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真・恋姫†無双~三人の御使い~  作者: 泣き虫
蜀編
4/35

第三話「全て綺麗事だけでは済まされない」

短めです

華琳「・・・それで? 兵糧を分けてほしい、と?」


一刀「あ、ああ。虫がいいのは分かっているが、この通りだ」


頭を下げる相手は、魏の曹操・・・なのだが、想像していた人物像とはだいぶかけ離れていた。

天幕の中央にある椅子に、足を組んで座っているのは、中学生ぐらいの風貌の少女だった。

その両脇に控えている美女は、夏侯惇と夏侯淵と説明を受けたから、少女が曹操なのは違いないだろう。


一刀「勿論、ただって訳じゃない。取引だ」


春蘭「貴様! 華琳様にその言い草は失礼だろっ!」


華琳「春蘭! 控えなさい・・・それで取引の内容は?」


たった一言で家臣を黙らせる圧力は、見た目とギャップがある。

これがこの世界の曹孟徳・・・いずれ桃花が倒さなければならない敵。


一刀「働かず者食うべなからず・・・こちら側は"戦力"を提供する」


春蘭「はぁ!? たかが、平民の寄せ集めが華琳様の"戦力"になるだと!?」


言い方は刺があるものの、夏侯惇が言うのはもっとも。

ここで反発したのは桃花だった。


桃花「そんなことはありません! みんな、世の中を平和にするために集まってくれた仲間です! そんな言い方───」


桃花の言うことももっとも。

だが、俺は夏侯惇に肩を持つことにする。怒る桃花を手で静止させた。


一刀「そちらの言い分通り、戦力としては言えない烏合の衆って言われても反論は出来ない」


桃花「ご主人様っ!? 何を言って───」


朱里「桃花様・・・」


今度は、横に控えていた朱里が袖を引っ張って止めさせる。

朱里は俺が話を進めるため、思ってもいないことを言っているのに気づいているが、桃花には分かっていないようだ。

まぁ、例え嘘でも言って欲しくないことは誰にだってあるからな。


一刀「だが、こっちには最強の猛者が二人いる。俺が知っている曹操さんは、他人の才を見抜く力があるはずだ」


華琳「私を試そうとしてるの? 生意気ね」


春蘭「華琳様、この無礼者を斬る許可を!」


華琳「控えなさいと言ったでしょ」


春蘭「しかしっ!」


華琳「秋蘭」


秋蘭「ハッ。姉者、少し頭を冷やしに行くぞ」


夏侯淵が夏侯惇を天幕から連れ出す。

俺の横を通り過ぎる際、夏侯惇の殺意がチクチクと刺さったが、気丈に振舞った。


華琳「・・・その二人を連れてきなさい。もし、私の目に叶わなかった時───」


その時、曹操は不敵な笑みを浮かべ、


華琳「その後ろの二人の首を落とすわ。それでいい?」


俺ではなく、桃花と朱里。

他人の命を俺の判断で天秤にかけろ、という心理的攻撃。

だが俺は、間髪入れずに───


一刀「ああ、構わない」


華琳「では連れてきなさい。今のうちに、そこの二人と悔恨を残さぬように」


一刀「じゃあ、連れてくる」


俺は二人を従えて天幕を出た。

瞬間、桃花が俺に掴みかかってきた。


桃花「何であんなことを言うの!? みんなを・・・みんなをそんな風に思ってただなんて、私・・・」


朱里「桃花様、それは違います」


桃花「え・・・?」


朱里「話を円滑にするためには、仕方が無かったことなんです。ご主人様がとった言動は、確かに義勇軍の人達の努力を否定するものでしたが、彼らが兵糧を得るためにご主人様は嘘を言ったんです」


桃花「だ、だけど・・・それでも」


一刀「悪い、桃花。言って欲しくなかったって気持ちは分かる。だけど、今は目の前の問題を片付けないといけないんだ。桃花達が望む平和な世界を作るためにも」


桃花「・・・」


一刀「分かってくれ」


桃花「・・・うん。私もちょっと血が上っちゃって、冷静じゃなかった。ゴメンね」


一刀「とりあえず、愛紗と鈴々を曹操のところに連れて行こう。たぶん大丈夫だと思うけど」


桃花「そうだよね! 愛紗ちゃんと鈴々ちゃん強いもん。絶対認められるよね!」


誤解も解け、いつもの桃花に戻ってくれた。

俺はもちろん、朱里も安心したように微笑んで、愛紗達のもとへ戻った。

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