I/O 番外編
今回はI/O視点です。
お楽しみください!
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「只今戻りました。ボス」
黒髪の少年がそう言うと、眼鏡を掛けた痩せ細った中年男性が見えた。
「ご苦労…と言いたいが、またもや失敗したようだな、No.6」
No.6はコードネーム。本当の名は、俺には解らない。
「これで三度目か、御恩を返すには値しないな」
甲高い声は辺りに響いた。暗い怪しげなこの中を知り尽しているのは二人のボスだけ。
新入りの俺は、まだヒヨッ子だ。実際、御恩があるのはコイツではなく、あの方にある。まぁ、その方もコイツに従っているみたいだし、仕方ない。
「まぁいい…だがNo.3…お手柄だったな」
俺の隣に潜んでいた赤髪の男は、すっと前に出た。まだ若い。30…20代…いや…多分それよりも…。
「ありがとうございますボス。しかし、一度に日記を二つ奪えるチャンスを逃してしまい、申し訳ありません」
そう言って、俺の隣で静かに頭を下げた。
「確かに…それは惜しい事をしたな…まぁいい…次に期待させてもらうか」
「はい、では、失礼します」
更に一礼を加え、闇の中へ消ていった。
「No.6…次に期待させてもらう…」
取って付けた様な言い方をして、ボスは消ていった。
「…………」
思い悩んだ。まだ入社して一年も経ってない。
まだ解らないことだらけ…。
ただこの会社、表では普通の電化製品会社を営んでいるが、裏では目的のためには手段を選ばない秘密結社I/O。
その手の噂は数知れない。
だがそれも関係ない。
俺はあの方に助けて頂いたご恩を此処で返さねば…。
組織内から選ばれた六人の別動組織をNo.Xといい、その階級に入ると、部下を指示する事が出来き、さらにNo.X専用の個々に自室が与えられる。
地下を合わせて計24階のこのオフィスビル。少年の部屋は15階の見晴らしの良い部屋。
ここから見える綺麗な海を見ることが好きだった。
コンコン…。
静かにノックの音がした。
「なんだ」
「No.2がお呼びです。早急に部屋に来てほしいと…」
「……わかった」
No.2が呼ぶのだ。あの人は滅多に人を呼ばない。よっぽどの用事だろう。
座っていた重い腰を上げ、自室を出た。
俺はNo.6…。コードネームも共通で、本当の名は…知らない。―――――




