかして……」
と呟いたので全員が振り向くと彼女はドギマギとしながら、
「えっと……あのおじいさんが生命の池に住む精霊さんなのかなって思っただけなの、凄く強い魔力を感じたから……」
そう言って自信なさげに俯いていたのだがアーヴィンは瞳を輝かせながら、
「きっとそうだよ! あのじぃさんが生命の池に住む精霊なんだ!」
と言うとモーゼズも頷きながら、
「オイラもそう思う! 早くあのじぃを助けに行こう‼」
そう言って3人が意気込んでいるとプラシドが慌てながら、
「ちょっと待ってくれないか? 私達の相手は悪魔だというしあの老人も危険だと言っていたんだ、ここは何か作戦を立てて冷静に行った方がいいと思うんだ」
終始落ち着いた口調で言うとアーヴィンは少しイラついたように、
「でも早く行かないと種族が全て滅ぶかもしれないのに、そんな悠長な事は言えないよ」
そう食ってかかのだがプラシドは依然として冷静な口調で、
「それは確かにわかるよ、でも戦ったことのない悪魔をどうやって倒せばいい? 万が一私達が死んでしまえば生命の池も種族も助ける事は出来なくなると思う」
真剣な面落ちで言われたアーヴィンは言葉を失い黙っているとプラシドはさらに、
「私が提案するのはエルフ族にも手伝ってもらえるか尋ねてみる事、彼等は高等魔術を使えるしとても聡明だからなにか名案を思い付いてくれるかもしれない」
と微笑んで言うと鞄から地図を取り出して地面に広げると、
「まずは〔しっとの川〕を渡って《にくしみの森》を迂回して通り、次に〔しゅうちの川〕を渡って《あかりの森》へ入ろう」
そう指で地図をなぞりながら説明すると確認するように3人を見ると彼等は頷き、それを見たプラシドも安心して頷くと地図を鞄にしまってから立ち上がるとルピタ達も立ち上がり、4人は意気揚々とエルフの国へと歩いて行った。