二人目
后遠寺明名
誕生日
7月26日 現在(当時)17歳
身長 161cm
体重 ???
特徴
ややオカッパに近い肩までの黒髪ショート。目つきは鋭い。
かなりのお金持ちで、口調もお嬢様。校内でも人気だった。5月20日にあった突然の空襲の際、能力を持つようになる。ツンデレっぽい…。
“触点”
日記に触れた者(30分以内)の身体に異常をきたせる力。種類は豊富。適合者との絆が深まるたび、増えていく。
「あの時…この日記が無かったら、私はここにいなかった…」
「ヨネばぁのとこで買っておいて、正解だったね」
「ええ、いつも口からデマカセを言う涼輔らしいわ」
そうして、二人は会話を弾ませながら、楽しく家路に戻った。
―――――――――――
<都築家-実家>
「まぁ!」
「ということで、もしよろしければ、申し訳ありませんが私に寝床を貸して頂けないでしょうか?」
早速知鶴は昂介の実家に帰り、明名を居候させてもらうよう交渉していた。
もちろん、当人の昂介は未だ不在中である。
「もちろんよ!家には父さんと二人っきりだから寂しかったのよ。家族が増えたみたいで嬉しいわ。えーと…部屋は…」
「あ、知鶴と一緒の部屋でお願いします」
「あらそう?助かるわー。じゃあよろしく…」
ガタン!
突然、ドアが力強く蹴り開けられた。そして、数人の黒ずくめの男が現れた。
「一条知鶴、后遠時明名。共に二名確認」
「目的は二人と二冊の日記だ。部外者には手を出すな!」
いきなりの波乱の状況に、昂介の母親は目を丸くしていた。
「なっ、何なのぉ〜!?」
「I/Oのヤツら!」
「性懲りもなく追ってきたのね!」
知鶴は日記を取りだし、前に突きだし構えたが、明名にその手は下ろされた。
「これが欲しいんでしょ?差し上げるから、一先ず今日は引き上げてくれないかしら?」
そういって、明名は自分のノートを取りだし、男たちに差し出した。それを見た知鶴は、開いた口が塞がらなかった。
「あっ…明名!?」
「……よし。そこに置いて下がれ…」
「…………」
「え?え?え?」
パサッ。
床にノートを置き、それを静かに男が拾った。
「ちょ…何考えてるのよ!?」「今ここで騒ぎを起こすことはないわ…それに…まだあなたのが残ってる…」
「よし。一度退却するぞ」
「?…し、しかし…もう一冊は…?」
「ボスの望みは日記を手に入れること。取り敢えずここはボスに日記を渡すことが最優先だ」
数人が渋々従い、男たちは退いて行った。
しかしその隙を、明名は見逃さなかった。小声で呟いた。
「触点…痺点…」
パチンッ。
軽く指を弾き鳴らせ、男はガクンと足を落とした。
「うおっ!?」
すかさず日記を取り返し、素早いみのこなしで他の男たちを日記で軽く叩く。
「こっ、コイツ!」
「痺点…」
「ぐあっ!」
三人いた男たちも、手足が痙攣しだした。バタッと床に倒れる。
「知鶴、今よ!」
「はいよっ!手錠!」
知鶴は“想造”で手錠を生み出した。
カシャン。
「うう…」
「くそ…ボスにどやされる…」「ハッハッハッ、作戦勝ちだね!」
「浮かれてないで、サッサと連れてくわよ」
「…はーい。じゃあお母さん、ちょっと行ってきます」
「い、行ってらっしゃい…」
男たちは反撃しようにも、手足が痺れて物を握る力も残っていなかった。
―――――――――
「びっくりしたー。明名ったら急に諦めるんだもん…」
「大切な日記を、そう簡単に渡すワケないでしょう?」
「明名の能力って、何?」
帰り道に、黒ずくめの男たちを交番に届け、あとは警察に任せることにした。
「日記に触れた相手に異常をきたせる力。“触点”。まだ身体を痺れさせる痺点しかないけど」
「あ、危なくない?」
先ほど黒ずくめの男たちが日記に触れた後、痺点を食らって身動きがとれなかったのを、知鶴は思い出した。
「あなたは、“想造”かしら?」
「えっ?よく分かったね?」
教えてもないハズの自分の能力を見抜かれ、知鶴は驚いた。
「あなたがあの状況で、都合良く手錠を持ちあわせてるハズがないでしょう?」
もっともらしい理由だが、何故だか知鶴には嫌味に聞こえた。
「明名もI/Oのヤツラに追われてたんだ…」
「そうでもなきゃ、日記にこんな能力があるなんて、知らなかったわ」
夜の帰り道、自分と同じ人間が他にもいたことに、知鶴はかすかに感動していた。
そして、昂介のいない昂介の実家へ真っ直ぐ帰った。