新たな適合者
どうも、彩BOCです。
今更ですが、黒雛さまに依頼し、表紙イラストを描いて頂きました!黒雛さま!ありがとうございました!
<ショカン>
「ふぅ…」
無事、時間内に戻ってきた昂介と知鶴。
ちょっと体が透けだしてビックリしたけど…。
「ごめんねーコウちゃん。気付かなかった」
「体から砂のようなものが出たときはビビりましたよ…」
「言い忘れたけど、時間が近づくと体に霧が舞うんだよ。私には関係無いけど…」
「ねっ、ねぇ…!」
カウンターにいた捺美が、妙にオドオドしていた。
「どうしたんすか?」
「あの二人も…消えちゃった…」
「…あの二人…?」
「………!まさか!」
知鶴が店内を見渡すと、翔一を残され、いつの間にか深空と明名がいなくなっていた。
―――――――
昭和20年5月20日
<喫茶湘館>
「こっ、ここ…どこ!?」
「なっ、何であなたと…『通じて』しまったの!?」
二人目の、過去からの使者と通じた人間が存在した。名は……
【辿堂深空】
一時間前…
『甘く見ない方がいいわよ』
客として来ていた明名が、喧嘩腰に深空に言った。
『なんだと?』
『まぁ、あなたみたいな何も考えないで勢いだけが取り柄な人には、到底その意味は解らないでしょうけど』
『おまえ!』
怒りが頂点に達した深空は、明名の胸ぐらを掴む。
その時…
カッ!
『えっ?』
『えっ?』
光に包まれ、二人は消えた。
―――――――――――
「何故…あなたなんかと…」
「それより…どこなんだよ!ここは…」
チラッ
カウンター付近に掛けてあった日めくりカレンダーには、
「昭和20年…5月20日…!」
「はぁ!?」
「私はあなたと通じ、過去へ飛んだ…」
「誰だっ!」
奥から、背の高い若い男性が現れた。珍しい銀髪で、制服姿でも洒落た雰囲気があった。
「あ…り、涼輔…」
「え…」
「…なんだ…明名か…」
それに気付くと、男は持っていた金属バットをカウンターイスに掛けた。
「どうしたんだ?こんな時間に」
「えっと…その…」
(…誰だろ…)
「ところで、誰だい?そのコは」
自分の事を聞かれ、深空は一瞬焦ってしまった。
「えっ、えっと…」
「わ、私の…河緒に住んでる友達よ!」
「か、河緒って…随分遠いとこから来たんだな…」
「あ、はい…」
とりあえず、受け答えで返事をする深空であった。
―――――――――――
「ブラックだけど…飲めるかい?」
「あ、なんとか」
「俺のコーヒーは特別だよ。と言っても、最近は豆が手に入らなくてね」
「はぁ…」
温かい…ブラックの苦さを味わい、今の状況をできるだけ把握した。
ここは、以前知鶴さんが言っていた、過去の世界…。しかもここの内装、昔のショカンみたいだな…。
昭和20年5月20日…空襲、戦争の真っ只中。
そんな所に…私は来てしまった。
「ぇ…ねぇ…!」
「あ…」
青年に呼ばれていたのを、深空には耳に入っていなかった。ボーッとしてたみたいだ。
「どうしたの?ちょっとブラックお口に合わなかったかい?」
「あ…いや、そうじゃないです」
「なら、いいんだが」
「…………」
気付くと、今度は明名が顔を赤らめながら蹲っていた。
「どうした!明名」
「ふぇ!?」
あまりに驚いてしまって、声が裏返っていた。
「ふぇ!?じゃねぇよ。どした?」
「え…、いや、その、な…何でもないわっ!!」
「はははっ、さすが明名!相変わらず面白いヤツだな」
さらに顔を赤らめ、恥ずかしそうに下を見ていた。
この人、分かりやすいな…。
対してこの男は、意地悪だな…。
「まぁゆっくりしてきなよ。と言っても、もう真夜中だけど…」
ふと付けていた腕時計を見ると、見事に時刻は変わっていた。
午前1時23分…
そして、地獄は訪れる。
ウーウーウー…。
外から、悪夢を知らせる警報が鳴り響いていた。それを合図に、窓の外にはたくさんの人が走り回っていた。
「マジかよぉ!!」
「りょ、涼輔!!」
警報を聞き、涼輔は即座にカウンターを離れ外に出ていってしまった。
「…………」
「な、なぁ、追い掛けなくていいのか?」
問掛けてはいるが、明名は黙ったまま涼輔が出ていったドアを眺めていた。
「おいっ!!」
「はいっ!!!!?」
「追い掛けなくていいのかって!」
「ああ…そうね…」
明名は再び沈黙を成しながら、涼輔を追い掛けた。
最近寒いすね…。{{(>_<)}}
彩BOCも、学校から帰ってきたら風邪ひいてました…。
○=(≧Σ≦)へっくし
インフルエンザには気を付けましょう…。