表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縁の旅人  作者: ネギ田。
17/32

言葉

―想い続けていれば、願いはきっと叶うものよ…。―



あの日…知佐人がいなくなったあの日から…おまじないのようにその言葉が繰り返される。

みんなが忘れかけてた頃からも…ずっと…。


知佐人…お前は一体…どこにいるんだ…?



<講義室>


暑い季節がやってきた。

知鶴さんたちが来てから毎日実感の湧かない日々だったが、夏が近づいてくるにつれて、こうして僕は平凡な大学生なのだと、いまさら実感が湧いた。


「…と、この公式はなるわけだ。それではここを都築、前に出てこの公式の使い方を説明してくれ」


「はい」


いつも通り指名が来て、いつも通りに前に出て説明し、みんなから軽い喝采を浴びる。

久々なので、悪いとは感じない。ただ、やはりなんか寂しい感じになる。


やっぱり…何か起きないとな……世の中は。


<食堂>



「ええ〜!?それってすごくないですかぁ?」


「そうでしょ?そこで昂介くんがね…」


見ると、明らかに高校の制服姿をした二人が同じ食台で話し込んでいた。

知鶴さんと、知依奈…?

アイツら、いつからあんなに仲良しになったんだ…?


「あ、昂介くん」


「コウ先輩!今日は長かったですね!」


そんなことより、お前ら高校生のクセに大学まで来るなよ…。特に用も無いのに。


「あれ?明名さんは?」


「明名ならショカンに居るよ。マスター達出掛けてて店番頼まれたんだって」


あなたはそれが嫌で抜け出してきたわけか。


「授業はもう終わったの?」


「今日は昼までらしいですよ。もうじき深空たちも来ると思います」


「えー!?じゃあ今日はちぃとデートしてください!」


「そんなヒマはねぇ!」


ただでさえ知鶴さんが現れて忙しいのに、知依奈の世話なんかしてられるか!


「なんだ。昂介のほうが先に終わったのか…て、知依奈に知鶴さん?」


「お久ですー!ソラ先輩にショウ先輩!」


元気よく挨拶をした知依奈に、冷静に応える深空と、翔一は頬を赤くしていた。


「そっちは長かったみたいだな」


「生憎、物理の白井教授が急に体調を悪くしてね」


またあの人か…。白井教授は元々病弱な人で、講義にもちょくちょく顔を出すくらいで、普段は滅多に会わない。まだ若い青年だというのに…。


「けどようやく、そろそろ夏休みだねぇ」


しみじみと翔一が言う。夏休み…。長く楽しいのでいいんだが、その間中に論文を課題として出されるし、研究課題を探してこいと焦らせるし。


「ところで」


知鶴さんが、切って話しを出した。


「帰りにショカンに寄ってもらえないかな。あなたたちと私たちの今後の事について、話したいことがあるんだけど…」


急に改まって言われたので、みんな緊張が走っていた。

何だろう…真剣になって知鶴さんが言うのだから、余程の事だろう。







――――――――――――


<ショカン>




「旅をする?」


「正確に言えば、心当たりのある人物を探しに行くのよ」


ショカンには明名さんがいて、ついさっきまで一人でホールやレジを全てやっていた。



「誰なんですか?それって」


「特定は出来ないから、まだ。当てがあるだけ。可能性の話」


話の概要は、知鶴さんたちの予想より早くI/Oが現れたので、なるべく早く他の同じ力を持っている人たち(知鶴さんたちの時代の人物)を見つけ、知鶴さんたちの目的を果たしたいという。


「それで、無理は承知の上なんだけど…」


突然、知鶴さんの表情が曇った。確かに、今までの被害を見ていると解る。そして、これからはもっと危険な目に遭う事になる。解ってた。


「ちょうど夏休みに入るし、論文の題材も見付かるだろ」


「いい息抜きにもなるだろうしね」


知鶴さんはパァと顔を明るくした。


「みんな…」


「あの〜僕まだ何にも…」


「色んな所を回れば、いずれ貴方と通じる御方も見付かるんじゃないかしら…?」


明名が興味をそそらせるようにそう言うと、翔一は少し考え込んだ。


「せ、せっかくの夏休みだし…有意義に使わなきゃね…」


「…………」


翔一の意志の軽さを知ったのは、初めてのことだった…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ