降り立つ流星
黄巾の乱が起きるひと月前。太陽の明かりにも負けない輝く流星が落ちた。
その数は、三つ。
小さな集落の周辺にて・・・。
「愛紗ちゃん、鈴々ちゃん! 早く早くー!」
「お待ちください、桃花様! まだ明るいというのに、流星が落ちてきたのですか?」
「そうなのだ! 鈴々にだって、信じられないのだ」
「え~、絶対落ちたもん。ほら、管輅ちゃんの占いで「天の御使い」の話があったでしょ! きっとそれだよ!」
「あのエセ占い師ですか・・・」
「ほらほら! あの山の向こうまで行けば、分かるんだから!」
「と、桃花様! だからお待ちください!」
「行っちゃったのだ・・・」
「はぁー、まったく。行くぞ、鈴々。朱里達と早く合流しなければならないからな」
「おうなのだ!」
20名程度で横断する軍勢先頭・・・。
「華琳さまぁ、本当に流星なんて見えたんですか?」
「ちょっと春蘭! 華琳さまが嘘をついていると思っているわけ!?」
「そ、そんな事があるわけないだろう!」
「だって華琳さまの言ったことに疑問を持ってるわけでしょ?」
「うっ・・・か、華琳さま~!」
「その辺りにしておきなさい、桂花」
「しかし、華琳さま! この脳筋馬鹿は、華琳さまの言ったことを───」
「安心しなさい。春蘭にはそれ相応の"おしおき"をしてあげるから」
「か、華琳さまぁ~・・・」←嬉しそうに
「なっ!? か、華琳さま! 実は私も、こんなに日が昇る時間に流星が降ることに、疑問を感じていました!」
「あらそう。なら、桂花にも"おしおき"が必要ね。今夜、二人とも閨に来なさい」
「「はいっ! 華琳さま!」」
(城で待機している秋蘭も誘おうかしら。ふふふっ、久しぶりに愉快な夜になりそうね)
荒野に馬にまたがる美女が二名・・・
「ふむ、春間近というのに暑いのう」
「気候が狂っているのかもね。まるで今の世の中みたい」
「いまの朝廷にいる輩は皆、自分の利のみしか考えぬ腐った者のみよ。昔から変わらんのは、酒の旨みのみよ」
「視察も終わったし、一杯やっちゃう?」
「おー名案じゃの、策殿。では、早めに戻ると───むっ?」
「祭?」
「策殿。太陽は今、儂らの頭上にあるはずじゃな?」
「ええ、鬱陶しいぐらいに」
「ならば、目の前で光る"あれ"は何じゃ?」
「え?・・・そっか。ついにお迎えが来たのね。今までありがとね、祭」
「待て! 勝手に話を広げるんでない! しかも、近づいてきてはいないか?」
「ちょ、ちょっとまって! 私はまだ若いわよ!」
「その話から離れよ! ともかく逃げるぞ!」
こうして三つの流星は、"戦乱の世に降り立った"。
北郷一刀。
東圭吾。
南条薫。
以上、三名の御使いが外史の始まりを告げる。
東 圭吾
・・・身長は一刀より少し低い。金髪。吊り目
南条 薫
・・・一刀、圭吾よりも低い身長(165cm)。肩甲骨まである黒髪でサラサラ。中性的な顔立ち、童顔。