結成『アストラル』
「はいるぞー」
臨は部屋に入る。
奏がニコニコしながらソファに腰かけ、隣をポンポンと叩く。
「なんか怖いんだけど」
「はやくはやく!」
臨は奏の隣に腰かける。
「じゃあ、先生に質問!」
「どうぞ」
「まずは——」
ここから先の会話を一纏めする。
1、何故アルカディア同士、ヴァルハラ同士で戦うの?
Q、魔法と兵器では得手不得手がはっきりするからだ。例えるなら、重火器同士の撃ち合いでは、距離や戦術等色々な差があるが、重火器と重力魔法では勝負にならない。逆もしかり、お互いのフィールドで決着を着けた方が早いのだ。
2、カードはどれぐらい珍しいの?
Q、プレイヤーは日本エリアだけでも20万人、世界全体で1000万人はいると言われる中、カード所持者は100人もいないらしい。今の所の発現例をまとめると、
・10代の少年少女
・リアルで何か特殊な才能や、経験、想いを抱えている
・強い願いがある
が、今の所の情報のまとめだ。
3、何故、臨は能力がないの?
Q、俺が知りたい。
4、優勝するとどうなるの?
Q、世界をまとめる首相になれるらしい。財も名誉も世界さえ思うがままらしい。
「で、臨は優勝したら何をするの?」
臨は笑う。
「神様になるようなものだろ?毎日ゲームをして暮らすかなー」
「なにそれ」
奏もクスッと笑う。
「じゃあ奏は?」
「私なら……皆が笑って暮らせる世界にするかな」
何かを言いかけた気がした。
「他に質問は?」
「ないかなー、今の所」
「じゃあ、部屋に戻るかな」
「あ」
「ん?」
「これからどうするの?」
「テンプレ通りなら、装備を蓄えつつ、出会った強者を仲間に取り込んで、苦難やトラウマを克服して、最強のライバルに打ち勝つかな」
「なにそれ」
「よくあるパターンってやつだよ」
「へー」
「例えば、次に何をするかって話をしていると……」
扉を叩く音が聞こえる。
「どうぞー」
「お、やっぱりここにいたか」
「こうやって、次に何をするかを提案する人間が現れる」
「おー、すごい」
「なんの話だ?」
千寿は入ってくるなり、テーブルに何枚か紙を並べる。
「これは?」
「賞金リストだ」
「あーPKのリストか」
「PKって?」
「本来はモンスターを狩るゲームで人を殺す事、ティターニアだと裏切者や、戦闘禁止区域で戦闘を行った者に賞金をかけるんだ」
「西部劇みたい」
「御剣さんいい例えだね。臨の説明に補足するなら、ティターニアのPKは2種類、イカれてるか、相当の腕の持ち主かってことだ」
「さっき臨が言ってた強者ってやつだね!」
「な?だからテンプレは嫌いなんだ。つまらない」
「もしかして、またお約束だったか?」
「あぁ、もっと面白い事をやろう」
「例えば?」
奏が横から見つめ、千寿が正面で見下ろす中、
臨は笑顔で言った。
「困った人を助けよう」
こうして弱者による弱者の為のお助けギルド『アストラル』が結成された。