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縁の旅人  作者: ネギ田。
27/32

続・異例

長い間更新できず申し訳ありませんでした><

少々文章んどで詰まってしまいました^^;

今後はキチンと期限を決めそれまでに更新できるよう努力致します。

着いた先は、商店街だった。見慣れた服装をした人々が商店街に賑わっていた。これは…現在の中瀬通りか。


「一体…ここは…?」


現場慣れしている僕とは対に、一緒に飛んできた神木さんは周りの風景に呆然としていた。


「60年後の北中瀬(きたなかせ)ですよ。今は中瀬って呼ばれてます。俺たちはあの時からタイムスリップしてきたんですよ」


でも、そうなるとここはいつの日の中瀬なんだ?建物の変化もそんなに変わったところはないし、最近なのかな。

携帯を開いて見ても、時刻は俺たちが存在するはずの時間を示していた。


「ここが、あの北中瀬かい?」


神木さんは辺りを見ながら目を丸くしていた。驚くのも無理はない。神木さんの時代から60年も過ぎてるんだ。人通りも変わり、建物も風景もまるっきり変わってしまっている。


「そうなりますね」


「時代の流れとはすごいんだね。なんとなく面影が残っているようだけど、建物はガラリと変わってしまっている。まるで別の街に来たようだ」


その表情は表面上…微笑んでいたが、どこか寂しそうに見えた。


「あれ?昂介じゃないか?」


不意に聞こえた聞き覚えのある声に、今回は体を強ばらせた。


「本当だ。おーい昂介ぇ!」


どうやら、近くに二人顔見知りがいるようだ。

恐る恐る振り返ると、見覚えのある男女二人が目についた。もちろん深空と翔一その人だった。


「よ…よぉ」


よりによって、今一番会いたくない奴らに会ってしまった。

うなだれていると、翔一の方が声を掛けてきた。


「昂介は一人?こんなとこで何してるの?」


「は?一人…?」


神木さんは?と声を出さずに辺りを見回すが、いつの間にか神木さんの姿が見えない。どこ行ったんだ?


「昂介、どうかしたのか?」


誰もいない辺りを見回していた僕を見て、深空が声をかけてきた。


「あ、いや…」


きっと、この時はまだ知鶴さん達に出会っていない頃だ。この時は本当なら、この後ショカンで鉢合わせになる筈だった。


「僕たちこれからショカン行くんだけど、昂介もどう?」


案の定、翔一が誘いの言葉を発した。しかしこのまま同席することも出来ない。突然姿を消した神木さんを探さないと。


「あー…いや、これから用事があるから…また今度な」


苦笑を浮かべながら口実を並べる。とりあえずはこの場から去らないとと、二人を後にした。









「どこ行ったんだろう…」


深空達と別れてから30分弱、周辺を探して回っているが、神木さんの姿が一向に見当たらない。一体どこに行ったんだろう。知らない土地だから、そう遠くへはうろついてないハズだけど…


「なんで…ここに来たんだ?」


気が付くと、いつか来た商店街のはずれにある小さな神社。

いるはずもない場所に、僕は足を踏み入れていた。


「そういえば、知鶴さんと出会ったのも…ここだったよな」


正確には、目の前の竹林を抜けた先にある、祠で出会った。

何処からか不思議な声がして、気が付いた時には、自分の部屋で寝ていた。

あれから、この不思議な現象に慣れてきた自分はどうなんだろうと…近々思うようになっていた。


「お、昂介じゃないか」


その声は、神社の裏側からひょこっと顔を出した青年のものだった。見覚えのある銀髪、この人…人に迷惑かけといて…。


「いつからそこにいたんですか?」


ため息を一つつくと、神木さんは思い出すように空を見上げた。


「いつだろう?随分前からいたよ。キミと話していて、ふと気が付いたら、ここにいたんだ」


周りを不思議そうに眺めながら、神木さんはそう言った。

嘘をついている…わけでもなさそうだし、一体神木さんに何があったのかな。


「それよりさ」


神木さんが振り向くと、僕に向かって爽やかに微笑んだ。


「いいよねここ。緑に囲まれてて、空気が澄んでる。あれから随分の時を経ているのに、緑もそのまま、あの時と変わってない」


懐かしむように辺りを見渡す。うっとしいほど鬱蒼と生い茂る木々も、そう言われてみると素晴らしいものに見えてくる。


「ここに来たことがあるんですか?」


「ん?ああ、一度・・・ね。風の噂を聞いて」


「そういえばさっき、気付いたらここにいたって言ってましたよね?」


「ああ。着いて少し街を眺めていて…そしたらいつの間にかここにいたんだ。その場から一歩も動いていないはずなのに…」


自分の身に何が起こったのか理解出来ていないのか、神木さんは頭を掻きながら苦笑していた。

一歩も動かずにこんな遠くまでって…テレポーテーション?瞬間移動とかの類いなのか?もしかして…それが神木さんの能力なのか?

神木さんの方をじっと見据えた。


「?」


でも、そうなると神木さんは時の旅人。そして僕は、その適合者となる。それって…。


「あ…」


時間はとうに過ぎていた。開いた手のひらから霧が、時間がきていることを知らせていた。もう戻らないと。


「神木さん、とりあえず知鶴さんのもとに戻りましょう。それからみんなに報告したり…とにかく行きますよ!」


神木さんの返事も聞く暇もなく有無を言わさず手を掴み、その場を走った。








「てれぽーてーしょん?」


ひとまず、知鶴さんを置き去りにした時代に飛んできてから、なんとか現代へと戻り、僕の部屋で落ち着いた。とりあえず今の時点で分かっていることだけを知鶴さんに説明したが、なんとも言わず、ただ難しい顔をしていた。


「聞いたことあるような…無いような…どこの国の言葉だい?」


横文字に慣れていないのか、ひらがなでも漢字でもない言葉を発すると、二人とも首を傾げ目が点となっていた。


「あ…え〜と…別の言い方をすると、瞬間移動ってやつなんですが…」


「あ!分かるよ私!こう…シューン、パッ!て消えて違うトコから現れるんだよね?」


身振り手振りと説明するように部屋をパタパタを駆け回る。まるで子供のように振る舞う知鶴さんは、この事態をちゃんと重く考えているのかと不安になってくる。いや、あえて明るく振る舞っているのかもしれない。


「でも、まだその力があるかも分かんないよ?気が付いたら…みたいなだったし、感覚がないんだ」


「俺も…神木さんにその話を聞いてそれかなって思っただけですから…なんとも」


「うーん…それよりも私…涼輔と昂介くんが通じたってのが、一番不思議なんなんだけど…」


首を傾げた知鶴さんが、気になることを口にした。


「それはどういうことですか?」


「うん。実はね…昂介くんには以前少し話したと思うんだけど、私たちは過去に飛べる代わりに、いくつかルールがあるんだ。例えば、飛んだ過去には長い時間いられないとか、一度行った日付には二度も行けないとか…他にも色々あるんだけど」


その辺のルールは確かに以前聞いたな。知鶴さんたちの体は半分死んでいる状態だとか、その他諸々…。


「それでね…そのルールの中に、“一度通じた適合者は、他の時の旅人と通じることは出来ない”って決まりがあるんだけど…」


「ふむふむ…って…ちょっと待ってください!…一度通じた適合者は…?」


「他の旅人と通じることは出来ない。だから、コウちゃんが涼輔と飛べるのはおかしいんだよ」


どういうことだ?そのルールが本当なら、何故僕は神木さんと飛べたんだ?疑問は募るばかり…。ふと神木さんを見ると。


「ふーん」


と、まるで自分とは関係ないとでもいうように話にひどく無関心のようだった。それよりも僕の部屋を珍しそうに見渡している。


「ところでさ」


いきなり神木さんがこちらにむき直したので、僕は無意識に体を強ばらせた。


「今の知鶴の話からするとさ、俺もその、時の旅人ってことになるかい?現代の人間と過去へ飛べるっていう…」


「コウちゃんと飛んだんだもん…間違いと思う。でも…どうしてだろう?」


それを聞くと、神木さんは白銀の髪をかき分け一つため息をついた。


「そうなると、俺は俺のいた時間に戻るってのはマズいのかな?」


「…残念だけど…一度いた、行った時間には戻れないの。その時間には既にその時の私たちがいるから…。その時間の私と会えば、歴史もまるっきり変わってしまうし…会った私たちの存在も消えてしまう」


結果、神木さんはもとにいた時代には戻れない。となると、これからどうするのだろう。住むところとか、色々…。僕の部屋もダメな訳じゃないけど、色々あるんだ。


「一度、みんなにも相談してみましょうよ。このままじゃ始まらないし、それにあいつらだってまたいつ来るか分からないし」


「そうだね。それじゃ、みんなでショカンに集合だね」


思い立った僕たちは立ち上がり、すぐさま支度を始めた。

その時、頓狂な声を上げたのは、神木さんだった。


「しょかん?」


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