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縁の旅人  作者: ネギ田。
18/32

横浜

ナレーションは昂介視点と第三者で流していきます。

<神奈川県横浜市>


「て…ここ何処ですか…?」


見慣れない土地に、目を丸くした翔一。


「え?…何処って、横浜だよ。横浜大空襲に遭った」


「横…浜…?」


「詳しく言えば1945年5月29日の昼方、磯子区から鶴見区までの沿岸部、及び中区、西区の中心市街地を爆撃機と戦闘機が襲撃された土地」


「…………」


何気に詳しくしかも説明的(憎しみ込めて)な明名さんに、一同は(俺を除いて)しばし呆れていた。しかし…


「昼?空襲って普通は夜にあるもんじゃないんですか?」


「横浜の地形は複雑だから、空襲は目視できるよう昼間に行われたのよ」


「へぇ…」


二人も納得する。今を見ると、想像も出来ない。こんなに町並みが綺麗な所が、昔醜いほど崩れていたなんて…。


「ここにいるんですか?知鶴さんたちと同じ人が」


「うん。でもまだ確定はしてないけどね」


「心当たりがあるだけ、それに賭けましょう」


「そうですね」


「その前に!」


深空がにんまりと笑って、


「横浜と言ったら…」


「???」


「そういや腹減ったな」


知鶴さんと明名さんは首を傾げていた。


<横浜中華街>


「わぁ…」


「懐かしいわね」


やっぱり知ってるんだな…。当時のここも、結構有名だったって言うし…。


「でも…ここは一度関東大震災で崩れて、再建されたのよね…」


そうだ…。確か知鶴さん達が生まれる前、大規模な被害を起こした地震…関東大震災があって、横浜もかなりの打撃を受けたんだっけ…。

これは確か再建された建物だったような…。


「そんな事より、さっさと行くぞ!さっきから腹の虫が鳴ってしょうがないんだ!」


さっきから興奮が止まらない深空。よっぽど腹が減ってんだな…。


「そ…そんな事より…ですって…?」

さりげに言った深空の「そんな事より」がかなり気に食わなかったようだ。明名さんが小刻みに震えている。


「実は私…来るの初めてなんだ〜」


初横浜の知鶴さんは、なんだかそわそわしている。


「中華街といったら中華まんですよ知鶴さん!」


「えっ?それってなに?」


「ほらっ、早速行きましょう!」


「うん!」


「あなたたち!ここに来た目的を…」


明名さんが注意した時には、既に人込みに紛れていた。


「まぁ…とりあえず今は楽しみましょうよ…」


「昔からいい加減な所と人の話を聞かない…」


愚痴を呟きながらも、俺らは人込みに紛れて行った。















「ん〜、このチーズまんおいしー!」


「知鶴さーん!試食でミニラーメン貰いましたよ〜」


いつになくハイテンションな深空と知鶴さん。(特に深空)加えて「どうしてこうなのかしら…」と愚痴を零しながらも横浜を満喫している明名さん。

翔一はというと、


「う〜ん…いないなぁ…」


あちこちをキョロキョロと見回している。変態に思われるぞ…?


「何やってんだ翔一」


「ん〜?知鶴さんみたいな人がいないかな〜って…」


そう簡単にぞろぞろいてたまるかってんだ。

てか、もしいたとしてもお前と通じるかどうか解らないのに…。


……こんなことなら、知依奈も連れていってやればよかったな。喜んだろうし…。


「あれ?もしかして都築くん?」


どこからか、聞き覚えのある声が聞こえた。振り向くと、


髪を一束に結んだ…。


「室井…さん?」


「おー偶然だなぁ。遊びにきたのか?」


まさか…こんなとこで知り合いに会うとは思わなかった…。


「ええまあ…室井さんも?」


「ん?いや、今日はちょっとな…。おっと、こんなことしてる暇はないな。じゃ」


そう言うと、室井さんはせわしく消えていった。

何の用なんだろ…?


「おい昂介っ!この中華まんうまいぞ!早く来い!」


深空が遠くから手招きしている。てかいつまで食ってんだよ…。


ここに来た目的をすっかり忘れ、遊び更けていた俺達であった。








影で昂介たちを見ていた男が、懐からトランシーバーを取り出した。


「No.3…例の五人組を発見しました」


シーバーの向こうから、若々しい男の声が聞こえた。


『わかった…その場にいろ。直ぐに向かう』


「了解」


男はシーバーをしまい、再び監視を始めた…。

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