想い人
神木涼輔
誕生日
10月8日 現在(当時)17歳
身長 175cm
体重 60kg
特徴
ややトンがった銀髪で、昭和の爽やか系。
ちょっと垂れ目
喫茶店【湘館】の二代目店長で、知鶴たちのまとめ役で、正義感も強いが、ちょいとナルシスト。
コーヒーのことはうるさいほどこだわりを持ち、毎日ブレンドに励む日々。
人の世話をやくのが好き。
「あ…君は…」
「そんなことより!さっさと逃げるよ!」
いつの間にか、涼輔は左腕にひどい火傷を負っていた。かなり辛いのか、腕を抱えながらしゃがみこんでいた。
「ほらっ、肩に掴まりなよ」
「あ、ああ…すまない…」
かなりよろけていた。
こんな正義感のある人…死なせはしない!
そして明名の…大切な想い人だから…。
それにしても…熱い…。体が焼けそうなくらい…。汗も止まってはくれなかった。
冷や汗…か…?
ガタン!
通ってきた逃げ道が、とうとう倒れてきた火柱によって閉だされた。さらに炎の勢いは増し、近付きも出来なかった。
「くっ…」
「俺を置いて…早く…逃げるん…だ…」
微かな声は、自分を犠牲にする最後の正義。
絶対…助ける!
「諦めるな!必ず脱出する!」
しかし、その願いを遮るかのように、ますます火の勢いは増していった。
忽ち深空たちのもとに、激しい炎が舞い寄る。
「深空!」
火の中をかきわけ、諦めていた少女が前に立っていた。
「明名!」
「このノートに触れなさい!」
「はっ…?」
「早くなさい!事態は一刻を争うのです!」
差し出されたノートには、青くシンプルな、現代人が使うような大学ノートのようだ。
しかし…今この状況で…最後の最後で…この女は何を言ってるんだと、答えず唖然とした。
それでも、彼女の目は真剣だった。
「………」
恐る恐るノートに触れる。しかし何も起きず、明名は続けて涼輔にも触れさした。
「あなたのおかげで、新たな力が私は手に入れた…」
「?」
背を向け、突き出したノートで熱い夜の風を切った。
「触点第二…震点」
すると、周りの火の海に囲まれていながらも、何故か熱さを感じなくなった。急に汗が止まる。
それは明名だけでなく、ノートに触れた深空と涼輔も同じだった。
「え…?」
「さぁ!脱出するわよ!」
不適にも笑いながら、燃え盛る火の中を目指し歩き始めた。
「おっ、おいっ!」
「大丈夫です。私を信じなさい」
いつの間にか、火の中を通っていく明名の体から、何か光輝く青白いものが、明名の体を包み込んでいた。
その光のせいで、火は当たらないように避けているのが解った。
「…………」
騙されたように、深空も同じく明名の通っていった道を歩み始めた。始めは燃えるかと心配していたが、自然と火が体を避け、まるで火がたてならぶ道しるべが出来上がっていた。
そして、無事に生還を果たした。
「ゴホッ!ゴホッ!」
煙が肺まで入ったか、涼輔は胸を抑えながらむせていた。
「さて…帰るわよ…深空…」
「は?そ、その前に手当てしない…と…」
明名に掴まれた自分の手を見せられると、手から霧状のようなものが浮き出ていた。
「…なんだ…これ…?」
「時間よ。もう戻らなきゃ…」
手を繋がれ、人のいない方に向かって走った。
シュン…!
「おっ、おい!今、人が…」
「き…消えた…!?」
――――――――
帰る道中、私たちは初めて、会話を交した。
「余計な事をしてくれたわね…」
「なっ…!?」
明名は、話しながらも深空とは顔を合わせなかった。
「……でも…ありがとう…」
「…………」
その言葉に、明名に対して改心を諮った深空であった。
日記所持者―
・一条知鶴
・后遠寺明名
適合者―
・都築昂介
・辿堂深空