第五話「黄巾の乱平定」
【前回までのあらすじ】
桃花達のもとへ現れた北郷一刀は、しばらく桃花達が身を置いていた公孫賛のもとにいた。
漢王朝が腐敗、黄巾の乱に突入したことで公孫賛のもとから独立し、桃花、愛紗、鈴々、朱里、雛里と共に義勇軍を作る。
兵糧問題を抱えながらも、華琳率いる曹操軍との共同戦線を張ったりして、何とか活動を続けることができた。
そして、首謀者である張角の居場所が判明し、華琳達は当然そちらに向かうだが、黄巾党の敗走兵が近くの村を襲撃すると知った一刀と桃花は、村の救援を優先する。
華琳達と別れ、疲れ果てている義勇軍を引き連れ村の救援へ。
そこで、先に賊と接触し戦闘している星と、愛紗の二人によって賊は退治された・・・。
救援した村の宿屋で、合流した桃花達と机を囲んでいた。
俺、桃花、愛紗の向かい側に座っているのは、三人の美少女。
ちなみに、鈴々はお疲れのようで熟睡。朱里と雛里は兵達をまとめ、村の人たちと交渉して兵糧集めに奮闘している。
星「お初お目にかかる。我が名は趙雲。以後、お見知りおきを」
桃花「私は劉備。劉玄徳だよ」
愛紗「趙雲殿には先ほど言ったが、我が名は関羽。字は雲長」
一刀「俺は北郷一刀です。それで、そちらの二人は・・・?」
風「風は程立なのですよ~」
稟「戯志才です」
この三人も、やはり三国志では有名な人物。
しかもお約束の美少女ときた。
星「・・・うむ」
一刀「な、何か?」
星「いやなに、関雲長にも申した通り、貴殿に少々興味が沸いたのでな。なるほど、顔はそこそこ」
愛紗「なっ! お前、ご主人様に失礼だろうっ!」
桃花「まぁまぁ、ご主人様がカッコイイのは変わらないんだから」
星「ふふっ。愛されておりますなぁ」
一刀「あ、あははは・・・」
風「ですが~、一途な女性に"ご主人様"と呼ばせるのは、変態性が垣間見えて───」
稟「ふ、風! ひとの趣味を変態などと言っては───」
一刀「趣味じゃないから! そこは勝手に決め付けないでー!」
まぁ、こんな感じで和気合い合いとした雰囲気で会話は続いた。
彼女ら三人は旅路での経験などを語り、特に桃花はそれを真剣に聞いていた。
たぶん、彼女の中の決意はさらに固まったと思う。
星「ほほう、貴殿が噂の"天の御使い"なのだな」
一刀「まぁ、そういう事だと思う。俺もいまいち実感が湧かないけど」
稟「しかし、にわかに信じがたい話ですね。その天の世界とは、今からずっと先の未来の世界なんて」
一刀「でもやっぱり、俺の知っている歴史とはズレているんだよな」
星「と言うと?」
一刀「うまく説明が出来ないけど、今言えることは、趙雲さん、程立ちゃん、戯志才さんは、この場面でしかも同時に劉備・・・桃花と会うなんて聞いたことがない」
風「風だけ"ちゃん"付けは引っかかりますがー、お兄さんの天の知識はあまり当てにならないということでしょうかー?」
一刀「そ、そうだな。ストレート過ぎてグサッてきたけど」
一同が「すとれーと?」と首を傾げる。英語なんて概念は、この世界にはない。
一刀「あっ、そうだ。三人に聞きたいことがあるんだけど」
稟「私達に分かることなら」
一刀「実は・・・」
星SIDE
私達三人は北郷殿と別れ、村の外で野宿する準備をしていた。
村の宿屋は義勇軍で埋まってしまったからだ。
風「星ちゃん」
星「ん? なんだ?」
風「あのお兄さん、本当に天の御使いなのでしょうか?」
星「さぁ・・・それは誰にも分からないさ。しかし」
稟「しかし?」
星「あの男の傍にいれば、何か分かるかもしれないな」
稟「・・・という事は、ここでお別れですか?」
星「ああ。私は明日、あの者達のもとへ行こうと思う」
風「そうですか。まぁ、これで星ちゃんの"メンマ集め"に付き合わなくて済みます」
稟「それはありますね」
星「何を言う。メンマこそ至高な食べ物。それを───」
風「あーはいはいー、おやすみなさーいー」
稟「おやすみなさい」
星「・・・まったく」
まぁ、これが私達らしいといえば、私達らしいな。
私も藁で出来た急造の敷物に寝そべり、身体に毛布をかける。
そこで私は、最後に北郷殿が言った質問を思い返していた。
一刀『俺みたいに、見慣れない服装したりとか、こう・・・この世界の住人とは違う感じの奴を見かけなかったか?』
脳裏によぎったのは、荒野で寝ていた謎の青年。
あの時の状況、服装を覚えていることを全て伝えたら、北郷殿は興奮して声を荒らげた。
一刀『・・・もしかしたら、御使いは俺以外にまだいる。しかも、その一人が曹操のもとにいる』
翌日、一刀のもとへ風と稟と別れた星が加わり、真名を交換した。
その間に、"曹操が張角を討ち取った"という情報が各地に回り、華琳には黄巾の乱を治めた功績により西園八校尉の一人に任命される。
桃花にも、平原の相という地位が授かれた。
一刀たちは、体制を立て直すためにも、再び公孫賛のもとへ帰還することになったところで、蜀章は完結する・・・。
白連「おい、ちょっと待て!! 私、名前だけで一度も登場してないじゃないか!! あと、せっかく真名があるのにそれすら使われないってどういう───ちょっと、本当に終わるのか!? 待ってくれ、私はまd
次回は、魏サイドの黄巾の乱までです